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4.四度目の結婚
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「私はヴィクトル・デ・アルトワと言う……言います。一応将軍をしていて……その……」
会場に戻り、ゆったりとした曲に合わせて踊るアルトワ将軍と私。
お互い自己紹介をしていないと気付いたアルトワ将軍が先に名乗った。
「もちろん存じております、今回の一番の功労者ではありませんか。私はアデライト・デ・サヴォイアと申します、三度の白い結婚と離婚をした伯爵令嬢として少々有名人でしてよ、うふふ。少々の事では動揺しませんので、どうぞ楽にお話しなさってください」
「……助かる。どうも堅苦しい話し方は苦手でな。俺は戦場にばかりいて噂話には疎いし、こういう場も正直どうしていいかわからん。だが、サヴォイア伯爵令嬢の啖呵に惚れてしまったようだ」
まさかの言葉に顔が熱くなった、きっと凄く赤くなっていると思う。
だってアルトワ将軍は顔に傷があるだけで男らしい素敵な顔立ちだし、なによりこんな大きな身体をしているのに緊張したり照れたりする姿がギャップ萌え以外のなにものでもない。
顔が見れずに思わず胸元に視線を向ける。
「お、お耳汚しを……失礼しました……」
「いや、それにあの時俺が間に入らなければ三人を攻撃しようとしていただろう? 気迫は素晴らしかったが、そのか細い腕を痛めてしまうのではないかと思って邪魔をさせてもらったんだ」
凄い、戦場で過ごしていたからだろうか、私が攻撃しようとした事までお見通しだったのね。
実際あの場で止めてもらえなかったら、あれだけのギャラリーがいては私の貴族令嬢としての人生は終わっていたと思う。
尊敬と気遣いに対する嬉しさに見上げると、アルトワ将軍がコクリと唾を飲み込んだのがわかった。
「そんなところも含めてサヴォイア伯爵令嬢に惹かれているんだが……、俺の事が怖くないなら……今後も俺と……会って欲しい」
「喜んで……!」
私の返事と共に曲が終わり、話は聞こえずとも二人の表情でやり取りを察した周囲から拍手が沸き上がった。
これまで堅物で恐ろしい人物だと思われていた将軍の春が来た、と。
当然その様子を見ていた王様も以前からアルトワ将軍の結婚について心配していた事もあり、トントン拍子で婚約から結婚までの話が進んで行った。
天下のアルトワ将軍の婚約者になったという事で元夫達も諦めるしかなく、すっかり音沙汰が無くなり平和に過ごしている。
風の噂では実家に寄生しているとか、未亡人の恋人の一人になっているとか、片っ端から婚約を申し込んでは振られているとか色々耳に入っては来たが。
だけど今ではそんな事どうでもいい、もっと大切な人達がいるんだもの。
「アデル、外にいたら身体を冷やさないか?」
庭を散歩していたら、私をスッポリと包み込む大きな身体に背後から抱き締められた。
温かな手がこわれものに触れるようにそっと私のお腹を撫でる。
「心配症ね、お医者様も少し歩いた方がいいっておっしゃっていたでしょう?」
「どうやら俺はアデルに対してはかなりの臆病者になってしまうようだ」
「可愛い人、戦場でのあなたを知っている人が聞いても信じないでしょうね、うふふ」
見上げて頬を撫でると目を細めて笑った、両親にも負けないとても温かな眼差しで。
「むしろアデルが俺を可愛いと言う事を信じないだろうな」
前世の年齢では私の方が年上だったせいか、旦那様が可愛くて仕方がないのだ。
私を喜ばせようと庭の花を摘んできたり、叱られたら大きな身体を小さくして落ち込んだり、「これ以上好きにさせてどうするの!?」と言いたくなる行動をするせいだろう。
「こんなに可愛いのに、どうして皆は気付かないのかしら? だけどいいわ、私だけが知っていればいい事ですもの」
目を閉じると当然のように二度、三度と唇に口付けが落とされた。
