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浅い眠りのせいなのだろうか、洋平は誰かの話し声で目が覚めた。声のする縁側の方を向くと、背を向けたウメと美鈴が腰掛けていた。
東の空がようやく白み始めたところで、薄闇の中で時計を見ると、まだ四時を過ぎたばかりだった。ウメはいつものように日の出前に起きたのだろうが、美鈴がこんなに早く起きている事に驚いた。
――何を話しているのだろうか。
二人の会話が気になり、すっかり目が冴えてしまった洋平は、身体を起こし蚊帳の中から声を掛けた。
「こがいに朝早くから何をしちょうの?」
「ああ、洋平か。起こしてしまったかの。おらが神さんを拝もうとしたら、美鈴ちゃんが起きちょったけん、ちょっと話ちょっただが」
二人は同時に振り向くと、ウメがそう言った。洋平は蚊帳を出て、美鈴の横に座った。。
「どげな話?」
「美鈴ちゃんが、『あの世って本当にあるんですか?』って訊いたけん。おらは、『それは難しい質問だが。有るって言えば有るし、無いって言えば無い。それは誰かに教わるもんじゃなくて、美鈴ちゃんの気持ち次第だが。わしは有ると信じて生きてきたけんど、それは人に押し付けるもんじゃないだが。美鈴ちゃんも、これから大人に成長していく過程で、色々な経験や勉強したうえで、自分自身で判断するだが』と答えただ」
と言うと、ウメは洋平向かって何かを催促するように顎を引いた。
「美鈴ちゃん、お祖母ちゃんの言うとおりだが。お祖母ちゃんはおらにも自分の心が決めることだって言ってござあけん」
ウメは誰に対してもそのような態度だった。ウメは孫の洋平にさえ、自分の信じるものを押し付けるような事はしなかった。
「洋平が起きたなら、おらは神さんにお経を上げるとするかな」
ウメは神棚のある奥の間に入って行った。
「美鈴ちゃん、えらい早く起きたんだね」
「なんか、寝ているのがもったいなくて……ずっと起きていても良いくらいだった」
「まさか,ずっと起きちょったの?」
違うよ、と美鈴は顔を横に振った。
「最初はなかなか寝付けなくて、そのまま朝まで眠らなくても良いかなって思ったんだけど、洋君の寝息を聞いているうちに眠ってしまったみたい。でも、まだ暗い内に目が覚めて、しばらくじっとしていたんだけど、そのうちにお婆さんが起きてこられたので、私も蚊帳を出てお話をしてたの。ねえ、洋君。それより、せっかく早起きしたんだから、日の出を見に海岸へ行かない?」
美鈴は、洋平の腕を取った。
「海岸かあ……」
洋平が曖昧な返事をすると、
「ねえ、行こう」
と、美鈴は立ち上がって洋平の腕を力強く引っ張った。
「そいなら、海岸よりももっとええとがあるよ」
「どこ?」
美鈴は少し考えて、
「もしかして、お墓?」
と訊いた。
「いいや、たしかにお墓も眺めはええけんど、もっとええとこがあるだが」
「お墓じゃないのか……そうだ。だったら、あそこかな?」
彼女は顔を赤らめながら言った。洋平はその仕種で、美鈴が思い浮かべた場所がわかったが、
「あそこって、どこ?」
と顔を覗き込むようにして意地悪く聞いた。
「キスしたところ……」
美鈴は、顔を叛けるようにして呟いた。洋平は、その愛しさに思わず抱きしめたくなったが、そのようなことができるはずもない。ウメの目もあるし、美穂子だって様子を窺っているとも限らないのだ。
「いいや、それも違う。今からあそこまで行くには時間が掛かるけん、日の出の一番ええとこを見損なってしまうがな」
洋平は冷静を装う。
「ねえ、それならいったい何処? 早く行かないとお日さん出ちゃうよ」
美鈴は焦れた様子で、なかなか場所を言わない洋平を急かした。
洋平は、ようやく指を上に向けて、勿体付けるように言った。
「この上」
「この上って?」
美鈴は上を向いたまま訊いた。彼女はその場所がどこか、まだわからないようだった。
「屋根に上るだが」
「ええー、屋根に上るの、どうやって?」
と、美鈴は目を丸くする。アパート暮らしの彼女には、屋根に上がるという発想など思い浮かばないのだ。
「梯子を掛けてもええのだけんど、そげんことせんでも、もっと簡単に上がれるだが。鈴ちゃん、行かい」
