転生プログラマのゴーレム王朝建国日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~

堀籠 遼ノ助

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第1章 初めから死亡フラグ

3 異世界転生(2)(2017/12/01改稿)

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 まずは目が見えないことには始まらない。

『ゴーレム』というからには、きっと人の形をしているのだろう。であれば、目がついているはずだ。何とかそのゴーレムの視界とリンク出来ないだろうか。

 俺はまず、細長い体型のゴーレムを念じた。言葉を発しなくても魔法は行使できるのか? という最大の不安は、無機質な声が頭の中に響くことで解消された。

≪命令を受け付けました。形状を細長に設定完了。次の命令を行って下さい≫

(うわっ、誰?!)

≪解。魔道コンパイラ です≫

 コンパイラっていうと、俺が元いた世界では人間の言葉をコンピュータの言葉に翻訳してくれるツールのことだが……。

(魔導コンパイラってことは、俺の言葉を魔法に変換してくれるってことかな?)

≪解。ご認識の通りです≫


  なんて便利な。白髪宇宙人がくれた能力かもしれない。やるな貧乳。

(よし、では続きだ。灯台みたいなイメージで、高いところからぐるりと360度見れるようにしてくれ。戦闘力は無くていい)

 どこまで魔法が使えるか分からないため、無駄な能力は付けずに節約をする。

≪視界360度確保、装甲破棄、碗部破棄、設定完了≫

(ゴーレムの視界を俺にリンクされられるか?)

≪解。視界共有可能です。実行しますか?≫

(頼む)

≪視界共有、設定追加完了≫

 よし、ではいこう。頼むから上手くいってくれよ。

(ではーークリエイト・ゴーレム実行)

compileコンパイル. クリエイト・ゴーレム、実行≫


 すると、俺の右手が糸に引っ張られるかのように持ち上がった。

 再びズズズ……と振動が伝わってくる。

 俺の目の前に歯が剥き出してヨダレを垂らす狼の姿。

(うわ?! ビックリした、ゴーレムと視界が共有されたのか)

 またたく間に俺の視界はぐんぐんと上昇し、狼達を見渡せるようになった。

 360度視界があるというのは、後ろに目がついているようで、不思議な感覚だ。
 狼は最低10匹はいると思っていたが、こうして見渡すと、約30匹はいそうだ。

 狼達は警戒するようにあとずさる。

 菫と晃一があんぐりと口を開け、ゴーレムを見上げていた。

「……菫、お前の仕業か?」

「……あたしの魔力じゃゴーレム1体を維持するだけで精一杯よ。それよりも、この子から強い魔力の感じるんだけど」

「……たしかに魔力の発動を感じる。だが強すぎる。国家魔導師クラスの魔力じゃないか」

 二人の視線がおそるおそる俺に向けられている。

 何かやってしまった感じがするのだか、今はそんなことにかまっている時ではない。今は狼達も引いているが、灯台ゴーレムくんに戦闘力は無い。
 早く戦闘力のあるゴーレムを作成しなくては。

(ーー私は魔法を行使する)
≪魔法行使の意思を確認。ご命令を≫

 とりあえず魔道コンパイラとの対話を開始させる。

 さて、まずは形状だ。通常のゴーレムだと、攻撃力は期待できるが、動きがトロいだろう。狼にすり抜けられてしまう危険がある。ゴーレムの体を小さくするか? でもそれだと強度に不安が……。
 ……いや、待てよ。人の形にこだわる必要は無いのではないか?

(ゴーレム形状を狼へ)

≪形状:狼、受け付けました≫

 おお!できた!言ってみるもんだ。さて、次は行動だ。

(俺たち3人を守りつつ、一番近い敵へ攻撃)

≪3人の守護、一番近い敵への攻撃、設定完了≫

(1体だけだと不安だな。同時に複数作ることは可能?)

≪解。可能です。が、保持するゴーレム数に応じて維持魔力が増大します。≫

(なるほど。じゃあ、30分稼働させると何体いける?)

