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――ピピー……。
ついに休憩を知らせる笛の音が、辺りに鳴り響いた。
洋平の思い描いた通り、美少女は先ほどと同じ場所に座っていた。
意を決した彼は美少女の視線を受けるようにと、ことさら足を海面に打ち付け、波飛沫十共に、一気に浜に泳ぎ着いた。そして、素知らぬ顔で、彼女から少し間を空けたところに腰を下ろした。
しばらく沈黙が続いた。
洋平は美少女の近くに座ったものの、話し掛ける言葉を見つけられずにいた。彼女の素性すらわからないままでの、思いつきの行動には、そこまで考えが及ぶはずもなかったのである。
さすがに、いきなり、
「君、名前は?」
などと訊ねることは、不躾だろうと思っていた。
この沈黙は、洋平に極度の緊張感をもたらした。
激しさを増す胸の鼓動は、しだいに痛みを伴い始め、呼吸もままならなくなった。
まるで、いつもより深い岩礁に大きなサザエを見つけ、どうにか獲物を手にしたものの、そこで無呼吸の限界に達してしまい、目眩を覚えながら光揺らめく海面に向い、浮上しているときのような息苦しさだった。
――このまま手を拱いていても、この圧迫感からは決して逃れられない。
袋小路に追い詰められた彼は、二者択一の決断に迫られた。
『思い切って話しかけるか、それとも立ち去るか』
答えは自ずと決まっていた。
胸の痛みに耐えることに精一杯で、頭の中が真っ白になっている彼が、前者を選択することなどあり得なかったのである。
とうとう、間合いに耐え切れなくなった彼が退散を決め込み、腰を浮かせて美少女に背を向けた、そのときだった。
「泳ぐのとても上手だね」
なんと、彼女の方から話し掛けてきた。
初めて耳にしたその声は、見事なまでに彼女の外見と一致して、期待を裏切ることのない涼やかなものだった。
洋平は、その鈴を転がしたような声に引き戻されるかのように、再び腰を下ろし、振り向いた。
間近で見た彼女は、一層美しかった。
やや卵形の丸顔で、大きな目、長い睫毛に形の良い耳。鼻筋が通っていて、適度な大きさの口があった。中でも印象に残ったのは、前髪から透けて見えた少し太目の濃い眉で、それが彼女の意思の強さと利発さを感じさせた。
彼女の方から声を掛けられるという、目論み以上の成果を得たのにも拘らず、洋平が、
「うん、まあね」
と素っ気無く答えてしまったため、そこで会話が途切れてしまった。
洋平は、気持ちと裏腹の物言いをしてしまったのだ。素直になり切れない彼の悪い癖だった。
洋平は集合場所のときといい、この場といい、機転を利かすことのできない自分自身に腹ただしくなっていた。
ところがである。
「私、井上美鈴。君は?」
再び彼女の方から話し掛けてきた。
洋平は救われた思いに、
「おらは」
とつい方言で答えそうになり、
「あっ、いや、僕は野田洋平」
慌てて標準語で言い直した。
田舎者だと思われる気恥ずかしさと、出雲弁では理解できないかもしれないという思いからだった。そして、今度こそ天与の機会を逃すまいと、洋平は初めて彼女を見つけたときから抱いていた疑問をぶつけた。
「わい、いや、君はどこの子?」
「大工屋よ」
彼女は洋平を見つめると、
「夏休みなので、お祖父(じい)ちゃんの家に遊びに来ているの。それと、普通に話して良いよ。私、だいたいわかるから」
と微笑んだ。
その瞬間、洋平は心臓を鷲掴みされたような痛みを覚えたが、それは心地よい痛みだった。
美保浦は、わずか五つの姓で村の八割の世帯を占めるほどに同姓が多かった。したがって、別段商売をしているわけでもないが、それぞれの家に屋号があり、皆それを呼び合っていた。
洋平の生家の「恵比寿」という屋号は、古くからの網元だったので、この辺りで海の神様として信仰を集めていた恵比寿様が由来となっていた。
大工屋とは、まさにその名の通り、大工職人をしている家であり、村に二軒しかない棟梁の家だった。
洋平は、大工屋の棟梁を知っていた。
