追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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1話 追放

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「ノロワ、お前をこの『紅蓮の不死鳥』から追放する」
「……え?」

 僕が所属しているパーティー『紅蓮の不死鳥』のリーダー、『剣士』のラッシュは僕に向けて追放を言い渡す。

「ど、どういうこと? タチの悪い冗談はやめてよ」
「……はぁ。冗談な訳ないだろう? お前はこのパーティーのお荷物なんだよ」
「そ、そんな……。これまで一緒にやってきたじゃないか!? 『紅蓮の不死鳥』も今日からやっとAランクに昇格してこれからって時に」
「だから追放するんだよ。Aランクのパーティーに『呪詛士』なんて縁起の悪い職業ジョブは不要なんだ」
「……っ!?」

 この世界では十五歳になると『成人の儀』が執り行われる。
 その際に神官から新成人には最も適した『職業ジョブ』を言い渡されるのが仕来りとなっている。

『剣士』や『魔法使い』、『農民』や『刀鍛冶』など、様々な『職業』があり、数ある職業の中で僕の職業は『呪詛師』だった。


「珍しい職業だったからパーティーに入れてやったのに、実際にはただの役立たずだったじゃないか」
「そ、そりゃあ僕自身の戦闘能力はないかもしれないけど、それでもサポート職として頑張ってきたじゃないか!?」
「……ぷっ……、ふはははははははははは!! サポートォ!? あまり笑わせるなよ、ノロワぁぁぁ」

「アハハハハハハハハ」
「クスクスクス」
「キャハハハハ」

 ラッシュの笑い合わせるように、黙っていた他のパーティーメンバーも大笑いする。
 な、何がそんなにおかしいんだ!?

「お前の言うサポートってのは、あの『呪法』の事だろ?」

 呪詛師である僕は『魔法』は使えないけど、代わりに『呪法』……つまり『呪い』が使える。
『呪法』はソレ単体では攻撃能力がないが、対象の能力を下げたり、状態異常を引き起こしたり、いわゆるデバフの役割ができる。

「ノロワのデバフなんてこれまで役に立ったことなんてないだろぉ? 精々敵がちょっと弱体化していたくらいだ。荷物持ちとして便利だから今まで仲間に入れてやっていたけど、これから俺たちはAランク冒険者として更に上を目指さなきゃならないんだ」

 ラッシュは椅子から立ち上がり、僕の肩を強く掴む。

「だから役立たずのお前は追放クビなんだよ」

 そ、そんな……。
 ラッシュからの二度目の追放宣言に目の前が真っ暗になりそうになる。

 だけど、僕の仲間はラッシュだけじゃない。
 『治癒士ヒーラー』のフィリアに『魔法使い』のアンナ、そして『槍士ランサー』のスペース……誰かが僕を庇ってくれるかもしれない。

 すがる思いで他のパーティーメンバーの方を向くと、三人とも僕を馬鹿にしたようにニヤニヤと笑みを浮かべている。

「やっと足手まといがいなくなった。『呪詛師』なんて辛気臭い職業ジョブは私たちに必要ないのよねー」
「ええ、全くです。デバッファーなんて役にも立ちませんからね」
「今の一流パーティーの主流は弱体デバフじゃなくて強化バフだしねー」
「そもそも本当にデバフもかかっていたのかねぇ?」
「あっ、言えてるー! もしかして今まで、私たちの背後うしろに隠れてサボってたんじゃなーい?」
「だとしたら最低ですね。まあ、臆病なノロワ君ならやりそうですけど」
「まあ、荷物持ちがいなくなるのだけは惜しいけどなぁ!」


