彼女の告白~悪役令嬢に転生したので心を閉ざしましたが、今はとっても幸せです~

樹林

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後編 ソウルメイトと親友

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ふふ、真っ赤ですね。 
どうして分かったか、ですか?

それはね─────。

「あのさ、アイツがめちゃくちゃ可愛く見えるんだ・・・猿のくせになんでだよ」
「彼女の事を目で追ってしまう事はありまして?」
「ある」
「彼女のふとした仕草に胸が高鳴る事は?」
「めちゃくちゃある」
「喧嘩しているのに楽しいと思う事は?」
「すっげぇある・・・」
「それは恋ではなくて?」
「は?」
「あなたは彼女を愛しているのでしょう?」
「いや、待て!でも俺まだ工事中だしさ」
「関係あるのですか?」
「へ?」
「あなたの魂は男性なのですから、彼女に恋をするのは自然な事だと私は思いますよ」
「う・・・そうか。俺の初恋か」
「素敵ですね」
「俺、あっちではものすげえカスだったんだよ。姉貴は10コ上で先に施設出てさ、成人するのと同時に迎えに来てくれたんだけど、その頃には完全に腐ってた。でもさ、今頃姉貴は1人で泣いてんのかなって、俺が喧嘩ばっかして、その喧嘩で死んで、なんか・・・幸せになったら駄目だろ!って思うんだよ」

この後は本人に聞いて下さいね?
意地悪?ふふっ、そんな事はありませんよ。
だってあなたはアミカと私の仲を疑って話を聞きに来たのでしょう?

ええ、すぐに分かりましたよ。

アミカと私は言わば魂の姉弟なのです。
同じ転生者、転生者としての痛みと苦しみ、そういったものを話せる相手なのです。

私達は苦悩を半分こする事で、お互いの愛する人を大切にできるのですわ。

今?私もとても幸せですよ。

高等部の卒業式、トウマ様が顔を真っ赤にして私の前に立ち、もう一度告白して下さった日からずっと、私は幸せです。

あっ、過去形なのは婚約者だった頃のって意味ですよ。










私は海の近くで小さなレストランを経営する両親と過ごしていたけど、うちの味は素晴らしい!と言って来たおじさんが手助けしてくれて、チェーン店をいっぱい持つ成金になった。

手助けしてくれたおじさんのお願いは、学園に通って娘と仲良くなってほしいというものだった。

恩人にそんな事を言われたら頑張るしかないから、必死にお受験対策して何とか受かったけど、クラスが遠くて中々関わる事ができなかったし、オウヒ様は1人でも凛と立っていたからあたしは必要ないんじゃないかって思ってた。

でも、実際に同じクラスになったら印象と全然違ってすごく可愛い人で、コロコロ笑って、頭が良くて、人に好かれて、運動会の前には体調を崩すというトラウマを持っていたけど、あたしはおじさんのお願いじゃなく、あたしがオウヒ様と仲良くしたいと思って必死にオウヒ様についていった。

だって、オウヒ様スペック高すぎるし・・・。

修学旅行でもナンパされまくりで、オウヒ様は気付いてないけどトウマ様が必死に追い払ってた。

初等部の頃はあたしもトウマ様の事が嫌いだったけど、話し終わった頃に帰って来たトウマ様はあたしに目もくれずにオウヒ様に抱き着いてキスまでするし!

「なんだ、君来てたんだ」
「来てましたよ!」
「僕、早くオウヒとイチャイチャしたいんだけど・・・帰る気ない?」
「トウマ様・・・恥ずかしいです」
「仕事の前にオウヒ補充、仕事が終わったらオウヒ補充が僕の日課だからね」
「キャラ変やばすぎません?卒業式の翌日にオウヒ様に婚姻届書かせたの知ってますよ!おじさん達が大学卒業してからって言ってるのに、あたしらに保証人の欄書かせて出したし!大学もオウヒ様が受ける所をリサーチしてたの知ってますから!」
「えっ、偶然ではなかったの?」
「そんな筈ないですって。このストーカー本当にやばかったんですよ?皆でオウヒ様に振られたら冬野日本海の崖で泣いてそうって話してた位ですしっ」

