追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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36話 補強

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 僕たちのパーティー、『灰狼グレウルブ』の進路は決まったことで、新たな問題を話していかないといけなくなった。

「僕たちがSランクを目指す上で絶対に欠かせないものがあるんだけど、二人の考えを聞かせて」

「「絶対に欠かせないもの?」」

「うん。それは、新しいパーティーメンバーの補充だよ」

 新メンバーの補充……要するに、『灰狼』の戦力補強だ。

「新しい仲間……それって必要なの?」
「私もエマに同意だな。私達3人だけでも十分に強いし、Cランクでも通用すると思うが」

 エマとカリンがそう思うのも分かる。
 実際、僕たちが3人パーティーになってから苦戦らしい苦戦もない。

 むしろ余裕といっていいほど順調にクエストをクリアしている。

 まあ、『灰狼』には実質Aランク級の魔法使いと剣士がいるんだ。
 今までの低ランク帯のクエスト程度ならソロでもクリアできるだろう。

 だけど、Cランク以上のクエストとなるとそうともいえなくなる。
 クエストの難易度も一気に跳ね上がり、ダンジョンでの敵のレベルも強くなる。
 その結果、冒険者の死亡率も高くなる。

 そのために、パーティーでの連携が必須になっていく。

「確かに二人は強い。実際、Cランクのクエストも余裕だと思う。だけど、ひとつのミスが死に繋がるのが中堅帯のクエストなんだ。それは二人ともよく分かるだろ?」

 エマもカリンも、追放される前はCランク以上のパーティーに所属していたんだ。
 このランク帯の難しさや危険性も十分理解できるだろう。

「……そうよね。アタシ、魔法が使いこなせるようになったからってちょっと調子に乗ってたかもしれないわね」

「私も反省しないとな。『酔剣すいけん』をデメリット無しで使えるようになったことで一人前になったつもりでいた」

「分かってもらえたなら、それでいいよ。まあ、実際戦闘能力皆無の僕が一番足を引っ張ってるのにこんな事提案するのは図々しいとは思うけどね」

「「それはない!!」」

 エマとカリンが僕の自虐に即座に否定を入れる。

「前から思ってたけど、ノロワは自己評価が低すぎる! アタシがまともに戦えるのはノロワが呪紋をかけてくれるおかげ。ノロワと出会わなかったら、アタシなんて今だに『歩く災害』って呼ばれてたのよ」

「私だってそうだ。『酔剣』をデメリット無しで使えるのはノロワのおかげだ。それがなかったら、泥酔していまだにパーティーのお荷物になっていただろう」

「それにいつも戦闘中、相手に『呪い』をかけてデバフをかけてくれてるじゃない。あれでアタシ達がどれだけ助かってると思ってるの?」

「その通りだ。ノロワの『呪い』が有効だから、パーティーの連携もこんなにとれている。戦績を自慢こそすれ、卑下するのは間違っているぞ」

「「とにかくウチのパーティーにはノロワは絶対必要なの!!」」

 ……あぁ、僕は本当にいい仲間に恵まれたな。

『ノロワが必要』

 その言葉を聞くだけで、心が満たされていく。

 だからこそ、僕も感謝の言葉を二人に返そう。

「……うん、ありがとう。僕にとっても二人は必要で大切な人だよ」

「「うっ!」」

 僕の言葉を聞いて、二人はほんの少し頬を染める。
 ……うぅ、自分で言っときながら、ちょっとくさかったかな?

「ふ、ふんっ、分かればいいのよ」
「おや? 何を照れてるんだ、エマ?」

「照れてないわよ!! そういうカリンだって少し頬が赤いんじゃない!? ノロワの言葉に照れたんじゃないの!?」
「そ、そんなことはない! 少し酒が回ったんだろう、うん。それより、早く戦力補強について話をしないか?」

「そうだね、そうしよう!」

 カリンは少し強引に話題を替えようとする。

 僕も二人に気持ちを伝えたことで気恥ずかしかったから好都合だ。

「僕が思うに、『灰狼』に足りない職業ジョブは二つ。『回復役』と『盾役』だ」

 この先、更に危険なクエストに行くと、ケガのリスクも増える。
 毎回クエストの度に大量の回復薬ポーションを準備する訳にもいかないし、『回復役』は必須だろう。
 実際、Cランク以上のパーティーには『回復士ヒーラー』は絶対といっていいほど加入しているしね。

 そして、現在『灰狼』は前衛一人、後衛二人の三人構成のパーティーだ。
 そこに後衛職の『回復士』が入ったら後衛が三人になってしまう。
 そうすると隊列のバランスが悪くなってしまう。

 だからこその『盾役』……つまり、カリン以外の前衛だ。

 時には後衛職を守り、時にはカリンと一緒に前線で戦う職業ジョブ

 カリンが『盾役』になってもらってもいいんだけど、カリンは『酔剣』状態の火力が高いから、できれば最前線で戦闘してもらいたい。

 まあ、カリン以上の火力が出せる前衛がいるならまた戦い方を考えるけどね。

 冒険者のパーティー人数には特に決まりはないけど、大体四人から六人くらいが平均だ。
 もし二人の冒険者を補強できたら、数的にもちょうど良くなる。

「『回復役』と『盾役』かー。言われてみれば必要かもね。だけど、アタシたちのパーティーに二人も加入してくれるかしら? 良くも悪くもアタシたち目立ってるじゃない?」

 そうなんだよなー。
 僕たちは全員追放者で構成したパーティーだ。

 いくらCランクに上がったとしても、そんなパーティーに喜んでくれる冒険者はいるだろうか……。

「無理に二人にこだわる必要はないんじゃないか? 回復もできる前衛職なら、『聖騎士』の職業ジョブ持ちを仲間に入れればいい」

『聖騎士』……聖なる加護に守られた騎士で、前衛職でありながら回復魔法や防御魔法、果ては聖霊魔法まで使える、レア職業。

 そんな有能な人が仲間になってくれれば心強いけど……

「『聖騎士』なんてレア職業ジョブ持ちがアタシたちみたいな中堅パーティー入らないわよ」

 そうなんだよねー。
『聖騎士』に限らずレアな職業持ちはもっと有名なパーティーからも引く手数多だもんな。

 ちなみに僕の『呪咀士』もレアな職業ジョブなんだけど……追放されちゃったよね!ちくしょう!!

「うーん、とりあえず、明日になったらロゼさんにフリーの冒険者がいないか聞いてみよっか?」

 ロゼさんは冒険者ギルドの受付嬢だし、僕たちなんかよりもはるかに顔が広い。
 それになんといっても、僕とエマ、そしてカリンと出会わせてくれた大恩人だ。

 ロゼさんの紹介してくれる人なら僕たちも信頼できるだろう。

「そうね。確かに、ロゼに聞くのが一番かもね」
「そうだな。明日みんなでロゼに聞きに行こう」

 人頼りで情けないが、これが一番確実だし期待がでから方法だからね。
 ロゼさんには、お礼に今度食事でもご馳走しよう。

「よし、それじゃあこれからの『灰狼グレウルブ』の方針も決まったし……もうちょっとだけ飲もうか?」

「「賛成!!」」

 夜はまだまだ永いからね。

 もう少し、この三人で楽しく過ごす時間を楽しむことにしよう。
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