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蹂躙 ★
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「や……嫌っ」
押さえつけられてほとんど動かすことのできない身体を必死によじって抵抗しながら、ファテナは強く目を閉じた。泣き顔を見せてたまるものかと必死に堪えるけれど、目蓋の裏が熱い。こんな辱めを受けるくらいなら、館と共に火に焼かれて死んだほうがましだったのに。精霊を呼べなくなったら、ファテナには何の価値もなくなってしまう。
無垢で清らかなものを好む精霊は、ファテナが純潔を失えばきっと離れていってしまう。それは、ファテナにとって首を切られることよりも恐ろしいことだった。
この男に純潔を奪われるくらいなら、ここで自ら命を絶った方がましだ。少なくとも、誇りを持って死ぬことができる。手足は押さえつけられて動かせないけれど、舌を噛み切ればいい。それはこの状況でファテナが唯一選べる自死の手段だ。
覚悟を決めて思いきり舌を噛もうとした瞬間、口の中にザフィルの指が突っ込まれた。がりっという音と共に鉄の味が広がったのは、彼の指を傷つけたせいか。
「……っあ」
自分を辱めようとする相手とはいえ、意図せず傷つけてしまったことに怯んだファテナが思わず口を開けると、ザフィルがゆっくりと指を引き抜いた。真っ赤な血が滲んでいて、罪悪感に襲われると同時に口の中に感じる血の味に吐き気をもよおす。
「か弱そうに見えても、さすがはウトリドの姫か。自害を選ぶその心意気は買うが、あんたは捕虜だ。勝手に死ぬことは許さない」
自らの怪我には頓着する様子もなく、ザフィルは冷たい表情でファテナを見下ろす。この命さえ自分の思うようにできないことを突きつけられ、ファテナは震える唇を引き結んだ。
そんなファテナを見て小さくため息をついたあと、ザフィルはそばの水差しに手を伸ばすと中身を呷り、そのまま唇を重ねてきた。
「ん……む、ぁ」
突然の口づけに抵抗する間もなく、生温い水が流れ込んでくる。果実水の微かな甘さが血の味を洗い流していくのと同時に、侵入してきた分厚い舌がファテナの舌に絡みついた。
嫌だと言いたいのに、言葉はザフィルの舌に封じられて消えていく。いっそ噛み切ってやろうかと試みるものの、するりと逃げられてうまくいかない。
口内の水を飲み下すまで執拗に舌を絡められ、ようやく唇が離れていった頃にはファテナは息苦しさに喘ぐような呼吸を繰り返すことしかできなかった。
「まだ抵抗する気力があるとは、なかなか面白い。お姫様は、乱暴にされる方がお好みのようだな」
濡れた口元を手の甲でぬぐいつつ、ザフィルがファテナの両手をまとめて掴む。強い力で寝台に押しつけられて、更に身動きができなくなった。
じゃらりと耳障りな金属音がして思わず視線を向けると、手首に枷がはめられていた。枷に繋がった鎖は寝台の柱に固定されて、ファテナが動こうとするたびに鈍い音を響かせる。枷の内側には布が貼られているらしく痛みはないが、わずかに手首を上下させることしかできない。
それでも必死に腕を動かそうとするファテナを見ながら、ザフィルは唇を歪めて笑った。
「痩せてる割に、胸は結構あるよな。揺れていい眺めだ」
「……っ」
その言葉に、ファテナは自らがどんな格好であるのかを思い出す。先程ザフィルに長衣を引き裂かれたことと、ファテナが抵抗して身動きしたせいで、白い胸が両方こぼれ出ていた。横たわった状態ですら丸く盛り上がった柔らかなふくらみは、その中央にある薄紅色の蕾までザフィルの前にさらけ出していた。
「っ、やぁっ、見ない、で……っ」
誰にも見せたことのない場所の肌を、こんな男の前で晒すことになるなんて。
必死で首を振って逃れようとするけれど、枷につけられた鎖が耳障りな音を響かせるばかりで腕はびくともしないし、ザフィルが脚で挟むように下半身を固定するから、ほとんど身動きできない。
かろうじて動かせる首を振ることと、微かに腰を浮かすことくらいしか、ファテナにはできなかった。
