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第七章 和解(1)
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形の良い笹竹を首尾よく手に入れ、意気揚々と帰路に就いていたときだった。近くの山で笹竹を切っていた寺本隆夫にばったり出くわしてしまった。
あの、門前で美鈴に冷たい態度を取ったとき以来のことだった。
「おやおや、総領さん自ら笹竹切りとは恐れ入りますのう」
隆夫は、顔を洋平に向けたままでお辞儀をするという、妙な謙りの所作を見せながら、相も変わらずからかうような物言いをした。
隆夫の挑発に反して、洋平はいつものように苛立ちはしなかった。このとき、ある決意をしていた彼は、冷静な目で隆夫を見ていたのである。
洋平はこれまで、隆夫のこのような言動に対して、苛立ちを押し隠すため軽く受け流し、全く相手にしていなかった。
だが、海岸通りでの美鈴の、
『隆夫君は四年前と少しも変わっていなかった』
との一言が、指肉に食い込んだウニの棘のように気になっていた彼は、そのときから隆夫の立場になって想いを巡らしてみた。
そして、ある結論に達していた。
思い返せば、洋平の知る限り、隆夫は誰一人として自ら話し掛けることがなかった。 唯一、自分に対してのみ、たとえそれが挑戦的であれ、からかいであれ、例外であったことに気付いたのだった。
――隆夫は寂しいのかもしれない。彼は自分と関わりたくて、わざと気を荒立てるような言動を取っていたのかもしれない。
そういう思いに至った洋平は、それが真実なのかどうかはともかく、少なくとも隆夫に対して真摯に接しようと心に決めていた。
そういう目で見れば、隆夫の言動は明らかに彼の鬱積した心の現われだと洋平にはわかった。洋平は、彼がこのような屈折した態度を取る、止むを得ない理由も察しを付けていた。
隆夫の生家もまた、かつては網元であった。
だが、洋平の祖父洋太郎が旗揚げした恵比寿水産には最後まで加わらず、独自で漁を続けていた。
ところが四年前の秋、突然の不幸が彼の家を襲った。大金を費やして建造した新船が、時化で難破してしまい、祖父と父を同時に亡くしてしまったのだ。
この事故が原因で、隆夫は心を閉ざしてしまうことになった。彼は、周囲の口先だけの同情を遠ざけ、必要以上のそれを拒んだ。つれて世間には寡黙を通し、洋平には茶化した態度を取るようになっていった。
その後の生計は、彼の母の女手一つに頼ったため、新船の借金を抱えた生活は楽ではなかった。やむを得ぬ事情で、隆夫の兄は中学を卒業と同時に、稼ぎの良い遠洋鮪漁船に乗ったため、ほとんど家にはおらず、母と二人暮らしの隆夫が実質的に家長の立場にあった。
隆夫もまた、小学生とはいえ、休みの日には海に出るなどして母を良く助けた。つまり、遊び半分の洋平とは違い、夏にサザエやあわびを獲り、冬にわかめや岩海苔を獲ることは生計の足しにするためであり、釣りもまた食卓に上がる貴重なおかずを得るための仕事だったのだ。
当然の如く、隆夫は釣りもそして素潜りも、洋平などより数段上手であった。それどころか、本職の漁師に混じってさえも大きく引けを取ることがなかった。
言わば、好むと好まざるとに拘らず、彼は海の申し子のような少年に成長していったのである。
そしてもう一つ、洋平はずっと後年になってから知ることになるのだが、隆夫は洋平より一歳年上だった。幼児の頃、大病を患い入学を一年延ばしていたのだ。おそらく彼自身はこの事実も知っていて、内向きになる傾向に拍車を掛けていたと思われた。
洋平は歩みを止め、深呼吸をした。
「そげな格好は、やめんか!」
率直に怒りを面に出した。
これまでとは一変した洋平の対応に、隆夫は驚きというよりは拍子抜けしたように唖然と佇んでいた。
