私が殺した筈の女

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死人との再会

「プリシラじゃない?久しぶりね。」


 プリシラ・マクウェル伯爵令嬢は、婚約者の屋敷で、会う筈のない相手に再会した。プリシラはあまりに驚いたせいで、悲鳴をあげそうになった。

 何故なら、彼女は三年前にプリシラ自身が殺し、土に埋めた男爵令嬢だったからだ。

 カリーナという名の彼女は、当時から男性に弱く、相手に婚約者がいようが関係なく様々な人に言い寄っていた。

 勿論プリシラの婚約者であるローガンにも、当然のように言い寄っては、婚約者であるプリシラを悪役に仕立て上げ、悲劇のヒロインを気取っていた。

 プリシラとローガンは政略で結ばれた婚約者同士であったが、プリシラはローガンを愛していた。

 ローガンに纏わりつく羽虫の如き、カリーナが許せず、人気のない場所に呼び出し、彼女を始末したのである。彼女の遺体は、自力で運べず、伯爵家が持っている影に頼んで処理してもらった筈だが、不備でもあったのだろうか。でも、もしそんなことがあったなら、必ず連絡が来る筈……裏切りについては、全く想像もしないプリシラは、理由がわからなくて、頭をフル稼働させた。

 カリーナはプリシラの困惑など、意に介さずペラペラと近況を喋り捲る。

 カリーナではなく、彼女の生き別れの姉妹だとか、色々なことが思い浮かんだものの、どれもしっくりは来ない。

 婚約者は、姿を見せてはいないが、もしかすると、あの時の出来事を彼女から聞いていて、プリシラの様子を探っているのかもしれない。

「本当に久しぶりね。学園以来かしら。」

 彼女を殺したのは二年の春頃で、学年が違った為、彼女がその後、学園を卒業したかがわからない。

「あー、私は二年目で留学したの。だから学園にはあまり思い出がないのよ。」

 彼女は途中から学園には行っていないと言う。それが逆に真実味があって、プリシラは、大層混乱した。

 カリーナはプリシラに最初から馴れ馴れしく話しかけているが、前はもう少し遠慮があった。こちらを悪役に仕立て上げる為、聞き分けの良い素直なご令嬢のフリをしていた彼女は、二人きりの時しか、本性を見せなかった。

 彼女は、男性の前と、女性の前では百八十度態度が変わる、正真正銘の男好きだった。

 彼女を殺し損ねた訳ではないのは、確信がある。彼女を殺す時、念には念を、毒と物理の二段責めで確実に殺している。

あの時しっかりと、止まった心臓を確認しているし、埋めた場所だって普通の人は入れない場所だ。

人が生き返るなんて、奇跡が起こる訳はない。それに、彼女は恨まれていたからあの場でプリシラが手を下さなくても近い内にもっと酷い目に合っていた筈だ。

どちらにせよ、直接手を下したプリシラに明るく声をかけてくることなど、あり得ない。

具体的な結論を導き出す前にプリシラの脳は意識を手放した。
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