婚約者がすぐにママになろうとしてくる

mios

文字の大きさ
3 / 33
サミュエル 7歳  ローラ 12歳

婚約者とお揃い

しおりを挟む
チューリップの御礼にと、何か大きなものが届いた。ローラに気を遣わせちゃったみたいだ。一緒に届いたお手紙には、『これを着て一緒に歩くのを楽しみにしています。』って書いてあった。

「視察のだ!」

開けたら、少しサイズの大きな服と、刺繍が入ったハンカチが入っていた。

これ、お返しの方が豪華になっちゃってる。お返しのお返しは必要かな。

刺繍には僕の好きなチューリップの花と、王家の紋章と、僕のイニシャルが入っていた。

うわー、かわいい。嬉しい!ローラにありがとうのお手紙書かなくちゃ。

手紙を書いている途中で気がついたんだけど、せっかくの視察なんだから、お揃いの物を買いたいな。ローラにも何が良いか聞いてみよう。

僕は知らない内にスキップをしていたみたいだ。護衛をしてくれる、ケヴィンに指摘されて、恥ずかしくなった。

ローラに関連する物はなんだって嬉しいのだけど、改めて言われたら、恥ずかしいよね。

因みに、視察って言うのは、何ヶ月かに一回、市井の生活を見に行ったり、孤児院に行ったりするんだよ。僕ぐらいの子がたくさんいて、楽しいんだよ。当たり前だけど、警備上の問題で、そうそう頻繁には行けないのが、悲しいんだけれど、今はローラがいてくれるから、別に良いんだ。僕、ちょっと薄情かな。

僕は周りに僕ぐらいの歳の子がいるのが、楽しくて、いつもはしゃぎすぎるから、今度はローラを皆に紹介して、少し落ち着いた感じを見せなきゃ。大人の男は、無口で、ドッシリしてるものだしね。

少しサイズの大きな服は、三回ぐらい袖を折ればちょうど良いサイズになった。

「流石、センスが良いですね。とってもよくお似合いですよ。」

僕の侍女のリズが褒めてくれたけど、うん、僕もそう思う。



視察の日になって、ローラに会ったら、何と!

ローラの服が、僕とお揃いだったんだ。

「ローラ、お揃いだね。可愛いね!」
「サミュエル様が一番可愛いですよ?」

ん?何だか、いつものローラと違うような?

「サミュエル様?」

「ねえ、ローラ、何か隠してる?大丈夫?」
ローラが僕の目線にするために、しゃがみ込んでくれたから、頭まで手を届かせることができた。

よしよし、と撫でれば、ギュッと抱きしめられる。

あれ?どうしたの?

「まさか、ローラ。不安なの?大丈夫だよ、僕がいるからね。」

よしよし、していたら、どこからか、スースー音がする。あれ?何だろう?

「お嬢様、そこまでです。」

ローラの侍女が、ローラを僕からひっぺがす。その持ち方、まるで猫ちゃんみたい。

「サミュたん、きゃわ……」

うん、ローラって、たまに、よくわからない言葉を使う時あるよね。

「失礼致しました。サミュエル様、参りましょう。」

「はい。」

有無を言わせない感じから、彼女に逆らっちゃ、いけない感じがした。


「ローラ、怖いなら手を繋ぐ?」

「グフッ……はい。」

ローラの侍女が、ローラを睨んでいるみたいだけど、大丈夫かな。気にしなくて良いといわれたけど、気になるよー!
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

逆ハーレムの構成員になった後最終的に選ばれなかった男と結婚したら、人生薔薇色になりました。

下菊みこと
恋愛
逆ハーレム構成員のその後に寄り添う女性のお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

駄犬の話

毒島醜女
恋愛
駄犬がいた。 不幸な場所から拾って愛情を与えたのに裏切った畜生が。 もう思い出すことはない二匹の事を、令嬢は語る。 ※かわいそうな過去を持った不幸な人間がみんな善人というわけじゃないし、何でも許されるわけじゃねえぞという話。

悪役令嬢(濡れ衣)は怒ったお兄ちゃんが一番怖い

下菊みこと
恋愛
お兄ちゃん大暴走。 小説家になろう様でも投稿しています。

おにょれ王子め!

こもろう
恋愛
レティジアは公爵令嬢で、王子フリードの婚約者。しかし現在、フリードとの関係はこじれまくっている。 見た目は気が強そうだが実は泣き虫なレティジアは人知れず毎日涙を流し、フリードはなんだかイライラしている。 そんな二人の前に現れるのは……!

乙女ゲームのヒロインが純潔を重んじる聖女とか終わってません?

ララ
恋愛
私は侯爵令嬢のフレイヤ。 前世の記憶を持っている。 その記憶によるとどうやら私の生きるこの世界は乙女ゲームの世界らしい。 乙女ゲームのヒロインは聖女でさまざまな困難を乗り越えながら攻略対象と絆を深め愛し合っていくらしい。 最後には大勢から祝福を受けて結婚するハッピーエンドが待っている。 子宝にも恵まれて平民出身のヒロインが王子と身分差の恋に落ち、その恋がみのるシンデレラストーリーだ。 そして私はそんな2人を邪魔する悪役令嬢。 途中でヒロインに嫉妬に狂い危害を加えようとした罪により断罪される。 今日は断罪の日。 けれど私はヒロインに危害を加えようとしたことなんてない。 それなのに断罪は始まった。 まあそれは別にいいとして‥‥。 現実を見ましょう? 聖女たる資格は純潔無垢。 つまり恋愛はもちろん結婚なんてできないのよ? むしろそんなことしたら資格は失われる。 ただの容姿のいい平民になるのよ? 誰も気づいていないみたいだけど‥‥。 うん、よく考えたらこの乙女ゲームの設定終わってません??

女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です

くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」 身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。 期間は卒業まで。 彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。

竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える

たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。 そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!

好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が

和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」 エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。 けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。 「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」 「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」 ──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。

処理中です...