「抵抗すればするほど、俺を煽るって分かってないね」
くすくすと笑いながら、ザフィルが寝台の枕元に造りつけられた小さな棚に手を伸ばす。そこから細長いガラス瓶を取ると、彼は蓋を開けた。瓶を傾けると、細やかな細工の施された細い口からとろりとした透明な液体が流れ落ちてファテナの身体を濡らす。ひやりとした感覚と共に濃く甘い香りが漂い、液体の触れた場所が何故か熱くなっていく。
「……っや、何……?」
「悪いものじゃない。感度を上げて痛みをなくす効果がある香油だ」
ぬるぬるとファテナの肌に油を塗り込めながら、ザフィルが唇を歪めて笑うと顔を近づけた。
「これを使うと、初めての女でも面白いほどに乱れるって話だ」
「そんな、要らな……っ」
「要るかどうかはあんたが決めることじゃない。あんただってどうせなら気持ちがいい方が幸せだろう」
「嫌……っあ、」
首を振って抵抗しようとしたのに、ザフィルの指先が胸の頂を掠めた瞬間、ファテナの身体はびくんと大きく弾んだ。
「ふ……、効果抜群。触られる前からこんなに硬くして、嫌なわけがないだろ」
「や、あ……っ、触らない、で……んぅっ」
「ほら、食べてくださいと言わんばかりに真っ赤に尖らせて。ウトリドの姫さんがこんなにも淫乱だって知ったら、皆驚くんじゃないか?」
「やめ……て、んぁ、……は、嫌ぁっ」
「嫌だなんて、口だけだ。諦めて素直になった方が幸せだと思うけどな」
笑いながらザフィルがファテナの胸に顔を近づける。吐息がかかって、その刺激だけでも身体は勝手に震えてしまう。
ふるりと誘うように揺れた胸を下から掬い上げるように持ち上げて、ザフィルがその中心で刺激を待ち望んで震える赤い蕾を口に含んだ。
「――っ、あぁっ」
「いい声」
「や、やだ……っ、やめて、それ変……っ」
「随分と気持ちよさそうだな。初めてだなんて、信じられない」
「やあぁっ、そこで喋らなぃ……でっ」
必死で首を振って逃れようとするのに、拘束され、押さえつけられた身体はほとんど動かせない。ファテナは、上からのしかかるザフィルがしゃぶるように胸を嬲っていくのを、ただ受け入れることしかできなかった。
◇
薄暗い部屋の中に、火のはぜる音と荒い息遣いが響く。
香油のせいで敏感になった身体はザフィルに触れられるたびに震え、同時に重たい金属音が鳴った。
頭上で拘束された腕は痺れて痛みを感じているはずなのに、それすらも快楽に置き換わってファテナの鼓動を乱す。
ふいに窓の外から青白い月の光が射し込み、ファテナの顔を照らした。その鈍い光に一瞬理性を取り戻したファテナは、半ば閉じかかっていた目蓋を開くと自らの身体の上に覆いかぶさるザフィルを見上げた。
「……お願っもう、やめ……ふ、あぁぁっ」
だが、懇願するように制止の言葉を吐きかけた唇は、ザフィルに胸を掴まれたことで途中から嬌声に変わった。大きな手が白い胸に沈み、柔らかなふくらみは歪に形を変える。
「ひぁ……んんっ、あ、ぅ」
「抵抗なんてせず、そうやって気持ちいいことだけ考えてればいい、ファテナ」
くすりと笑いながら、ザフィルが指の腹で胸の先を押し潰すようにしながら擦り上げる。その刺激に、ファテナはまた高い声をあげて身体をくねらせた。
命じられた通り再び快楽に溺れ始めたファテナは、更なる刺激を求めるように背を反らした。じゃりっと鎖が耳障りな音を響かせるが、すでにその音すら耳に届いていない。
目の前に差し出された胸を、ザフィルはゆっくりと口に含む。赤く熟れた果実のような胸の先を強く吸われ、ファテナはすすり泣くような声をあげてがくがくと身体を震わせた。
硬く尖った乳首を舌先で転がしながら、ザフィルはもう片方の胸に手を伸ばすと強く揉みしだいた。両方の胸に同時に与えられた刺激に、ファテナは断続的に小さく喘ぎながら快楽に耐えるように強く目を閉じる。細く華奢な足が、逃げるように敷布を力なく蹴った。
快楽のためか、それとも拒絶の意思によるものなのか、閉じた目蓋からすうっと涙がこぼれ落ちる。月の光にきらめいたその雫は、くしゃくしゃに乱れた敷布の皺の中に吸い込まれて消えていった。