言うや否や、今度は洋平が美鈴の手を取って離れに移った。そこで二人は、一旦離れた。洋平は自分の部屋に、美鈴は荷物を置いてある客間に入った。着替えを済ませるのだ。二、三分後、着替えを終えた美鈴が東南の角部屋にやって来た。日当たりが良く、十畳もの広さがある部屋が洋平の自室だった。
「わあ、ここが洋平君の部屋なんだ。広いね」
美鈴が感激したように言う。
というのも、これまで洋平は美鈴を自室に入れたことがなかった。そもそも離れ自体に入れてはいなかった。
母屋は、全ての襖や障子が開け放たれてある。つまり、二人がどこにいても周囲の監視の目に晒されているということである。対して、離れは土間に繋がる廊下こそガラス戸で仕切られているが、他の部屋全てが引き戸なので、必然と密室になる。
洋平は、有らぬ誤解を防ぐために、敢えて離れで過ごさなかったのである。
「この窓から上がっていくだが。鈴ちゃん、おらがすることを真似して、後を着いて来て」
洋平は窓の格子に手をやり、身体を抜いて屋根の上に出た。そして、彼女が同じようにして出て来るのを待ち、そこから上の層に上がって行った。
「すごく高いね。洋君、ちょっと怖い」
美鈴は恐怖心に襲われていた。無理もなかった。生まれて初めての体験の上に、恵比寿家は天井を高く造っていたため、頂上の高さは、他所の家の倍近くになっていた。
ただ、洋平が屋根に上がっていることを知った里恵が、大工に頼んで命綱ならぬ、命手摺を施してあった。
「鈴ちゃん、手摺があるから大丈夫だよ」
洋平は笑みを浮かべ、美鈴の気持ちを和らげる。
「下を見たらいけんよ。それと絶対に立ったらいけんよ。大丈夫、瓦はすべえしぇんけん。両手両膝を瓦につけて、つま先を立てて、ゆっくり這うようにして上っていくだが」
洋平はまず美鈴を先に上らせた。万が一、足を滑らせたとき支えるためである。
「やだあ、パンツが見えない?」
美鈴が恥ずかしように言う。この日は短パンではなくスカートだった。
「見えないから安心して、それより手摺をしっかり掴んで集中して」
洋平は怒ったように注意した。
パンツは見えなかったが、その白い太腿が目に眩しかった。
洋平は高揚を悟られないように、わざとぶっきらぼうに言ったのだ。
東の空がようやく白み始めたところで、薄闇の中で時計を見ると、まだ四時を過ぎたばかりだった。ウメはいつものように日の出前に起きたのだろうが、美鈴がこんなに早く起きている事に驚いた。
――何を話しているのだろうか。
二人の会話が気になり、すっかり目が冴えてしまった洋平は、身体を起こし蚊帳の中から声を掛けた。
「こがいに朝早くから何をしちょうの?」
「ああ、洋平か。起こしてしまったかの。おらが神さんを拝もうとしたら、美鈴ちゃんが起きちょったけん、ちょっと話ちょっただが」
二人は同時に振り向くと、ウメがそう言った。洋平は蚊帳を出て、美鈴の横に座った。。
「どげな話?」
「美鈴ちゃんが、『あの世って本当にあるんですか?』って訊いたけん。おらは、『それは難しい質問だが。有るって言えば有るし、無いって言えば無い。それは誰かに教わるもんじゃなくて、美鈴ちゃんの気持ち次第だが。わしは有ると信じて生きてきたけんど、それは人に押し付けるもんじゃないだが。美鈴ちゃんも、これから大人に成長していく過程で、色々な経験や勉強したうえで、自分自身で判断するだが』と答えただ」
と言うと、ウメは洋平向かって何かを催促するように顎を引いた。
「美鈴ちゃん、お祖母ちゃんの言うとおりだが。お祖母ちゃんはおらにも自分の心が決めることだって言ってござあけん」
ウメは誰に対してもそのような態度だった。ウメは孫の洋平にさえ、自分の信じるものを押し付けるような事はしなかった。
「洋平が起きたなら、おらは神さんにお経を上げるとするかな」
ウメは神棚のある奥の間に入って行った。
「美鈴ちゃん、えらい早く起きたんだね」
「なんか、寝ているのがもったいなくて……ずっと起きていても良いくらいだった」
「まさか,ずっと起きちょったの?」
違うよ、と美鈴は顔を横に振った。
「最初はなかなか寝付けなくて、そのまま朝まで眠らなくても良いかなって思ったんだけど、洋君の寝息を聞いているうちに眠ってしまったみたい。でも、まだ暗い内に目が覚めて、しばらくじっとしていたんだけど、そのうちにお婆さんが起きてこられたので、私も蚊帳を出てお話をしてたの。ねえ、洋君。それより、せっかく早起きしたんだから、日の出を見に海岸へ行かない?」
