追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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41話 人格

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 自分のことを『セツナ』と名乗った少女は、杖を振りかぶりながら、すごい速度で僕たちに向かって突撃してくる。

 ……まずい!?

「エマ! 壁を!!」
「っ!? わかった! ……『絶氷壁アイスウォール』!!」

 僕の指示でエマは即座に氷の壁を前面に魔法で創り出す。

「あっめぇなぁ!!」

 突如現れた氷壁に速度を落とすことなくセツナはぶつかってくる。

 ……猪かよ!?

 ドゴォンと、凄まじい音が鳴り響き、氷の壁が砕かれる。
 どうやら、杖を鈍器のように使って氷を破壊したようだ。

 あの杖の先端には金属で覆われているので、打撃としての攻撃力も高く、セツナが使うと、杖というより最早メイスのような武器になっている。

「ちっ、思ったより硬かったな。本当は、壁もろとも吹っ飛びそうと思ったんだが止められちまったよ」

 砕けた氷壁から、ゆっくりとセツナが出てくる。

 セツナは自分のことを『狂戦士バーサーカー』と名乗っていた。
『狂戦士』……『聖女』ほどではないが、かなりレアな職業ジョブだ。

 その特性は超がつくほどの近接物理攻撃に特化している。
 その反面、防御系のスキルを一切持たず、ひたすらに攻撃系スキルのみを扱い、自身の怪我すら顧みず攻め続ける姿は文字通りの狂戦士バーサーカーともいわれている。

 そんな職業を、このセツナは持っているのか。

「待って! セツナって言ったよね。僕たちは君と戦う理由がない!!」

「お前らに無くてもオレにはあるんだよ。……全く、トワの奴、オレに相談もなくこんなパーティーに入りやがって。こんなしょぼい奴らと組むなんてお人よしが過ぎるだろ、あの甘ちゃんが」

 ブツブツと、セツナはトワへの文句をこぼす。

 この感じに、同じ身体に二つの精神……多分、間違いない。

「君は……いや、君達は二重人格なの?」

「そういえば、まだそこの説明はしてかったな。……ご明察の通り、トワとオレはひとつの体に二つの心を持った、二重人格の姉妹だ」

 やっぱりか。
 今までの言動からそうだろうとは思ったけど、セツナが認めたことで疑惑が確信に変わった。

「トワは、セツナが僕たちと戦おうとしていることを認めてるいるの?」

「あん? そんなの、あのトワが認めるわけないだろ。ここでオレが暴れるのはオレ自身の意思だ。むしろ、トワはやめてくれって思ってるんじゃないか?」 

「だったら、戦うのはやめない? さっきも言ったけど、僕たちはセツナと戦う理由がない!」

「だーかーらー、お前達になくてもオレにはあるんだよ!!」

 再度の停戦申し込みもあえなく却下されてしまった。

「……だったら、せめて、なんで戦いたいのかだけ教えてくれないかな?」

「ちっ、しょうがねぇ。一時加入スポットとはいえ、トワが仲間になった連中だ。ぶっ飛ばす前に教えてやるよ」

 そう言うと、セツナは武器を地面に突き刺す。
 その衝撃で地面にヒビが入り、空気が震える。

 なんて威圧感だ……。

「はっきり言って、お前達にトワは勿体ない。要は役不足なんだよ!!」

「っ!?」

「Cランクパーティーってだけでも不満なのに、実際のメンバーの実力はDランクレベルの剣士にデバフしかできない木偶の坊。見込みがあるのは精々そこの女魔法使いだけ。こんな面子じゃ、トワが入る価値もない」

 木偶の坊か……。
 確かに、このダンジョンに入ってから僕はほとんど役に立ってなかったもんな。
 そう思われても仕方ない。

 それにカリンも『酔剣』状態じゃないと、セツナの言った通りDランク程度の能力しかないしね。

 だけど、エマの能力は評価しているあたり、荒々しい言葉遣いに反して、戦略分析は冷静にしているようだ。

「特にお前だよ……ノロワっていったか? 後ろでずっとコソコソしやがって。トワにずっと守られて恥ずかしくないのか? 男ならもっと堂々と戦え! オレはお前みたいなやつが一番腹が立つんだ」

 返す言葉もありません!!
 だけど、僕の防御力は紙レベルだから、調子乗って前に出てやられたら目も当てられない。


「本当だったらこんな弱小パーティーなんて、さっさと辞めてよかったんだけどな。だけど、トワはお前らを気に入ってるようだし、多少なり、トワを受け入れてもらった恩義もある。だから、一回だけチャンスをやろうと思ってな」

「……チャンス?」

「ああ。オレと戦って、少しでも実力を見せてみろ。それで可能性をちょっとでもお前達に感じたら、もうちょっとだけ一時加入スポットとして仲間でいてやる」

 可能性っていうのは、僕たちの実力や成長性ってことだろうか?

「もし、その可能性を感じられなかったら?」
「そうだなぁー、そしたら……死なない程度に殺してやるよ」

 セツナからの威圧感でわかる。
 これは脅しじゃない。

 意訳すると、半殺し、もしくは死んでも恨むなよってことだろう。

 相手はあの『狂戦士バーサーカー』だ。
 多分、手加減をするなんて考えもないだろう。

 こっちは回復担当がいないんだ。
 万が一にでも、エマやカリンが重傷を負うのは避けなければいけない。

 セツナからの果たし合いを断ろうとしたら……

「上等よ! やってやろうじゃない!!」
「ああ。私も今の実力が全力だと思われるのは人外だしな。お望み通り、本気を見せてやろう」

 エマとカリンはやる気満々のようだ。

「ちょ、ちょっと二人とも、少し落ちつ」

「「何より!!」」

 僕が二人を落ち着かせようと声をかけるが、二人の揃った声でかき消される。

「アタシの仲間をバカにするな!!」
「私の仲間をなめるな!!」

 ……そっか、二人がここまで怒っているのは、僕をバカにされたと思ったからか。
 もしここで、僕が戦うのをやめようなんて言ったら、二人の気持ちを無碍にすることになってしまう。

 それだけは、嫌だ。

「分かった。セツナの望み通り、やろうか」

 僕たち、『灰狼グレウルブ』の実力を見せてやる!!
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