押さえつけられてほとんど動かすことのできない身体を必死によじって抵抗しながら、ファテナは強く目を閉じた。泣き顔を見せてたまるものかと必死に堪えるけれど、目蓋の裏が熱い。こんな辱めを受けるくらいなら、館と共に火に焼かれて死んだほうがましだったのに。精霊を呼べなくなったら、ファテナには何の価値もなくなってしまう。
無垢で清らかなものを好む精霊は、ファテナが純潔を失えばきっと離れていってしまう。それは、ファテナにとって首を切られることよりも恐ろしいことだった。
この男に純潔を奪われるくらいなら、ここで自ら命を絶った方がましだ。少なくとも、誇りを持って死ぬことができる。手足は押さえつけられて動かせないけれど、舌を噛み切ればいい。それはこの状況でファテナが唯一選べる自死の手段だ。
覚悟を決めて思いきり舌を噛もうとした瞬間、口の中にザフィルの指が突っ込まれた。がりっという音と共に鉄の味が広がったのは、彼の指を傷つけたせいか。
「……っあ」
自分を辱めようとする相手とはいえ、意図せず傷つけてしまったことに怯んだファテナが思わず口を開けると、ザフィルがゆっくりと指を引き抜いた。真っ赤な血が滲んでいて、罪悪感に襲われると同時に口の中に感じる血の味に吐き気をもよおす。
「か弱そうに見えても、さすがはウトリドの姫か。自害を選ぶその心意気は買うが、あんたは捕虜だ。勝手に死ぬことは許さない」
自らの怪我には頓着する様子もなく、ザフィルは冷たい表情でファテナを見下ろす。この命さえ自分の思うようにできないことを突きつけられ、ファテナは震える唇を引き結んだ。
そんなファテナを見て小さくため息をついたあと、ザフィルはそばの水差しに手を伸ばすと中身を呷り、そのまま唇を重ねてきた。
「ん……む、ぁ」
突然の口づけに抵抗する間もなく、生温い水が流れ込んでくる。果実水の微かな甘さが血の味を洗い流していくのと同時に、侵入してきた分厚い舌がファテナの舌に絡みついた。
嫌だと言いたいのに、言葉はザフィルの舌に封じられて消えていく。いっそ噛み切ってやろうかと試みるものの、するりと逃げられてうまくいかない。
口内の水を飲み下すまで執拗に舌を絡められ、ようやく唇が離れていった頃にはファテナは息苦しさに喘ぐような呼吸を繰り返すことしかできなかった。
「まだ抵抗する気力があるとは、なかなか面白い。お姫様は、乱暴にされる方がお好みのようだな」
濡れた口元を手の甲でぬぐいつつ、ザフィルがファテナの両手をまとめて掴む。強い力で寝台に押しつけられて、更に身動きができなくなった。
じゃらりと耳障りな金属音がして思わず視線を向けると、手首に枷がはめられていた。枷に繋がった鎖は寝台の柱に固定されて、ファテナが動こうとするたびに鈍い音を響かせる。枷の内側には布が貼られているらしく痛みはないが、わずかに手首を上下させることしかできない。
それでも必死に腕を動かそうとするファテナを見ながら、ザフィルは唇を歪めて笑った。
「痩せてる割に、胸は結構あるよな。揺れていい眺めだ」
「……っ」
その言葉に、ファテナは自らがどんな格好であるのかを思い出す。先程ザフィルに長衣を引き裂かれたことと、ファテナが抵抗して身動きしたせいで、白い胸が両方こぼれ出ていた。横たわった状態ですら丸く盛り上がった柔らかなふくらみは、その中央にある薄紅色の蕾までザフィルの前にさらけ出していた。
「っ、やぁっ、見ない、で……っ」
誰にも見せたことのない場所の肌を、こんな男の前で晒すことになるなんて。
必死で首を振って逃れようとするけれど、枷につけられた鎖が耳障りな音を響かせるばかりで腕はびくともしないし、ザフィルが脚で挟むように下半身を固定するから、ほとんど身動きできない。
かろうじて動かせる首を振ることと、微かに腰を浮かすことくらいしか、ファテナにはできなかった。
「抵抗すればするほど、俺を煽るって分かってないね」