≪解。 3体です≫

(よし。じゃあ3体だ)

≪同時作成数3体、設定完了≫

 よし、実行だ。

(クリエイト・ゴーレム実行!)

compileコンパイル. クリエイト・ゴーレム、実行≫

 途端、俺の体から力が抜けるような感覚に襲われる。

≪通告、マスターの残り魔法量が50%を割ったため心肺機能が低下しております≫

 うっそ、まじでか。魔法の使いすぎはリスクが大きいんだな。まあ、今はそんなことを言っていられる状況じゃないんだけど。
 
 先ほどと同じように、右手がぐっと上がり、クリエイト・ゴーレムが発動。

 すると地面に黄金色の魔法陣が3つ現れ、鋭い風のような音と共にゴーレムが湧き出てきた。

 そこに現れたのは、全長4メートルを越えるかと思われる巨大な灰色の狼が3体。

 双眸から蒼白い不気味な光を放ち、狼達を見下ろす。

 狼は自分達よりも遥かに大きい狼形ゴーレムを見て恐怖を感じたのか、耳を伏せながら後ずさっている。

「す、すげえ、3体同時に。しかも獣の形をしているゴーレムなんて聞いたこともない。本当にこの子がやってるのか?」

「ほんとに信じられない。まさかこの子、蒼の魔導師? でも髪は蒼くないわ……」

 と、狼型ゴーレムの1体が跳躍、一番近くにいた狼に飛びかかる。

「キャウン!」

 狼は避けることも出来ずに、断末魔をひと声あげると、その場に動かなくなった。

 その後は狼型ゴーレムの独壇場だ。突然の出来事に硬直した狼達を逃さず、風が吹きすさむように狼たちを次から次へとなぎ倒していく。

 狼達は急激にその数を減らしていき、半数以上が斃れたところで、狼たちは呪縛がとけたかのように一斉に逃げ出していった。

 唸り声に満ちていた森には静寂が戻り、遅れて虫の声が聞こえ始めた。まるで俺の勝利を祝福する音楽のようだ。

(はあ助かった。……しかし管理者の奴め、「かなりきつい状況」って表現はざっくりにもほどがあるだろ)

「た、助かった」
 晃一がホッとため息をつく。

「ええ。――あなたがお母さんを助けてくれたの?」

 菫が問いかけてくるが、俺は表現が上手く作れなかったのでただ見つめ返すしか出来ない。

 周囲には無数の狼の死体がころがっており、他には俺が作り出したゴーレム4体と、菫が作り出したゴーレムが1体佇んでいる。

「……おかしいわ。なんでゴーレムが消えないのかしら。」

「ん? そのうち消えるんじゃねえか」

「いえ、ゴーレムは戦闘が終わると同時に消えるのよ。そういう魔法なの」

「じゃあ消えないってことは……」

 俺の作り出した狼型ゴーレムは周囲を警戒し、菫が作り出したゴーレムは俺たちを守るようにうずくまったままだ。

「何かから、私たちを守ろうとしている」

「何かって……なんだ?」

 その時、森を揺さぶるような大きな唸り声が響いた。周囲の木々から鳥たちが一斉に飛び立つ。

「おいおいウソだろ……今の声ってまさか……」

 晃一の後方、葉が大きく揺れる。

 すると警戒していた狼型ゴーレムの1体が、跳躍した。 が、突如森から突き出した巨大なあぎとがそれを許さない。

 腹部を抉り取られたゴーレムは砂に還っていってしまった。

「……グレーターウルフ」

 晃一が怖々と見上げるその先には、闇を切り取るように鎮座する白く、巨大な体躯が――。
 
 確実な死が、俺たちを見下ろしていた。


==============================================
・名前:折笠拓海(前世)
・年齢:0歳
・種族:ヒューマン
・技能:土属性魔法LvMAX
    ???スキル(灯台ゴーレム、ウルフゴーレム)
・称号:無し
==============================================
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