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10 対抗心 ★
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「可愛い声」
笑みを含んだ声で耳元で囁かれ、それだけでエレノアの身体はぴくりと震えてしまう。
「フィン、なんだか余裕ね」
翻弄されるばかりなのが悔しくて、唇を尖らせつつ見上げると、フィニアスは困ったように笑った。
「まさか。死ぬほどドキドキしてるよ」
ほら、と言って手をとられ、胸に押し当てられる。手のひらに感じるフィニアスの鼓動はエレノアと同じくらい速くて、そのことに少しだけ安心する。
ついでに、お返しとばかりにフィニアスの胸を指先で撫でるようにすると、堪えるように小さく息を詰めたフィニアスが、エレノアの手を掴んだ。
「……っこんなこと、どこで覚えたの、エリー」
フィニアスに余裕のなさそうな声を出させたことが嬉しくて、エレノアはドヤ顔で自分に覆いかぶさるフィニアスの顔を見上げた。
「ふふ、我が国秘伝の書物で、きちんとお勉強してきたのよ。だから、私もフィンをたくさん気持ちよくしてあげるわ」
座学メインで実践は初めてだけど、フィニアスのこの表情を拝めるのなら、何だってできそうな気がする。
そう思っていたのに、小さく唸ったフィニアスが深く口づけてくるから、エレノアはあっという間にそれに翻弄されてしまった。ただそっと触れるだけではない口づけは、必死にフィニアスにしがみついていないと、どこかへ流されていってしまいそうだ。
うまく息継ぎができなくて涙目になったエレノアを見下ろして、フィニアスが微かに笑う。
「やっぱり最初は俺にリードさせて。エリーに色々としてもらうのは、後々のお楽しみにしておきたいから」
「そう……?」
せっかくたくさん学んできたのに、と少し不満に思いつつも、そういえば初夜は夫に身を任せるべきと書いてあったなと教本の内容を思い出して、エレノアはうなずいた。
笑みを含んだ声で耳元で囁かれ、それだけでエレノアの身体はぴくりと震えてしまう。
「フィン、なんだか余裕ね」
翻弄されるばかりなのが悔しくて、唇を尖らせつつ見上げると、フィニアスは困ったように笑った。
「まさか。死ぬほどドキドキしてるよ」
ほら、と言って手をとられ、胸に押し当てられる。手のひらに感じるフィニアスの鼓動はエレノアと同じくらい速くて、そのことに少しだけ安心する。
ついでに、お返しとばかりにフィニアスの胸を指先で撫でるようにすると、堪えるように小さく息を詰めたフィニアスが、エレノアの手を掴んだ。
「……っこんなこと、どこで覚えたの、エリー」
フィニアスに余裕のなさそうな声を出させたことが嬉しくて、エレノアはドヤ顔で自分に覆いかぶさるフィニアスの顔を見上げた。
「ふふ、我が国秘伝の書物で、きちんとお勉強してきたのよ。だから、私もフィンをたくさん気持ちよくしてあげるわ」
座学メインで実践は初めてだけど、フィニアスのこの表情を拝めるのなら、何だってできそうな気がする。
そう思っていたのに、小さく唸ったフィニアスが深く口づけてくるから、エレノアはあっという間にそれに翻弄されてしまった。ただそっと触れるだけではない口づけは、必死にフィニアスにしがみついていないと、どこかへ流されていってしまいそうだ。
うまく息継ぎができなくて涙目になったエレノアを見下ろして、フィニアスが微かに笑う。
「やっぱり最初は俺にリードさせて。エリーに色々としてもらうのは、後々のお楽しみにしておきたいから」
「そう……?」
せっかくたくさん学んできたのに、と少し不満に思いつつも、そういえば初夜は夫に身を任せるべきと書いてあったなと教本の内容を思い出して、エレノアはうなずいた。
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