上 下
69 / 102
秋の断章 -Tragedy-

秋の断章③-5

しおりを挟む
 その翌日。

 

 学校のホームルームで、俺は燎火の言葉の真意を思い知ることになる。



 千賀燎火は昨日の夜、自宅の廊下で突然倒れて、そのまま病院へ運ばれたらしい。



 詳しくはまだ分からないが、幼い頃患っていた心臓病が突然再発したのかもれない。



 残念な報告だ。



 担任はあっけらかんとした口調で、そう報告した。





 対価としての不幸は正面からではなく、背後から突然襲ってきた。



 この仕打ちを闇討ちという他、どう表現すればいいのか。



 まったく予想していなかった現実に、俺はなすすべもなく絶望することしかできなかった。





 そうやって、俺はついに幸福の王国から追放されたのだ。

しおりを挟む

処理中です...