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起
31 サクソウ
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沈んだ空気のAriz本部室。
眉間にしわを寄せ思い悩む者がいた。
俺は悔しいのか?
俺は彼奴らに政府に対抗出来る技術を提供してやれないからか?
所詮は及ばないのか?
確かにメンバーの実力は向上してきている。
しかしまだ大型ドローンに及ばない。
この最先端開発郡国テクノロジアには強大な敵が沢山いる。
アゲハは先日のドローンで苦戦したArizを思い出す。
いくらソフィキエータといえど人っ子ひとり殺せない【使能】と数人殺せる【士能】クラス。
高く見積もっても【楼能】の水準に達するかしないかだ。
その程度なら政府は弾圧出来てしまう。
肝心のセトも国を滅ぼす【帝能】のアレイザーとしての力がない
俺達には不可能なのかもしれない。
駆逐活動をやめて他のヘプターナを探すか。
待っていればセトの元に自然と現れるだろう。
それでアレイザーとして覚醒させれば話は早い。
憎い政府SOGを瀕死に追いやれる。少し焦りすぎたんだ。
というかLIBERATORの上が言うように平穏に過ごした方が平和じゃないか。
余計なことをした。今までの努力は無駄で無謀だった。
その時、エムの声が脳裏をよぎった。
ー 確かにな!ウチらのやっている事は無謀かも知れねえけどよ!無差別にソフィキエータを苦しませるSOGが許せねえんだよ!もう2度とあんな小さな子を泣かせたくないんだ!! ー
ー こうしてる間に無害ソフィキエータが迫害されてるんだぞ??アタシ力になりてぇんだ! ー
聞き慣れた声、口調。
ー てめえら、政府SOGはぁ…!小さな子供だけじゃ飽き足らず!じいちゃんにまで暴行を!! ー
ー 当たり前だろ、異能力者は人間じゃねえ、有害なバケモンだ。弱ってる内に始末するのが普通だから。お前どんな考えしてんの? ー
ギリリっとエムは歯ぎしりを立てていた。
エムの熱血的な声、特殊部隊リヒターの兵士の冷ややかな声が突き刺さる。
「何故だ?何故エムの声が!??」
動揺する。
ー 僕はβ区に来たばかりの時、ドローンに抹殺されるはずだったんだ。そこをあるソフィキエータの少女が助けてくれて命拾いしたんだ。今度は僕が誰かを救いたい ー
ー 私もセト君と同じ!誰かの助けになりたいなぁ。その為にこの異能力も与えられたんじゃない?それに私もセト君に救われたもん ー
セトやセリアの声も脳内を響く。
「その為に、与えられた…か」
机の周囲を眺めるとArizのアルバムを発見。
1枚目に、セト、エムとのプリクラ写真があった。
思い出が頭からこぼれ落ちる。
ー なはは!なんだよアゲハその格好!水着の上に白衣とか!なは!キモ!てか水着短か!メガネの代わりにゴーグルとか!変態だあっはっは! ー
腹を抑えながら大笑いの、涙を滝のように流すエムを見て
ー ふん、溺れてしまえこのカナヅチゴリラ ー
ー なぁ!? ー
ケンカばかりだった。
ー その洗濯板のような胸で言うか? ー
鼻で笑いながら言うと
ー うるせえ!これでもくらえー! ー
片方のルーズソックスでアゲハの口に引っ掛け背中を足で蹴る。
ー んお…んおおおおお…んひんへーる! ー
それでも内心楽しんでいた。
ー やはり俺は甘いものが苦手なようだ。それで俺が言いたいのはな…えと…その…やっぱり俺のクレープを食べてくれ… ー
少し照れているのか顔を逸らしている。
ー 仕方ないな~アタシが美味しく頂いてやるとするか ー
満足げに、幸せげに赤い頰で頬張るエムの顔を思い出す。
もしアイツの顔がもう見れなかったら…?
アゲハの胸は締め付けられた。
「なんだ、なんなんだこの感じ…」
ー よし!これでAriz結成だ。俺は頭脳、
エムは肉体、そしてセト、お前はArizの魂だ ー
アゲハの手の甲に、2人は順番に手を重ね、
ー 打倒!!SOG(対能力者処理局)!!! ー
ー おう!! ー
3人が揃った時、Arizの結成されたあの日へと
記憶が回り出す。
人間に対する信頼と一緒に哺乳類的な温かさを棄てたと思っていた。だがそれは違ったようだ。
アゲハは立ち上がり、眼鏡をカチッと鼻頭に付け直す。
ー 俺はお前とエムを信頼している。だからArizを結成させることが出来たんだ ー
セトと灯台を見たあの日の自分のフレーズをゆっくりと復唱する。
ー アタシは誓ったんだ!もう誰も泣かせない為に!アタシは強くなってやるんだってな! ー
最後にエムの声がこだまするように心を何度も打ち付けていった。
半年以上前のこと、ショッピングモールのあの事件の情景が、炎のように思考に広がっていく。
まだ異能力を発現させていなかった赤いツインテールの少女。
気が少し強いだけで圧倒的に大きな無機質な敵
には敵うはずはないのに、彼女は前に出た。
科学スランプに陥り、煮詰まった頭を冷やすために気の進まぬまま外に出た。
そんな落胆しきった俺に光を、生きる情熱をくれたのはアイツだった。
「フッ…馬鹿なのは俺の方だ。これでは科学者として、いやAriz司令塔としての顔が無くなってしまうな」
険しい表情は緩み、笑みを浮かべ始めた。髪をかき上げ天井を見上げる。
「…もう…大切な人の良心を貪られてたまるか。善意に漬け込む奴は俺が許さない!もう二度と…!」
科学の少年の瞳には強い光が宿っていた。
「俺達の叛逆(テロリズム)はこっからだ!」
**
「なんのよう…ぐはぁ!!」
「い、今外で!」
幹部に遊ばれ衰弱していたエムの目に輝きが戻る。
「オトモダチ、のようだねえ」
幹部は未だ楽しそうだ。
自動ドアのロックが解除され入ってきた。
「セト!お前もぶっ壊しに来たのか!」
「待たせたね。でも親切な兵士がここの場所とパスワードまで教えてくれたからこれでも近道な方だよ?」
「残念だねえ、色々仕掛けを用意していたのにこんなあっさり裏道で着いちゃうなんてなあ。面白い物を見せてやろう。この娘は胸を掴まれると」
「んぁっ」
「女の子みたいに喘ぐのだよ」
「このクソオヤジ!キモイんだよぉお!!てか女の子みたいじゃなくて女の子だぜぇえ!!」
涙目のエムを見てセトは幹部を睨む。
「最低な人だ。エムを離してください!貴方達はそうやって抵抗出来ないソフィキエータ達を一方的に傷つけて!離さないと僕が!」
セトはブラスターを向けた。
「ほーう。私を駆逐するのかい。無能力の君が?ええ、オモシロイねえ!無能、力の君がぁ!」
嘲笑う幹部の黒。
「セトを馬鹿にするんじゃねぇ!アタシの大事なダチでウチらArizのエースなんだぞ!」
「聞きたいことがもう一つ。【クイーン計画】ってなんですか?」
「はっは!潜入がてらその計画を知ったのかね!良いだろう教えてやろう!我々はヘプターナを見つけたのだよ!君のアウラ核を持ったのをね!」
「それまじか!?どこにいんだ!」
「管理局には居ないねえ。α区の兵器製造工房で眠っているのだよ。」
「目的は?」
セトがブラスターの青い閃光を貯め始めている。貯めるほど強い威力を出すのだ。
「ヘプターナの力を最大限引き出す方法を模索しているのだよ。君の持っていたキーを使ってね」
「卵みたいなドローンが盗みやがった十字のネックレスか!」
「あのキーの力は底が知れない。これからヘプターナ【闇】にあんなことやこんなことをしてみようというわけだ」
「その子に何かあったら僕が許しません。それとエムは返してくださいさもなと撃ちます!」
「威勢が良くなったねえ少年。キーなしで苦労しただろうに。私が準備したドローン軍を全て駆逐してくれたのは評価する。まぁ一度邪魔が入ったようだが良しとしよう。そろそろ時間だ、続きはまたにしよう」
その時だった。
「侵入者はここでごわすか!!」
図体の大きいリヒターが入ってきた。
ー ズキューン ー
突然の大声に驚き、とっさに後ろを向いて撃つ。
「ご?やりおったな小僧。わし、黒軍の司令官が制裁してやるでごわす」
腰の装置を変形させ男の半分程ある大きさの斧を振り上げる。
「あれだけ溜めてたのに少し後ずさっただけ?」
「セト!アタシはなんも出来ないけどがんばれ!」
「頼んだのだよ。黒将軍」
部屋の等身大の窓が開き、外の風が吹き付ける。
幹部は指を動かし複数の金属柱を渡りながら外に出ていく。
「待っ」
「お主の相手はわしでごわす!」
眉間にしわを寄せ思い悩む者がいた。
俺は悔しいのか?
俺は彼奴らに政府に対抗出来る技術を提供してやれないからか?
所詮は及ばないのか?
確かにメンバーの実力は向上してきている。
しかしまだ大型ドローンに及ばない。
この最先端開発郡国テクノロジアには強大な敵が沢山いる。
アゲハは先日のドローンで苦戦したArizを思い出す。
いくらソフィキエータといえど人っ子ひとり殺せない【使能】と数人殺せる【士能】クラス。
高く見積もっても【楼能】の水準に達するかしないかだ。
その程度なら政府は弾圧出来てしまう。
肝心のセトも国を滅ぼす【帝能】のアレイザーとしての力がない
俺達には不可能なのかもしれない。
駆逐活動をやめて他のヘプターナを探すか。
待っていればセトの元に自然と現れるだろう。
それでアレイザーとして覚醒させれば話は早い。
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というかLIBERATORの上が言うように平穏に過ごした方が平和じゃないか。
余計なことをした。今までの努力は無駄で無謀だった。
その時、エムの声が脳裏をよぎった。
ー 確かにな!ウチらのやっている事は無謀かも知れねえけどよ!無差別にソフィキエータを苦しませるSOGが許せねえんだよ!もう2度とあんな小さな子を泣かせたくないんだ!! ー
ー こうしてる間に無害ソフィキエータが迫害されてるんだぞ??アタシ力になりてぇんだ! ー
聞き慣れた声、口調。
ー てめえら、政府SOGはぁ…!小さな子供だけじゃ飽き足らず!じいちゃんにまで暴行を!! ー
ー 当たり前だろ、異能力者は人間じゃねえ、有害なバケモンだ。弱ってる内に始末するのが普通だから。お前どんな考えしてんの? ー
ギリリっとエムは歯ぎしりを立てていた。
エムの熱血的な声、特殊部隊リヒターの兵士の冷ややかな声が突き刺さる。
「何故だ?何故エムの声が!??」
動揺する。
ー 僕はβ区に来たばかりの時、ドローンに抹殺されるはずだったんだ。そこをあるソフィキエータの少女が助けてくれて命拾いしたんだ。今度は僕が誰かを救いたい ー
ー 私もセト君と同じ!誰かの助けになりたいなぁ。その為にこの異能力も与えられたんじゃない?それに私もセト君に救われたもん ー
セトやセリアの声も脳内を響く。
「その為に、与えられた…か」
机の周囲を眺めるとArizのアルバムを発見。
1枚目に、セト、エムとのプリクラ写真があった。
思い出が頭からこぼれ落ちる。
ー なはは!なんだよアゲハその格好!水着の上に白衣とか!なは!キモ!てか水着短か!メガネの代わりにゴーグルとか!変態だあっはっは! ー
腹を抑えながら大笑いの、涙を滝のように流すエムを見て
ー ふん、溺れてしまえこのカナヅチゴリラ ー
ー なぁ!? ー
ケンカばかりだった。
ー その洗濯板のような胸で言うか? ー
鼻で笑いながら言うと
ー うるせえ!これでもくらえー! ー
片方のルーズソックスでアゲハの口に引っ掛け背中を足で蹴る。
ー んお…んおおおおお…んひんへーる! ー
それでも内心楽しんでいた。
ー やはり俺は甘いものが苦手なようだ。それで俺が言いたいのはな…えと…その…やっぱり俺のクレープを食べてくれ… ー
少し照れているのか顔を逸らしている。
ー 仕方ないな~アタシが美味しく頂いてやるとするか ー
満足げに、幸せげに赤い頰で頬張るエムの顔を思い出す。
もしアイツの顔がもう見れなかったら…?