祖父の洋太郎とは古い付き合いで、たまに家にやって来ては、祖父と酒を酌み交わしていたからだ。また、五年前に家の半分を取り壊して改築したのだが、それを請け負ったのも大工屋だった。
「大工屋? 万太郎爺さんなら知っちょうよ」
彼女が恵比寿と付き合いの深い 家の身内だったせいか、洋平はいくぶん心強くなっていた。
「えっ、お祖父ちゃんを知っているの?」
彼女は目を見開いた。
「うん、知っちょう。ちょくちょく、うちに酒を飲みに来られえよ」
「ふーん、そうなんだ」
彼女がそう言って首を傾げたとき、休憩の終わりを告げる笛が鳴った。休憩はこれが最後で、次の笛が鳴ったときは海水浴の終わりを意味していた。
このままで居たい洋平だったが、皆の注目を浴びることに躊躇いがあった。
後ろ髪を引かれる想いを抱いたまま海に入った洋平は、次に彼女と話ができる方法はないか、とずっと考えていた。
だが、とうとう思いつかないうちに、終わりを告げる笛が鳴ってしまった。
帰りの道すがら、洋平は美鈴の事ばかりを考えていた。
彼の頭の中は、彼女の顔や声で埋め尽くされていた。何かの病気にでも罹ったように、彼女の事が頭から離れなかった。
もちろん、このような経験はしたことがなく、彼は期待と不安が混在する、何とも奇妙な精神状態の中に置かれていた。
ただ、そうした中にあっても、彼が一つだけはっきりと自覚していたことは、この途切れることなく、美保浦湾に押し寄せる日本海の波の如く、間違いなく恋という波が、自分の胸に押し寄せて来ているということだった。
集合場所に着き、もう一度人数の確認を終えて解散となった。
「洋平君」
背後から呼び止める声がした。振り向くと、律子が近づいて来た。
「一緒に帰ろう」
「え?」
洋平は困惑した。初めて律子から声を掛けられたこともそうだが、それにも増して、美鈴の目が気になったのである。
躊躇している洋平に、律子は彼の手首を掴み、強引に歩き始めた。その勢いに押されるように、洋平はなすがままに歩みを進めるしかなかった。
律子の家は集合場所から海岸線に沿って続く、緩やかなカーブの一本道の中間点付近にあった。道程にして百五十メートルほどだったが、その僅かな距離が、洋平には千里の道程にも感じられた。
「洋平君、あの子を知っちょうの?」
怒ったような口調だった。
「いや、知らん」
洋平もぶっきらぼうに返した。
「だいてが、親しげに話をしちょった」
「えんや。大工屋さんの親戚で、遊びに来ちょうって訊いただけだ」
「ふーん、そうなの」
律子は懐疑的な目をすると、
「洋平君は明日も泳ぎに行く?」
と訊いた。
「いや、行かん。明日は叔父さんと八島へサザエを獲りに行くけん」
洋平は咄嗟に嘘を吐いた。理由は、彼自身にもわからなかった。
「そうなんだ。じゃあ、私も止める」
律子がそう言ったとき、彼女の家に辿り着いていた。
洋平は、一瞥もせずに歩き出した。律子は気掛かりの表情を浮かべながら、しばらく門の前で洋平の後姿を見つめている。
洋平の家は、律子の家からさらに百五十メートル南下した後、西に百メートルほど進んだところにあった。
大工屋の家は、洋平の家から南西の方角にあった。つまり、彼が曲がる角をさらに五十メートルほど南に下り、そこから西へ曲がることになった。その西に曲がって大工屋に向かう道が街や隣村へ繋がる道路で、バスが通る道でもあった。
洋平は、後ろを歩いているであろう美鈴のことが気になって仕方がなかった。
律子との関係を誤解したかもしれないという心配と――もっとも、誤解ではないのだが――もしかして、他の誰かが声を掛けているのではないかという不安が交錯した。
しかし、立ち止まって彼女を待ち、皆が注視する中で話し掛ける勇気など洋平には残ってはいなかった。すでに小浜で、彼女の横に座わったときに、それを使い果たしていた。
洋平は、後続から遠ざかるように、少し早足で歩いた。自身が話し掛けられないのであれば、万が一にも誰かと楽しそうに話す彼女の声を耳に入れたくなかったのだ。