美鈴は、洋平の腕を取った。
「海岸かあ……」
洋平が曖昧な返事をすると、
「ねえ、行こう」
と、美鈴は立ち上がって洋平の腕を力強く引っ張った。
「そいなら、海岸よりももっとええとがあるよ」
「どこ?」
美鈴は少し考えて、
「もしかして、お墓?」
と訊いた。
「いいや、たしかにお墓も眺めはええけんど、もっとええとこがあるだが」
「お墓じゃないのか……そうだ。だったら、あそこかな?」
彼女は顔を赤らめながら言った。洋平はその仕種で、美鈴が思い浮かべた場所がわかったが、
「あそこって、どこ?」
と顔を覗き込むようにして意地悪く聞いた。
「キスしたところ……」
美鈴は、顔を叛けるようにして呟いた。洋平は、その愛しさに思わず抱きしめたくなったが、そのようなことができるはずもない。ウメの目もあるし、美穂子だって様子を窺っているとも限らないのだ。
「いいや、それも違う。今からあそこまで行くには時間が掛かるけん、日の出の一番ええとこを見損なってしまうがな」
洋平は冷静を装う。
「ねえ、それならいったい何処? 早く行かないとお日さん出ちゃうよ」
美鈴は焦れた様子で、なかなか場所を言わない洋平を急かした。
洋平は、ようやく指を上に向けて、勿体付けるように言った。
「この上」
「この上って?」
美鈴は上を向いたまま訊いた。彼女はその場所がどこか、まだわからないようだった。
「屋根に上るだが」
「ええー、屋根に上るの、どうやって?」
と、美鈴は目を丸くする。アパート暮らしの彼女には、屋根に上がるという発想など思い浮かばないのだ。
「梯子を掛けてもええのだけんど、そげんことせんでも、もっと簡単に上がれるだが。鈴ちゃん、行かい」
言うや否や、今度は洋平が美鈴の手を取って離れに移った。そこで二人は、一旦離れた。洋平は自分の部屋に、美鈴は荷物を置いてある客間に入った。着替えを済ませるのだ。二、三分後、着替えを終えた美鈴が東南の角部屋にやって来た。日当たりが良く、十畳もの広さがある部屋が洋平の自室だった。
「わあ、ここが洋平君の部屋なんだ。広いね」
美鈴が感激したように言う。
というのも、これまで洋平は美鈴を自室に入れたことがなかった。そもそも離れ自体に入れてはいなかった。
母屋は、全ての襖や障子が開け放たれてある。つまり、二人がどこにいても周囲の監視の目に晒されているということである。対して、離れは土間に繋がる廊下こそガラス戸で仕切られているが、他の部屋全てが引き戸なので、必然と密室になる。
洋平は、有らぬ誤解を防ぐために、敢えて離れで過ごさなかったのである。
「この窓から上がっていくだが。鈴ちゃん、おらがすることを真似して、後を着いて来て」
洋平は窓の格子に手をやり、身体を抜いて屋根の上に出た。そして、彼女が同じようにして出て来るのを待ち、そこから上の層に上がって行った。
「すごく高いね。洋君、ちょっと怖い」
美鈴は恐怖心に襲われていた。無理もなかった。生まれて初めての体験の上に、恵比寿家は天井を高く造っていたため、頂上の高さは、他所の家の倍近くになっていた。
ただ、洋平が屋根に上がっていることを知った里恵が、大工に頼んで命綱ならぬ、命手摺を施してあった。
「鈴ちゃん、手摺があるから大丈夫だよ」
洋平は笑みを浮かべ、美鈴の気持ちを和らげる。
「下を見たらいけんよ。それと絶対に立ったらいけんよ。大丈夫、瓦はすべえしぇんけん。両手両膝を瓦につけて、つま先を立てて、ゆっくり這うようにして上っていくだが」
洋平はまず美鈴を先に上らせた。万が一、足を滑らせたとき支えるためである。
「やだあ、パンツが見えない?」
美鈴が恥ずかしように言う。この日は短パンではなくスカートだった。
「見えないから安心して、それより手摺をしっかり掴んで集中して」
洋平は怒ったように注意した。
パンツは見えなかったが、その白い太腿が目に眩しかった。
洋平は高揚を悟られないように、わざとぶっきらぼうに言ったのだ。
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