成人後、私達はすぐに婚約したが、結婚してもうすぐ一年になる。
三度目の正直という言葉があるけど、私の幸せは四度目にあったようだ。
会場に戻り、ゆったりとした曲に合わせて踊るアルトワ将軍と私。
お互い自己紹介をしていないと気付いたアルトワ将軍が先に名乗った。
「もちろん存じております、今回の一番の功労者ではありませんか。私はアデライト・デ・サヴォイアと申します、三度の白い結婚と離婚をした伯爵令嬢として少々有名人でしてよ、うふふ。少々の事では動揺しませんので、どうぞ楽にお話しなさってください」
「……助かる。どうも堅苦しい話し方は苦手でな。俺は戦場にばかりいて噂話には疎いし、こういう場も正直どうしていいかわからん。だが、サヴォイア伯爵令嬢の啖呵に惚れてしまったようだ」
まさかの言葉に顔が熱くなった、きっと凄く赤くなっていると思う。
だってアルトワ将軍は顔に傷があるだけで男らしい素敵な顔立ちだし、なによりこんな大きな身体をしているのに緊張したり照れたりする姿がギャップ萌え以外のなにものでもない。
顔が見れずに思わず胸元に視線を向ける。
「お、お耳汚しを……失礼しました……」
「いや、それにあの時俺が間に入らなければ三人を攻撃しようとしていただろう? 気迫は素晴らしかったが、そのか細い腕を痛めてしまうのではないかと思って邪魔をさせてもらったんだ」
凄い、戦場で過ごしていたからだろうか、私が攻撃しようとした事までお見通しだったのね。
実際あの場で止めてもらえなかったら、あれだけのギャラリーがいては私の貴族令嬢としての人生は終わっていたと思う。
尊敬と気遣いに対する嬉しさに見上げると、アルトワ将軍がコクリと唾を飲み込んだのがわかった。
「そんなところも含めてサヴォイア伯爵令嬢に惹かれているんだが……、俺の事が怖くないなら……今後も俺と……会って欲しい」
「喜んで……!」
私の返事と共に曲が終わり、話は聞こえずとも二人の表情でやり取りを察した周囲から拍手が沸き上がった。
これまで堅物で恐ろしい人物だと思われていた将軍の春が来た、と。
当然その様子を見ていた王様も以前からアルトワ将軍の結婚について心配していた事もあり、トントン拍子で婚約から結婚までの話が進んで行った。
天下のアルトワ将軍の婚約者になったという事で元夫達も諦めるしかなく、すっかり音沙汰が無くなり平和に過ごしている。
風の噂では実家に寄生しているとか、未亡人の恋人の一人になっているとか、片っ端から婚約を申し込んでは振られているとか色々耳に入っては来たが。
だけど今ではそんな事どうでもいい、もっと大切な人達がいるんだもの。
「アデル、外にいたら身体を冷やさないか?」
庭を散歩していたら、私をスッポリと包み込む大きな身体に背後から抱き締められた。
温かな手がこわれものに触れるようにそっと私のお腹を撫でる。
「心配症ね、お医者様も少し歩いた方がいいっておっしゃっていたでしょう?」
「どうやら俺はアデルに対してはかなりの臆病者になってしまうようだ」
「可愛い人、戦場でのあなたを知っている人が聞いても信じないでしょうね、うふふ」
見上げて頬を撫でると目を細めて笑った、両親にも負けないとても温かな眼差しで。
「むしろアデルが俺を可愛いと言う事を信じないだろうな」
前世の年齢では私の方が年上だったせいか、旦那様が可愛くて仕方がないのだ。
私を喜ばせようと庭の花を摘んできたり、叱られたら大きな身体を小さくして落ち込んだり、「これ以上好きにさせてどうするの!?」と言いたくなる行動をするせいだろう。
「こんなに可愛いのに、どうして皆は気付かないのかしら? だけどいいわ、私だけが知っていればいい事ですもの」
目を閉じると当然のように二度、三度と唇に口付けが落とされた。
成人後、私達はすぐに婚約したが、結婚してもうすぐ一年になる。
三度目の正直という言葉があるけど、私の幸せは四度目にあったようだ。
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