ついに休憩を知らせる笛の音が、辺りに鳴り響いた。
洋平の思い描いた通り、美少女は先ほどと同じ場所に座っていた。
意を決した彼は美少女の視線を受けるようにと、ことさら足を海面に打ち付け、波飛沫十共に、一気に浜に泳ぎ着いた。そして、素知らぬ顔で、彼女から少し間を空けたところに腰を下ろした。
しばらく沈黙が続いた。
洋平は美少女の近くに座ったものの、話し掛ける言葉を見つけられずにいた。彼女の素性すらわからないままでの、思いつきの行動には、そこまで考えが及ぶはずもなかったのである。
さすがに、いきなり、
「君、名前は?」
などと訊ねることは、不躾だろうと思っていた。
この沈黙は、洋平に極度の緊張感をもたらした。
激しさを増す胸の鼓動は、しだいに痛みを伴い始め、呼吸もままならなくなった。
まるで、いつもより深い岩礁に大きなサザエを見つけ、どうにか獲物を手にしたものの、そこで無呼吸の限界に達してしまい、目眩を覚えながら光揺らめく海面に向い、浮上しているときのような息苦しさだった。
――このまま手を拱いていても、この圧迫感からは決して逃れられない。
袋小路に追い詰められた彼は、二者択一の決断に迫られた。
『思い切って話しかけるか、それとも立ち去るか』
答えは自ずと決まっていた。
胸の痛みに耐えることに精一杯で、頭の中が真っ白になっている彼が、前者を選択することなどあり得なかったのである。
とうとう、間合いに耐え切れなくなった彼が退散を決め込み、腰を浮かせて美少女に背を向けた、そのときだった。
「泳ぐのとても上手だね」
なんと、彼女の方から話し掛けてきた。
初めて耳にしたその声は、見事なまでに彼女の外見と一致して、期待を裏切ることのない涼やかなものだった。
洋平は、その鈴を転がしたような声に引き戻されるかのように、再び腰を下ろし、振り向いた。
間近で見た彼女は、一層美しかった。
やや卵形の丸顔で、大きな目、長い睫毛に形の良い耳。鼻筋が通っていて、適度な大きさの口があった。中でも印象に残ったのは、前髪から透けて見えた少し太目の濃い眉で、それが彼女の意思の強さと利発さを感じさせた。
彼女の方から声を掛けられるという、目論み以上の成果を得たのにも拘らず、洋平が、
「うん、まあね」
と素っ気無く答えてしまったため、そこで会話が途切れてしまった。
洋平は、気持ちと裏腹の物言いをしてしまったのだ。素直になり切れない彼の悪い癖だった。
洋平は集合場所のときといい、この場といい、機転を利かすことのできない自分自身に腹ただしくなっていた。
ところがである。
「私、井上美鈴。君は?」
再び彼女の方から話し掛けてきた。
洋平は救われた思いに、
「おらは」
とつい方言で答えそうになり、
「あっ、いや、僕は野田洋平」
慌てて標準語で言い直した。
田舎者だと思われる気恥ずかしさと、出雲弁では理解できないかもしれないという思いからだった。そして、今度こそ天与の機会を逃すまいと、洋平は初めて彼女を見つけたときから抱いていた疑問をぶつけた。
「わい、いや、君はどこの子?」
「大工屋よ」
彼女は洋平を見つめると、
「夏休みなので、お祖父(じい)ちゃんの家に遊びに来ているの。それと、普通に話して良いよ。私、だいたいわかるから」
と微笑んだ。
その瞬間、洋平は心臓を鷲掴みされたような痛みを覚えたが、それは心地よい痛みだった。
美保浦は、わずか五つの姓で村の八割の世帯を占めるほどに同姓が多かった。したがって、別段商売をしているわけでもないが、それぞれの家に屋号があり、皆それを呼び合っていた。
洋平の生家の「恵比寿」という屋号は、古くからの網元だったので、この辺りで海の神様として信仰を集めていた恵比寿様が由来となっていた。
大工屋とは、まさにその名の通り、大工職人をしている家であり、村に二軒しかない棟梁の家だった。
洋平は、大工屋の棟梁を知っていた。
祖父の洋太郎とは古い付き合いで、たまに家にやって来ては、祖父と酒を酌み交わしていたからだ。また、五年前に家の半分を取り壊して改築したのだが、それを請け負ったのも大工屋だった。
