テクノブレイクで死んだおっさん、死後の世界で勇者になる

伊藤すくす

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第三章: パイロマニアック

第五話

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嫌な予感がするってのはこう言うことか。
アナの能力が暴走したか、サウス軍に誘拐されたか。俺がもっと見とけば、こうはならなかった。
全部俺のせいだ。

「なに落ち込んでんのよ。今はそんな場合じゃないでしょ。それに私のせいでもあるんだから」

そうだな、今は失敗のことを考えるべきじゃないな。流石だなカンナ。ありがとう。

うん?今ちょっとカンナが頼もしく見えたぞ。それに可愛くも見えたな。変な感じだ。

「ハジメ!あれ見て」

なんだ?カンナが指した方は、夜中にしては異様な明るさを放っていた。これってもしかして。

嫌な予感が的中した。
カンナの家の周りの森林は燃えていた。そして、火の中心にはアナが立っていた。

「アナ!」
俺は、何も考えずにアナの所へ急いだ。自分が火の渦に突っ込んでいたことには全く気付かなかった。

熱いな流石に。でも今はアナを助けるのが先だ。
あと少しで届きそうなんだが、火がそれを邪魔してる。

待っとけよ、アナ。今助けてやるからな。

「ちょっと!水使いなさいよ!」
カンナか?水って言ったか?ああ、そう言えば前の火事の時、エレメントを水に変えて消したっけな。

エレメントを水に変え、火を消すことは出来た。でもアナの様子が変だ。どこか遠くを見るような目をしている。何だこの違和感。

「アナ、分かるか?」
アナは俺の目を見ている。でも覇気も何も感じない。もぬけの殻だ。

何か、アナの目から熱気を感じる。何だこれ。

「ハジメ離れて!」
カンナがそう言ったとき、時はすでに遅かった。
炎は、俺を救おうと飛び込んで来たカンナの背中に付いた。

何でこうなるんだよ。何でカンナが。

早く消さねえと。
俺はカンナに水をかけ、火を消した。カンナの服は焼けていて、背中は火傷のように荒れていた。

「大丈夫かカンナ!」
息はある。気絶してるだけみたいだ。また俺の失敗で人を傷付けてしまった。

何が最強だ。何が救世主だ。
人を救うどころか傷付けるばかりだ。

アナは能力を使い果たしたのか、その場で倒れていた。早く二人を病院に連れて行かねえと。

————————

病院に着き、カンナとアナを預け、俺はアルバッドに連絡を入れた。すぐに来るとのことだった。

アルバッドが着く前に、医者が出てきた。

「カンナとアナは大丈夫なんですか?」
「ええ。カンナさんの方は意識も安定しています」

カンナの方は、ってどういう意味だ?

「アナは?」
「はい。それなんですが、我々はエレメントを見て治療をするので、エレメントを確認出来なかったアナさんに関しては何も言えません。ですが、命に別状はないと思います」
「二人には会えるんですか」
「ええ。二人とも同じ部屋にいますよ」

言われた部屋に入ると、カンナとアナが寝ていた。俺は起こさないように、カンナのベッドにゆっくりと近付いた。

「ハジメ」
「起こしたか?」
「ううん。今起きたとこ」

変な沈黙が流れた。本当の所、何を言って良いのか分からなかった。

「ハジメのせいじゃないからね」
カンナが先に口を開いた。

「すまない」
「何謝ってんの?今言ったこと聞いてた?」
いつも通りのカンナだ。安心したら、少し笑ってしまった。

「何笑ってんの?」
と言いながらカンナも笑い始めた。

「ちょっと、笑ったら身体が痛むから笑わせないでよ」

可愛いな。
あれ?最近カンナが凄く可愛く思えて来た。
久しぶりだな、この感じ。

もっとカンナに近付きたい。
もっと、こう......

「皆んな大丈夫か!」
ガラガラと言う大きな音と共に、大男が入って来た。アルバッドだ。イリスもいる。

とことんタイミングの悪い男だ。

「あれ?お取り込み中だったか?」
「そのようですね」

うるせえよ、二人共。
とにかく二人とも無事で良かった。

でも、まだアナが目覚めるのを待たないとな。
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