アゲハの胸は締め付けられた。
「なんだ、なんなんだこの感じ…」
ー よし!これでAriz結成だ。俺は頭脳、
エムは肉体、そしてセト、お前はArizの魂だ ー
アゲハの手の甲に、2人は順番に手を重ね、
ー 打倒!!SOG(対能力者処理局)!!! ー
ー おう!! ー
3人が揃った時、Arizの結成されたあの日へと
記憶が回り出す。
人間に対する信頼と一緒に哺乳類的な温かさを棄てたと思っていた。だがそれは違ったようだ。
アゲハは立ち上がり、眼鏡をカチッと鼻頭に付け直す。
ー 俺はお前とエムを信頼している。だからArizを結成させることが出来たんだ ー
セトと灯台を見たあの日の自分のフレーズをゆっくりと復唱する。
ー アタシは誓ったんだ!もう誰も泣かせない為に!アタシは強くなってやるんだってな! ー
最後にエムの声がこだまするように心を何度も打ち付けていった。
半年以上前のこと、ショッピングモールのあの事件の情景が、炎のように思考に広がっていく。
まだ異能力を発現させていなかった赤いツインテールの少女。
気が少し強いだけで圧倒的に大きな無機質な敵
には敵うはずはないのに、彼女は前に出た。
科学スランプに陥り、煮詰まった頭を冷やすために気の進まぬまま外に出た。
そんな落胆しきった俺に光を、生きる情熱をくれたのはアイツだった。
「フッ…馬鹿なのは俺の方だ。これでは科学者として、いやAriz司令塔としての顔が無くなってしまうな」
険しい表情は緩み、笑みを浮かべ始めた。髪をかき上げ天井を見上げる。
「…もう…大切な人の良心を貪られてたまるか。善意に漬け込む奴は俺が許さない!もう二度と…!」
科学の少年の瞳には強い光が宿っていた。
「俺達の叛逆(テロリズム)はこっからだ!」
**
「なんのよう…ぐはぁ!!」
「い、今外で!」
幹部に遊ばれ衰弱していたエムの目に輝きが戻る。
「オトモダチ、のようだねえ」
幹部は未だ楽しそうだ。
自動ドアのロックが解除され入ってきた。
「セト!お前もぶっ壊しに来たのか!」
「待たせたね。でも親切な兵士がここの場所とパスワードまで教えてくれたからこれでも近道な方だよ?」
「残念だねえ、色々仕掛けを用意していたのにこんなあっさり裏道で着いちゃうなんてなあ。面白い物を見せてやろう。この娘は胸を掴まれると」
「んぁっ」
「女の子みたいに喘ぐのだよ」
「このクソオヤジ!キモイんだよぉお!!てか女の子みたいじゃなくて女の子だぜぇえ!!」
涙目のエムを見てセトは幹部を睨む。
「最低な人だ。エムを離してください!貴方達はそうやって抵抗出来ないソフィキエータ達を一方的に傷つけて!離さないと僕が!」
セトはブラスターを向けた。
「ほーう。私を駆逐するのかい。無能力の君が?ええ、オモシロイねえ!無能、力の君がぁ!」
嘲笑う幹部の黒。
「セトを馬鹿にするんじゃねぇ!アタシの大事なダチでウチらArizのエースなんだぞ!」
「聞きたいことがもう一つ。【クイーン計画】ってなんですか?」
「はっは!潜入がてらその計画を知ったのかね!良いだろう教えてやろう!我々はヘプターナを見つけたのだよ!君のアウラ核を持ったのをね!」
「それまじか!?どこにいんだ!」
「管理局には居ないねえ。α区の兵器製造工房で眠っているのだよ。」
「目的は?」
セトがブラスターの青い閃光を貯め始めている。貯めるほど強い威力を出すのだ。
「ヘプターナの力を最大限引き出す方法を模索しているのだよ。君の持っていたキーを使ってね」
「卵みたいなドローンが盗みやがった十字のネックレスか!」
「あのキーの力は底が知れない。これからヘプターナ【闇】にあんなことやこんなことをしてみようというわけだ」
「その子に何かあったら僕が許しません。それとエムは返してくださいさもなと撃ちます!」
「威勢が良くなったねえ少年。キーなしで苦労しただろうに。私が準備したドローン軍を全て駆逐してくれたのは評価する。まぁ一度邪魔が入ったようだが良しとしよう。そろそろ時間だ、続きはまたにしよう」
その時だった。
「侵入者はここでごわすか!!」
図体の大きいリヒターが入ってきた。
ー ズキューン ー
突然の大声に驚き、とっさに後ろを向いて撃つ。
「ご?やりおったな小僧。わし、黒軍の司令官が制裁してやるでごわす」
腰の装置を変形させ男の半分程ある大きさの斧を振り上げる。
「あれだけ溜めてたのに少し後ずさっただけ?」
「セト!アタシはなんも出来ないけどがんばれ!」
「頼んだのだよ。黒将軍」
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