婚約者がすぐにママになろうとしてくる

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サミュエル 7歳  ローラ 12歳

お姫様抱っこへの憧れ

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ローラが倒れた時、颯爽と現れてお姫様抱っこで、ローラを担いだのは、ローラの護衛騎士ダンだ。逞しい肉体に惚れ惚れするのと、同時に運動以外で何をすれば、そんなに大きくなれるんだろう。

いつか、僕も、ローラをお姫様抱っこしたい。

今は僕がされそうだもんな。

僕は七歳になったから剣術の稽古に参加させてもらえるようになった。けれど今は体を作るために、走ってばかり。走るの楽しいけど、疲れる。

剣術の師範は僕の護衛騎士をしているロバート。ロバートは、父様…陛下の師範でもあって、バリバリ現役の騎士団長。他の団員と違って、よく王宮にいるから、稽古をつけてもらいやすい。

兄上は、「俺は剣術なんて習わなくてもできる。」と言って、よくサボろうとしているけれど、逃げられたためしがない。

「サミュエル殿下は、婚約者のために、強くならないといけませんなぁ。」
「はい。宜しくお願いします。」

ローラのことを引き合いに出されると、とても弱い。

「どうしたら、ロバートのように、大きな身体になれる?」
「んー、そうですなぁ。やはりよく食べて、よく遊び、よく寝ることですな。そうしたら気がついたら、大きくなっています。」
「特別な訓練は必要なの?」
「いいえ。これからたくさん鍛錬して、お勉強して、元気に過ごしていれば、いつか大きくなれますよ。

ほれ、陛下だって、王妃様だって、背が高いでしょう。殿下が、デイヴィス様ぐらいの御歳になれば、もしかしたらデイヴィス様より背が伸びるかもしれませんよ。」

兄上はここ半年の間にぐんと背が伸びた。急に背が伸びたから、膝とか体のあちこちが痛いらしい。成長痛って言うんだって。

それから、兄上は、少し前まで体がぽっちゃりしていたのに、今はひょろひょろだ。顔だけは昔から整っているから、見た目だけで言うと、どこかの王子様みたいだ。

兄上の場合、性格が、びっくりするほど具合が悪いけれど。


だからなのか、兄上は僕を見るたびに、「おい、チビ。」って言う。僕が嫌がるのわかってて言うんだ。感じ悪いな。会うたびに、背を縮めようと、頭を押さえつけてくるし。

チビって言われて返事なんかするもんか。

プイッと、無視をしていると、大きな声で独り言を言い始めた。

「お前、婚約者が決まったと言っても、最終決定というわけじゃないからな。好きな子が出来たら、早めに言えよ?相手のこともあるし。」
「え、僕はローラが良いから大丈夫だよ?」
「いや、まあ、そうか。まだわかんないよな。」

兄上は、よくわからないことを言っている。

「まあ、その時か来ればわかるか。」
何かまた子供扱いされてる気がする。兄上だってまだ子供のくせに。
「兄上、もしかして……ローラのこと、狙ってるの?」
「はあ?違う違う。俺はああいう女は好きじゃないって言っただろ?」
慌てるのが怪しい。だけど、
「ローラは僕の婚約者だから、兄上にはあげないよ!ローラは僕と結婚して、幸せになるんだよ!」
「じゃあ、強くならないとな。」

兄上は、お前にできるか、とか否定してくるかと思ったけれど、優しく頭をポンポンしてきただけだった。

何だか変な感じ。

いや、絆されないぞ。僕は、ローラと幸せになるんだ。
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