「ええ・・・?」と首を傾げるオウヒ様は本当に綺麗で、前世もお嬢様だから今もなんだろうかとか、1人に慣れすぎてこうなったんだろうかとか色々考えるけど、答えが出ない事を知ってるから考えるのをやめる。 

大学卒業と同時に妊娠が発覚したのは、トウマ様の計画通りだったのだろう事だけは間違いなさそうだけどね。

「はぁ・・・帰ればいいんでしょ」
「もう?」
「そうだね、もう暗くなってるし運転手に車を出させるよ」
「トウマ様、彼女は私の初めてのお友達で親友なのですよ。追い払うような言い方をするなら・・・」
「ごめんなさい!君、もっといていいよ。なんなら泊まっていけばいい」
「なんですかその手のひら返し。って今日はオフだったけど明日は生放送あるんで帰ります」
「ふふ、アナウンサーも大変ね」
「でしょ?芸人より面白い女子アナとか言われてガッツポーズしてますよ。学園に初等部から通ってるって言っても誰も信じてくれなくて、オウヒ様は親友だ!って言ったら嘘つき呼ばわりなんですよ」
「あら、じゃあ私も今度のインタビューで話しておくわ」 
「やった!」

そう、あたしは芸人ではなくアナウンサーになった。 
切っ掛けはやっぱりオウヒ様で、あたしは声質も滑舌もとても良いからニュース原稿を読んでる所が見てみたいって言って、それでアナウンサーを調べたらすごく大変で、でもやりがいのある仕事だった。

今はバラエティーが多いけど、もうちょい頑張って報道もやってみたいと思ってる。

見送りに出てくれたオウヒ様達に手を振って車に乗り込み、上質な皮のシートに埋もれるように座ると色んな思い出がグルグルと回って、アミカ・・・今はシロウと話したくなった。

あたしもオウヒ様と仲良くなるまでお嬢様の皮を被った野生児で、本当の自分を見せられないジレンマとうちは成金だと影口を叩く奴らをぶん殴れない葛藤があった。

でも、オウヒ様は素のあたしの方が好きだと言ってくれて、成金成金うるさい奴らの所にも一緒に行ってガツンと言ってくれた。

「私の大好きなお友達に意地悪をするなら、一番の歴史を持つ家柄の私が容赦しませんよ?私にとってはあなた方も成金になりますしね」

大好きなお友達なんて言われた事なくて、あたしの全部を肯定してくれたオウヒ様を大切にしようって思ったら、他の人も大切にできるようになって、上辺だけの友達は離れていったけど、オウヒ様や攻略対象の元婚約者達とか毎日グループチャットする位の仲良い友達ができたし、シロウもいる。

オウヒ様には感謝しかないなぁ。

「着きましたよ」
「あ、ありがとうございました」

車を降りて運転手さんにお辞儀をして、一人暮らしのマンションのエントランスに入って行く。

今日はエレベーターがやたらと遅く感じて、廊下に誰もいないのをいい事に駆け出して自分の部屋に向かい、鍵を開けて中に入ってちゃんと戸締りしたらスマホをだす。

「・・・あ、もしもしあたし。うん、今日オウヒ様んち行ってさ。え?うん、トウマ様相変わらずやばかった!
あはは、でさあ・・・ちょっと聞いちゃったんだ。いや、ほら、オウヒ様はあたしの不安を取り除こうとしてくれたんだよ?うん、うん。分かってる!分かってるってばぁ・・・うん、あたしも大好き」

あの時おじさんに出会わなかったら、オウヒ様と同じクラスにならなかったら、あたしがあたしになれないままだったら、今のこの幸せはないんだと思うと縁って不思議だなと思う。

ねえ、オウヒ様。

あたしもオウヒ様と出会ってから、ずっと、ずっと幸せだよ。
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