「大工屋? 万太郎爺さんなら知っちょうよ」
彼女が恵比寿と付き合いの深い 家の身内だったせいか、洋平はいくぶん心強くなっていた。
「えっ、お祖父ちゃんを知っているの?」
彼女は目を見開いた。
「うん、知っちょう。ちょくちょく、うちに酒を飲みに来られえよ」
「ふーん、そうなんだ」
彼女がそう言って首を傾げたとき、休憩の終わりを告げる笛が鳴った。休憩はこれが最後で、次の笛が鳴ったときは海水浴の終わりを意味していた。
このままで居たい洋平だったが、皆の注目を浴びることに躊躇いがあった。
後ろ髪を引かれる想いを抱いたまま海に入った洋平は、次に彼女と話ができる方法はないか、とずっと考えていた。
だが、とうとう思いつかないうちに、終わりを告げる笛が鳴ってしまった。
帰りの道すがら、洋平は美鈴の事ばかりを考えていた。
彼の頭の中は、彼女の顔や声で埋め尽くされていた。何かの病気にでも罹ったように、彼女の事が頭から離れなかった。
もちろん、このような経験はしたことがなく、彼は期待と不安が混在する、何とも奇妙な精神状態の中に置かれていた。
ただ、そうした中にあっても、彼が一つだけはっきりと自覚していたことは、この途切れることなく、美保浦湾に押し寄せる日本海の波の如く、間違いなく恋という波が、自分の胸に押し寄せて来ているということだった。
集合場所に着き、もう一度人数の確認を終えて解散となった。
「洋平君」
背後から呼び止める声がした。振り向くと、律子が近づいて来た。
「一緒に帰ろう」
「え?」
洋平は困惑した。初めて律子から声を掛けられたこともそうだが、それにも増して、美鈴の目が気になったのである。
躊躇している洋平に、律子は彼の手首を掴み、強引に歩き始めた。その勢いに押されるように、洋平はなすがままに歩みを進めるしかなかった。
律子の家は集合場所から海岸線に沿って続く、緩やかなカーブの一本道の中間点付近にあった。道程にして百五十メートルほどだったが、その僅かな距離が、洋平には千里の道程にも感じられた。
「洋平君、あの子を知っちょうの?」
怒ったような口調だった。
「いや、知らん」
洋平もぶっきらぼうに返した。
「だいてが、親しげに話をしちょった」
「えんや。大工屋さんの親戚で、遊びに来ちょうって訊いただけだ」
「ふーん、そうなの」
律子は懐疑的な目をすると、
「洋平君は明日も泳ぎに行く?」
と訊いた。
「いや、行かん。明日は叔父さんと八島へサザエを獲りに行くけん」
洋平は咄嗟に嘘を吐いた。理由は、彼自身にもわからなかった。
「そうなんだ。じゃあ、私も止める」
律子がそう言ったとき、彼女の家に辿り着いていた。
洋平は、一瞥もせずに歩き出した。律子は気掛かりの表情を浮かべながら、しばらく門の前で洋平の後姿を見つめている。
洋平の家は、律子の家からさらに百五十メートル南下した後、西に百メートルほど進んだところにあった。
大工屋の家は、洋平の家から南西の方角にあった。つまり、彼が曲がる角をさらに五十メートルほど南に下り、そこから西へ曲がることになった。その西に曲がって大工屋に向かう道が街や隣村へ繋がる道路で、バスが通る道でもあった。
洋平は、後ろを歩いているであろう美鈴のことが気になって仕方がなかった。
律子との関係を誤解したかもしれないという心配と――もっとも、誤解ではないのだが――もしかして、他の誰かが声を掛けているのではないかという不安が交錯した。
しかし、立ち止まって彼女を待ち、皆が注視する中で話し掛ける勇気など洋平には残ってはいなかった。すでに小浜で、彼女の横に座わったときに、それを使い果たしていた。
洋平は、後続から遠ざかるように、少し早足で歩いた。自身が話し掛けられないのであれば、万が一にも誰かと楽しそうに話す彼女の声を耳に入れたくなかったのだ。
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