やがて真顔になった。
「すまんの、洋平。ちょっとふざけすぎたの」
短い言葉ではあったが、洋平は久しく見聞きしていなかった隆夫の真摯な物言いに、心の中を一閃の清風が通り抜けたような気がした。わずかではあるが、彼に対するわだかまりが薄れたようにも感じていた。
「洋平。侘びという訳ではないけんど、一つええことを教えちゃろうか」
隆夫は妙に自信ありげな表情で言った。洋平は、彼の自信の在りかに興味を持った。
「ええことって、なんじゃ」
「実はな、うちが毎年笹竹を貰っている山のもう少し奥に分け入ったところに、小川の堰があるんだが、そこに蛍がいるんじゃ」
「蛍なら、小学校前の小川でも見ることができるがな」
当てが外れた洋平がおざなりな言い方をすると、隆夫は意味深げに微笑んだ。その、これ以上は焼けようがないほどに、真っ黒な顔からわずかに覗いた白い歯が、彼を一段と得意げに見せていた。
「そいがなあ、小学校の小川とは、蛍の数が全く違うだが。あれは何千、いや何万かもしれん。とにかく小学校のちょろちょろとしちょうのと違って、あばかん(多く)おるだが」
「だいてが、ここいらの蛍はいつも七月の中頃だけん、今頃居る訳がないが」
洋平は至って冷静だった。
へへへ……と薄笑いをした隆夫の自信は揺るぎのないものだった。
「普段はそげだが、今年はちと違うだが」
隆夫は高揚する気持ちを抑えるようかのように低い声で言った。その熱を受けた洋平と美鈴は、しだいに彼の話に聞き入っていた。
「どげな意味じゃ」
「おらが蛍を観たのは五年前の盆前だった。兄貴が親戚の山の杉の枝打ちを手伝ったときに見つけただ。そんときは、まだ日が暮れてなかったけん、あんまり綺麗じゃなかったらしいけんど、あばかんだったということはわかったらしい。その話を聞いて、翌日の夜、兄貴に連れて行ってもらったんだけんど、そりゃあ気味が悪いほど凄かったけん。おらもあんなのは初めて見ただ」
彼の性格からして、洋平は決して嘘でも大げさでもないと思った。
「その年はの、四月になっても低温が続いての、海水の温度も上がらんで、真鰯(マイワシ)が不漁だったし、山の根雪は一ヶ月も長く、四月の終わりまで残っちょった。だけん、蛍の繁殖も一ヶ月ほど遅れたじゃないかの」
「ということは……」
洋平は今年の冬を思い起こした。
「洋平君。今年の冬はどうだったの」
美鈴が急かすように訊いた。
「そう言えば、三月の終わりに季節外れの大雪が降り、四月になっても寒かった」
洋平が声を弾ませて言うと、
「今年の春も真鰯は不漁だったけん、五年前と似ちょうということだが」
隆夫は、どうだ参ったか、と言わんばかりの得意顔になった。
「けんど、蛍は水のきれいなところじゃないといけんのじゃろ。あの近くで、ダムの工事をしちょうけど、大丈夫だらか」
「さっき俺が行って見た限りでは、あの辺りは変わっちょらんから、大丈夫だら」
蛍の群生が現実味を帯びたことに、洋平は大いに興味をそそられたが、一方で絶望的な難題を抱えていることにも気付いていた。夜にどうやって家を抜け出すか、その手立てがないということである。
「私、見てみたい。洋君、二人で行こう」
美鈴は洋平の耳元で、囁くように誘った。洋平は、彼女の気持ちを忖度しながらも、きっぱりと否定した。
「そいは無理だけん」
「どうして」
「だって、夜なんだよ。夜だと、おらたちだけで、どこかへ行くことさえもできいしぇんのに、まして山に入るなんて絶対にできいしぇん」
いかに平和で安全な村だと言っても、いやそれが村人たちの相互関心の上に成り立っていることを思えばむしろ余計に、夜に村中をうろつくことなどできることではなかった。
それっきり、二人とも言葉がなくなった。