くすくすと笑いながら、ザフィルが寝台の枕元に造りつけられた小さな棚に手を伸ばす。そこから細長いガラス瓶を取ると、彼は蓋を開けた。瓶を傾けると、細やかな細工の施された細い口からとろりとした透明な液体が流れ落ちてファテナの身体を濡らす。ひやりとした感覚と共に濃く甘い香りが漂い、液体の触れた場所が何故か熱くなっていく。
「……っや、何……?」
「悪いものじゃない。感度を上げて痛みをなくす効果がある香油だ」
ぬるぬるとファテナの肌に油を塗り込めながら、ザフィルが唇を歪めて笑うと顔を近づけた。
「これを使うと、初めての女でも面白いほどに乱れるって話だ」
「そんな、要らな……っ」
「要るかどうかはあんたが決めることじゃない。あんただってどうせなら気持ちがいい方が幸せだろう」
「嫌……っあ、」
首を振って抵抗しようとしたのに、ザフィルの指先が胸の頂を掠めた瞬間、ファテナの身体はびくんと大きく弾んだ。
「ふ……、効果抜群。触られる前からこんなに硬くして、嫌なわけがないだろ」
「や、あ……っ、触らない、で……んぅっ」
「ほら、食べてくださいと言わんばかりに真っ赤に尖らせて。ウトリドの姫さんがこんなにも淫乱だって知ったら、皆驚くんじゃないか?」
「やめ……て、んぁ、……は、嫌ぁっ」
「嫌だなんて、口だけだ。諦めて素直になった方が幸せだと思うけどな」
笑いながらザフィルがファテナの胸に顔を近づける。吐息がかかって、その刺激だけでも身体は勝手に震えてしまう。
ふるりと誘うように揺れた胸を下から掬い上げるように持ち上げて、ザフィルがその中心で刺激を待ち望んで震える赤い蕾を口に含んだ。
「――っ、あぁっ」
「いい声」
「や、やだ……っ、やめて、それ変……っ」
「随分と気持ちよさそうだな。初めてだなんて、信じられない」
「やあぁっ、そこで喋らなぃ……でっ」
必死で首を振って逃れようとするのに、拘束され、押さえつけられた身体はほとんど動かせない。ファテナは、上からのしかかるザフィルがしゃぶるように胸を嬲っていくのを、ただ受け入れることしかできなかった。
◇
薄暗い部屋の中に、火のはぜる音と荒い息遣いが響く。
香油のせいで敏感になった身体はザフィルに触れられるたびに震え、同時に重たい金属音が鳴った。
頭上で拘束された腕は痺れて痛みを感じているはずなのに、それすらも快楽に置き換わってファテナの鼓動を乱す。
ふいに窓の外から青白い月の光が射し込み、ファテナの顔を照らした。その鈍い光に一瞬理性を取り戻したファテナは、半ば閉じかかっていた目蓋を開くと自らの身体の上に覆いかぶさるザフィルを見上げた。
「……お願っもう、やめ……ふ、あぁぁっ」
だが、懇願するように制止の言葉を吐きかけた唇は、ザフィルに胸を掴まれたことで途中から嬌声に変わった。大きな手が白い胸に沈み、柔らかなふくらみは歪に形を変える。
「ひぁ……んんっ、あ、ぅ」
「抵抗なんてせず、そうやって気持ちいいことだけ考えてればいい、ファテナ」
くすりと笑いながら、ザフィルが指の腹で胸の先を押し潰すようにしながら擦り上げる。その刺激に、ファテナはまた高い声をあげて身体をくねらせた。
命じられた通り再び快楽に溺れ始めたファテナは、更なる刺激を求めるように背を反らした。じゃりっと鎖が耳障りな音を響かせるが、すでにその音すら耳に届いていない。
目の前に差し出された胸を、ザフィルはゆっくりと口に含む。赤く熟れた果実のような胸の先を強く吸われ、ファテナはすすり泣くような声をあげてがくがくと身体を震わせた。
硬く尖った乳首を舌先で転がしながら、ザフィルはもう片方の胸に手を伸ばすと強く揉みしだいた。両方の胸に同時に与えられた刺激に、ファテナは断続的に小さく喘ぎながら快楽に耐えるように強く目を閉じる。細く華奢な足が、逃げるように敷布を力なく蹴った。
快楽のためか、それとも拒絶の意思によるものなのか、閉じた目蓋からすうっと涙がこぼれ落ちる。月の光にきらめいたその雫は、くしゃくしゃに乱れた敷布の皺の中に吸い込まれて消えていった。
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