 ……三人とも、僕のことをそんな風に思っていたのか。
『紅蓮の不死鳥』のみんなを仲間だと思っていたのは、どうやら僕だけだったんだ。

 そして、僕の追放はラッシュの独断なんかじゃなく、『紅蓮の不死鳥』全員の総意でもある事を痛感してしまった。

「もうお前の代わりになる優秀なバッファーもスカウト済みなんだ。だからさっさと荷物をまとめて出て行ってくれ。これから本当の仲間たちと昇級したお祝いをするんだよ」

 ……言い返す気力すらもわいてこない。
 僕はラッシュに言われるまま、逃げるように部屋から出て行く。

 せめて泣かないようにする事だけが僕に出来る最後の抵抗だった。

「おーい、ノロワァァ!! 逆恨みして俺たちに『呪い』をかけないようにしてくれよー! まあ、効かないけどなぁー!!」
「「「あっはっはっはっはっ!!」」」

 仲間たち……いや、元仲間たちの嘲笑が背後から聞こえてきた。
 彼らにとって、僕は本当に不要な邪魔者だったんだなと実感する。

 それからどうやって自宅に帰ったのかは記憶にない。
 ただ、ベッドに倒れ込むなり、滝のように目から涙が流れていくのを止めることはもう無理だった。

 ◇◆◇◆◇

「仕事が……ない……」

『不死鳥の騎士団』から追放されてもう一週間が経過した。
 最初の三日は自室のベッドに引きこもっていたけど、いつまでもそうしてはいられない。

 パーティーを追放された僕はただの無職だ。
 このままじゃ家賃すら払えなくなってしまう。

 まずはどこかのパーティーに入れてもらって冒険者として再出発しようと思い、メンバーを募集しているパーティーに応募してみたんだけど……。

「ごめんなさい」
「無理です」
「すいません」
「お断りします」
「不採用」
「あなたの今後のご活躍をお祈りします」

 ……ものの見事に全滅だった。

 これでも一応はAランクのパーティーメンバーだったのに!
 BランクはおろかCやDランクのパーティーにすら加入を断られてしまった。

 一度パーティーを追放された冒険者は役立たずの烙印を押され、他のパーティーへの再加入が難しくなるってのが冒険者内の常識でもある。
 だけど、いくらなんでもここまで再就職が困難になるとは予想もしていなかった。

「あはは……お困りですねぇ、ノロワ君」

 ギルドの受付をしているロゼさんが話しかけてくる。
 ロゼさんは僕が冒険者を始めてからの付き合いだ。

 仕事の話以外にもこうしてちょくちょく相談に乗ってもらっている。

「ううう……やっぱり『呪詛師』って職業ジョブがよくないんですかね?」

 いくら追放者の烙印を押されたとしても、Aランクの冒険者は貴重だ。
 それなのに、これほど加入を断られる理由があるとしたら、僕の職業が超のつくほど無名マイナーなせいなのかもしれない。

 確かに、得意技は『呪い』ですってアピールしたとこで、『……『呪い』ってなんだ?』としか思われないだろうしね。

「うーん、それとは別の理由だと思いますけどねぇー」
「どういうことですか?」
「実はノロワ君が寝込んでいる間にラッシュさんがギルド内で盛大に噂を広めていたんです。『ノロワは無能で何の役にも立たないから追放してやったぜぇ』って」

 あ、あの野郎!!
 そんな噂が広まったら、僕を入れてくれるパーティーなんて無くなるに決まってるじゃないか。

 通りで僕が面接に行くと、みんなめちゃくちゃ渋い顔をしていたわけだ。
 そんな悪評を持った僕をパーティーに入れたら、そのパーティーまで悪評が広まってしまうしね。

 ……ああ、終わった……。

「それならソロで受けれるクエストをしてみたらどうですか? ノロワ君の実績ならソロでの申請も許可されると思いますよ」
「ふっ、なめないで下さいよ。僕個人の戦闘力はスライム以下です。その辺のチワワにすら喧嘩で負ける自信があります。そんな僕がソロで受けられるクエストなんて存在しませんよ!」
「……自分の弱さをそこまで自信満々に言わないでくださいよ」

 ロゼさんは苦笑いをするけど、仕方ないじゃないか。
 むしろ冷静な自己分析とも言える。

 そもそも冒険者がソロでクエストを受けるには、冒険者の命を守ると言う意味で、ギルドから特別な許可が必要になってくる。
 ロゼさんは気を遣ってくれたのか、僕ならソロでも行けると言ってくれたけど、僕の貧弱な戦闘能力だと許可が降りるのかも怪しい。

 だからこそ何とかして他のパーティーに再加入したかったんだけど……このままじゃ立派な無職が出来上がってしまう。

「あっ、そうだ! いい考えがありますよ!!」
「いい考え? 教えてください!」

 僕は藁にもすがる思いで身を乗りだす。
 この八方塞がりの状況を打破できる案があるなら、是非ご教授願いたい! 

「ノロワ君がパーティーに入らないなら、いっそのことノロワ君がパーティーを作っちゃえばいいんですよ!」

「……へ?」
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