追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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9話 涙々

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「その、えっと……ごめんなさ、い……」
「大丈夫だよ。感極まっただけだよね?」

 時間が経って冷静になったのか、エマは顔を真っ赤にして謝ってくる。
 僕は理性との戦いだったけど、今は役得だったと思おう。

 ちなみに、僕はなんでもなかった風に冷静に振る舞っているけど、実は耳がエマ同様真っ赤になっています。
 はー、顔があっついなぁ……。



「それじゃあ今度こそ帰りましょうか」
「うん、そうだね」
「あと、それと……」

 ……そろそろエマの方からパーティー解散について切り出してくるかな?
 魔法を使いこなせるようになったエマに僕のような追放冒険者は不要だろう。

 僕はエマから続く言葉を覚悟していると……。

「帰り道ついでに次のクエストについて決めましょう?」
「え?」
「え?」

 エマからの思いがけない提案に、咄嗟に聞き返してしまった。
 僕の聞き間違いだよね。
 このパーティーに次なんてあるはずがないのに……。

「アタシ、何かおかしいこと言ったかしら?」
「その……エマが次の事を計画してきたから驚いちゃって」
「なんでそれで驚くのよ。アタシとノロワはパーティーなんだからクエストについて相談するのは当たり前でしょ?」
「え?」
「え?」

 ……あれ?
 なんか話が繋がらないぞ?

「そのー……僕の方からは言いにくいんだけど、エマは僕とパーティーを解散したいんじゃないの?」
「……はぁっ!? なんでそうなるのよ!!」

 エマが怒りの声を上げる。
 なんでそうなるって言われても……元々エマが言っていたことじゃないか。

「だ、だって、エマが僕とパーティーを組む時に、もっといい条件のパーティーがあったらそっちと組むって言ったんじゃないか。魔法を使いこなせるようになったエマならパーティーは選び放題でしょ?」

 少なくとも、今のエマはこんなEランク初心者クエストをするような人間じゃない。
 BやA……いや、Sランクパーティーに入るのだって夢じゃないんだ。

「うっ……た、確かにその時はそう言ったけど……」
「エマは僕みたいな追放者と組むより、もっと相応しい場所があるし、僕とのパーティーを解散するのを止められないよ」

「……っ! ちょっと、何言ってるのよ!!」

 エマが急に大きい声を上げて僕の胸ぐらを掴む。
 えっ!?
 僕、何か変なこと言った?

「アタシがどれだけノロワの言葉に救われたか分かる? アタシがどれだけノロワに感謝してるか知ってる? そんなアタシが……ノロワとパーティーを解散する訳ないでしょ!!」

 ……まさか、エマがそんな事を思っていてくれていただなんて考えてもいなかった。

「一回しか言わないからよく聞きなさい! アタシにとってノロワ以上のパーティーメンバーなんて存在しないの!! アタシとパーティーを解散したいならアタシの事を追放でもすることね!!」

 言いたい事を一気に言い切ったからか、エマが顔を赤らめながら肩で息をしだす。
 どうやら僕はとんだ早とちりをしていたようだ。

「……ごめん。それに追放なんてしないよ。……だから、これからもよろしくね、エマ」
「っ!? ……わ、分かればいいのよ、分かれば!! 話は終わったし、帰るわよ!!」

 さっきまでの激情が抜けていくと今度は恥ずかしくなったのか、エマが後ろを向き歩き出す。

 ……ああ、エマがそっちを向いてくれて良かった。

 これで僕が泣いているのがバレなくてすむ。

『おい、さっさと準備しろよウスノロ!』
『本当に役立たずよねー』
『もっとマシなサポートくらいできないんですか?』
『ちっ、使えねぇーな!』
『グズ!』
『ノロマ!!』
『無能!!!!』

 昔の仲間からはこんな言葉しか受けてこなかった。
 そして僕自身それを受け入れていた。

 そんな僕の事をエマは仲間と言ってくれた。
 必要だと……言ってくれたんだ。

 こんなに嬉しい事ってあっていいんだろうか。
 僕はやっと本当の仲間を見つけることが出来たんだ!

 僕は目に溜まった涙を拭い、エマの後を追いかける。

 もう自分を必要以上に卑下するのはもう止めよう。
 今の僕の隣にはこんなに素晴らしい仲間がいるんだから!

 今度こそ本当の仲間と離れないよう、しっかりと横並びで帰路に着く。

 ◇◆◇◆◇

「「昇格試験?」」

 僕とエマが声をそろえてロゼさんに聞き返す。

「はい。ノロワ君とエマがEランクのクエストを達成してこれで五回目ですし、そろそろDランクの昇格試験を受けたらどうですか?」

 エマとパーティーを組んで早一週間、僕たちは順調にクエストを達成してきた。
 そして、今回、クエストの達成報告した時にロゼさんが昇格試験の提案をしてくれた。

 確か、Eランククエストを五回連続で達成するとDランクへの受験資格がもらえるんだったよな。
 そうか、いつの間にか、そんなにエマとクエストを達成してきたんだね。

 エマとのパーティーはこれまで想像以上に順調だった。
 僕が呪いで敵の動きを止めて、その間にエマが魔法で敵を倒すという、単純な作戦だけど、Eランククエストで出現するモンスター相手なら無傷で完勝することも簡単にできる。

 ……というより、魔力のコントロールができる状態のエマならソロでも全く問題がないんだけどね。

 僕の役割は本当にエマのサポートをするくらいだ。

「ノロワ君は以前Aランクパーティーに所属していたし、エマもBランクパーティーの所属経験があるでしょ? 私としてはこんな試験受けなくても、これまでの実績で昇格してあげてもいいと思うんだけどね。どうしても規則上、昇格試験を受けてもらわないといけないのよ。ごめんなさいね」
「ロゼさんが謝る事じゃないですよ。それに、今の僕たちは駆け出しのEランクパーティーと大差ないですから」

 ロゼさんが申し訳なさそうにしているが、これも規則だし仕方ない。
 冒険者のランクは所属しているパーティーによって決まる。

 だから、どれだけ前のパーティーで活躍していたとしても、そこを抜けて新しいパーティーを結成したらまた最初のEランクから昇格していかないといけない事になっている。

 まあ、普通は前のパーティーを抜けたら他のパーティーに入れてもらうから、一から新しいパーティーを結成するって場合がほとんどないんだけどね……。
 僕も最初は他のパーティーに入れてもらおうと面接とかしていたし。

 追放者の僕なんて誰も採用してくれませんでしたけどね!!

 だけど、そのおかげでエマっていう最高の仲間を見つける事ができたから良かったけどさ。

「Dランクかー……。どうする、エマ?」
「そんなの受けるに決まってるじゃない!」

 ですよねー。
 今のエマにはEランクのクエストは物足りないんだろう。

 それにDランクに昇格できたらより高難易度のクエストを受注できる上、二つのメリットも存在するしね。

「うん、そうだね! ロゼさん、僕たちはDランクの昇格試験を受けます!!」
「はい、承ります」

 僕はまだしもエマはEランクで燻っていていい冒険者じゃない。
 絶対に合格してDランクに昇格してみせる!!
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