洋平は隆夫を少しだけ恨めしく思った。自分たちに興味を持たせた挙句、落胆するはめになったからだ。もちろん悪気のない隆夫に対して、筋違いであることはわかっていたが……。
隆夫と別れたときだった。
あの、門前で美鈴に冷たい態度を取ったとき以来のことだった。
「おやおや、総領さん自ら笹竹切りとは恐れ入りますのう」
隆夫は、顔を洋平に向けたままでお辞儀をするという、妙な謙りの所作を見せながら、相も変わらずからかうような物言いをした。
隆夫の挑発に反して、洋平はいつものように苛立ちはしなかった。このとき、ある決意をしていた彼は、冷静な目で隆夫を見ていたのである。
洋平はこれまで、隆夫のこのような言動に対して、苛立ちを押し隠すため軽く受け流し、全く相手にしていなかった。
だが、海岸通りでの美鈴の、
『隆夫君は四年前と少しも変わっていなかった』
との一言が、指肉に食い込んだウニの棘のように気になっていた彼は、そのときから隆夫の立場になって想いを巡らしてみた。
そして、ある結論に達していた。
思い返せば、洋平の知る限り、隆夫は誰一人として自ら話し掛けることがなかった。 唯一、自分に対してのみ、たとえそれが挑戦的であれ、からかいであれ、例外であったことに気付いたのだった。
――隆夫は寂しいのかもしれない。彼は自分と関わりたくて、わざと気を荒立てるような言動を取っていたのかもしれない。
そういう思いに至った洋平は、それが真実なのかどうかはともかく、少なくとも隆夫に対して真摯に接しようと心に決めていた。
そういう目で見れば、隆夫の言動は明らかに彼の鬱積した心の現われだと洋平にはわかった。洋平は、彼がこのような屈折した態度を取る、止むを得ない理由も察しを付けていた。
隆夫の生家もまた、かつては網元であった。
だが、洋平の祖父洋太郎が旗揚げした恵比寿水産には最後まで加わらず、独自で漁を続けていた。
ところが四年前の秋、突然の不幸が彼の家を襲った。大金を費やして建造した新船が、時化で難破してしまい、祖父と父を同時に亡くしてしまったのだ。
この事故が原因で、隆夫は心を閉ざしてしまうことになった。彼は、周囲の口先だけの同情を遠ざけ、必要以上のそれを拒んだ。つれて世間には寡黙を通し、洋平には茶化した態度を取るようになっていった。
その後の生計は、彼の母の女手一つに頼ったため、新船の借金を抱えた生活は楽ではなかった。やむを得ぬ事情で、隆夫の兄は中学を卒業と同時に、稼ぎの良い遠洋鮪漁船に乗ったため、ほとんど家にはおらず、母と二人暮らしの隆夫が実質的に家長の立場にあった。
隆夫もまた、小学生とはいえ、休みの日には海に出るなどして母を良く助けた。つまり、遊び半分の洋平とは違い、夏にサザエやあわびを獲り、冬にわかめや岩海苔を獲ることは生計の足しにするためであり、釣りもまた食卓に上がる貴重なおかずを得るための仕事だったのだ。
当然の如く、隆夫は釣りもそして素潜りも、洋平などより数段上手であった。それどころか、本職の漁師に混じってさえも大きく引けを取ることがなかった。
言わば、好むと好まざるとに拘らず、彼は海の申し子のような少年に成長していったのである。
そしてもう一つ、洋平はずっと後年になってから知ることになるのだが、隆夫は洋平より一歳年上だった。幼児の頃、大病を患い入学を一年延ばしていたのだ。おそらく彼自身はこの事実も知っていて、内向きになる傾向に拍車を掛けていたと思われた。
洋平は歩みを止め、深呼吸をした。
「そげな格好は、やめんか!」
率直に怒りを面に出した。
これまでとは一変した洋平の対応に、隆夫は驚きというよりは拍子抜けしたように唖然と佇んでいた。
やがて真顔になった。
「すまんの、洋平。ちょっとふざけすぎたの」
短い言葉ではあったが、洋平は久しく見聞きしていなかった隆夫の真摯な物言いに、心の中を一閃の清風が通り抜けたような気がした。わずかではあるが、彼に対するわだかまりが薄れたようにも感じていた。
「洋平。侘びという訳ではないけんど、一つええことを教えちゃろうか」
隆夫は妙に自信ありげな表情で言った。洋平は、彼の自信の在りかに興味を持った。
「ええことって、なんじゃ」
「実はな、うちが毎年笹竹を貰っている山のもう少し奥に分け入ったところに、小川の堰があるんだが、そこに蛍がいるんじゃ」
「蛍なら、小学校前の小川でも見ることができるがな」
当てが外れた洋平がおざなりな言い方をすると、隆夫は意味深げに微笑んだ。その、これ以上は焼けようがないほどに、真っ黒な顔からわずかに覗いた白い歯が、彼を一段と得意げに見せていた。
「そいがなあ、小学校の小川とは、蛍の数が全く違うだが。あれは何千、いや何万かもしれん。とにかく小学校のちょろちょろとしちょうのと違って、あばかん(多く)おるだが」
「だいてが、ここいらの蛍はいつも七月の中頃だけん、今頃居る訳がないが」
洋平は至って冷静だった。
へへへ……と薄笑いをした隆夫の自信は揺るぎのないものだった。
「普段はそげだが、今年はちと違うだが」
隆夫は高揚する気持ちを抑えるようかのように低い声で言った。その熱を受けた洋平と美鈴は、しだいに彼の話に聞き入っていた。
「どげな意味じゃ」
「おらが蛍を観たのは五年前の盆前だった。兄貴が親戚の山の杉の枝打ちを手伝ったときに見つけただ。そんときは、まだ日が暮れてなかったけん、あんまり綺麗じゃなかったらしいけんど、あばかんだったということはわかったらしい。その話を聞いて、翌日の夜、兄貴に連れて行ってもらったんだけんど、そりゃあ気味が悪いほど凄かったけん。おらもあんなのは初めて見ただ」
彼の性格からして、洋平は決して嘘でも大げさでもないと思った。
「その年はの、四月になっても低温が続いての、海水の温度も上がらんで、真鰯(マイワシ)が不漁だったし、山の根雪は一ヶ月も長く、四月の終わりまで残っちょった。だけん、蛍の繁殖も一ヶ月ほど遅れたじゃないかの」
「ということは……」
洋平は今年の冬を思い起こした。
「洋平君。今年の冬はどうだったの」
美鈴が急かすように訊いた。
「そう言えば、三月の終わりに季節外れの大雪が降り、四月になっても寒かった」
洋平が声を弾ませて言うと、
「今年の春も真鰯は不漁だったけん、五年前と似ちょうということだが」
隆夫は、どうだ参ったか、と言わんばかりの得意顔になった。
「けんど、蛍は水のきれいなところじゃないといけんのじゃろ。あの近くで、ダムの工事をしちょうけど、大丈夫だらか」
「さっき俺が行って見た限りでは、あの辺りは変わっちょらんから、大丈夫だら」
蛍の群生が現実味を帯びたことに、洋平は大いに興味をそそられたが、一方で絶望的な難題を抱えていることにも気付いていた。夜にどうやって家を抜け出すか、その手立てがないということである。
「私、見てみたい。洋君、二人で行こう」
美鈴は洋平の耳元で、囁くように誘った。洋平は、彼女の気持ちを忖度しながらも、きっぱりと否定した。
「そいは無理だけん」
「どうして」
「だって、夜なんだよ。夜だと、おらたちだけで、どこかへ行くことさえもできいしぇんのに、まして山に入るなんて絶対にできいしぇん」
いかに平和で安全な村だと言っても、いやそれが村人たちの相互関心の上に成り立っていることを思えばむしろ余計に、夜に村中をうろつくことなどできることではなかった。
それっきり、二人とも言葉がなくなった。
洋平は隆夫を少しだけ恨めしく思った。自分たちに興味を持たせた挙句、落胆するはめになったからだ。もちろん悪気のない隆夫に対して、筋違いであることはわかっていたが……。
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