3 / 44
3話 結成
しおりを挟む「改めまして……ワタシはエマっていいます。あの、本当になんとお詫びをすればいいか……」
エマと名乗った少女は恥ずかしさと申し訳なさを混ぜ合わせたような複雑な表情で頭を下げる。
エマはお酒の飲みすぎで吐いた後倒れたので、医務室に運ばれた。
ちなみにエマの嘔吐物は僕とロゼさんの二人で処理しました。
掃除後、お見舞いとパーティー勧誘の返事を聞くのも兼ねて医務室に顔を出したら地面に頭をつける勢いでこうして謝られている。
「頭を上げてよ。僕は全然気にしてないから! それより体調も良さそうで良かったよ」
「はい、おかげさまで……。吐いたのと、酔い覚ましの魔法をかけてもらったので大分良くなりました」
酒臭さは若干残っているものの、もう泥酔はしていなさそうだ。
泥酔時は中々インパクトの強い子だったけど、酔ってさえいなければ素直でいい子じゃないか。
「多分年齢も近いし、敬語はやめてよ」
僕は右手を差し出し握手を求める。
「僕の名前はノロワ。よろしくね、エマ!」
「あっ、そのっ……よろしく、ノロワ!」
エマも笑顔で僕の握手に応えてくれる。
よし、ここまでは好感触。
この調子なら僕とパーティーを組んでくれるかもしれない!
「それで……さっきの返事なんだけど、どうかな?」
「アタシとパーティーを組みたいって話よね?」
ちゃんと記憶があってよかった。
パーティー勧誘した直後に吐いたり倒れたりしたから記憶がなかったらどうしようって思ってたんだ。
「……その、言いにくいんだけど、アタシが前のパーティーを追放されたってのは知ってる? それでもアタシとパーティーを組んでくれるの?」
「そんなの全然問題ないよ! 僕も追放された側だしね!!」
「え?」
「え?」
……おや?
なんだか分からないけど、風向きが変わったような気がするよ?
「確認だけど、ノロワってどこかのパーティーに所属してるよね?」
「ううん、今はソロだよ」
「え?」
「え?」
そういえば、まだエマのことをパーティー勧誘しただけで僕の今の状況を伝えていなかったな。
ここでエマは、僕がエマ同様パーティーを追放されたソロの冒険者だと理解したようだ。
エマは何かを考えるように俯くと……、
「はぁーーーー、何よそれ。騙された気分だわ」
クソでかため息と悪態を吐く。
「あのー、エマ、どうしたの?」
「馴れ馴れしいわね。アタシの事を気安く呼び捨てにしないで」
ええええええええ!?
さっきまでの和やかな空気はどこへ行ったんだ!?
「ちょっ……えっ!? さっきまでとは別人みたいだよ!?」
「さっきまでとは別人よ」
別人なの!?
「せっかく猫被っていい子を演じていたのに無駄だったじゃない。……でも、そうよね。アタシみたいな追放された冒険者にスカウトがくるなんておかしいと思ったのよ。はぁ、もう、最悪」
終いには最悪とまで言われてしまった。
てか、猫を被ってたんだね。
どうやら、泥酔時の口調や態度の方が素に近かったようだ。
「あのー……エマさん?」
「いいから黙ってて! 今、考え事してるから!!」
「はいっ!」
エマの迫力に押されて思わず従ってしまう。
エマは目をつぶりながら何かを考え出す。
「あー、どうしよっかなぁ……。追放者同士でパーティー組むとか……ないわー……。しかもソロとか……重ねてないわー……。でも、このままじゃアタシもソロのままだしなぁー。それなら、他のパーティーが見つかるまではコイツと組んだほうが……。いや、でもなぁー……いやー、ないわー」
考え事が全部漏れてるんだよなー……。
三回も「ないわー」って言われたし。
誰だよ、お酒さえ入ってなければ素直でいい子だって言ったの。
素面は腹黒で悪い子だったよ。
「……はぁ、しょうがないわね。いいわ、ノロワ。アタシがもっといい条件のパーティーが見つかるまでの間はアンタとパーティーを組んであげるわよ! 感謝することね!」
まさかの上から目線!?
いや、そりゃあ、僕から頼んだ事だけど……。
しかも、事前に乗り換え宣言までされちゃったし。
「何よ、その顔。何か不満でもあるの? こんなに可愛いアタシが追放者の貴方とパーティーを組んであげるって言ってるのよ。ほら、感謝の言葉をいいなさいよ」
……この子、こんな性格だからパーティーを追放されたんじゃないのか?
ここまでのやり取りでエマとパーティーを組むのをちょっと躊躇いそうになる。
だけど、僕と組んでくれるような冒険者は貴重だ。
何より僕はソロじゃ何もできない。
ここは素直にエマと組む以外の選択肢が僕には存在しないってわけだ。
「あ、りがと……う、ござい……ま、す」
「なんか思うところありそうな返事ね」
渋々ながら感謝の言葉を伝えたらエマは不満そうな顔をする。
そりゃあ色々と思うところはありますよ!!
「まあいいわ。早速明日クエストを受けましょう。あ、それと堅苦しいから敬語はいらないわよ。呼び捨ては認めないけどね」
いつの間にか主導権を完全に握られてしまった。
……はぁー……。
とんでもない子とパーティーを組んでしまった気がする。
だけど、何はともあれ、これでパーティーを組む事が出来た。
ここから僕の新しい冒険者生活が始まるんだ!
「とにかく改めて自己紹介するわ。アタシはエマ。職業は『魔法い』よ」
「こちらこそよろしく! 僕はノロワ。職業は『呪詛師』だよ」
「ああ、それと食事や回復薬の準備は頼むわね。荷物持ちもよろしく!」
……始まっていいのだろうか?
21
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。
絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。
一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。
無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる