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嫌な一致
これから起きることに目を光らせる、とは言っても、そうそう大したことが起きる訳もない。
それでも、同じ屋敷に自分の愛する人と、大嫌いな女が一緒にいる、ということに耐えられなくて、婚約者の家を頻繁に訪ねることになった。
カリーナは、侍女ではあるが、入りたてと言うことで、下働きに近く、屋敷内にはあまりいない。以前の彼女からは想像もできないぐらい、その仕事っぷりは良く、不満も言わずに過ごしている。前ならきっとあれこれ理由をつけては、気に食わない女性に丸投げしていただろうに。
「やっぱり偽物だと言うのが、しっくりくるのよね。」
偽物が彼女に成り変わるなら、その理由は?結局はその疑問に落ち着いて、思考が止まってしまう。
彼女がカリーナらしいところと言えば、ローガンの周りを常に彷徨いているところぐらいで、プリシラが近づくとタイミングよく居なくなることが多い為に、プリシラとしては、二人きりで何を話しているか気になってしまう。
以前なら見せつけるように態々、プリシラの前でローガンに話しかけたりしていたのに、今はまるでプリシラに会わないようにタイミングを見計らっているようだ。
「それか、記憶が戻って、私に会うのを恐れているのかもしれない。」
それならそれでやっぱりおかしいと思うのは、以前のカリーナはそれを利用してプリシラを貶めようと画策してきただろうと言う、ある意味確かな信用があるから。
「わからない。彼女が何を考えているのか。」
彼女に会った後のローガンは、いつもより更に優しいような気がして、プリシラにはそれも、何だか嫌な感じになる。
「浮気をした人間は、後ろめたさから、恋人により優しくなる」と言う話を聞いたことがあるからだ。単なる世間話として、聞いていたその話が今頃になって、この状況に刺さるとは思っても見なかった。
「全く、こんなことでまた悩むようになるなんて思わなかった……あの時始末したと思っていたのに。」
プリシラは自身の言葉で、気がついた。そうだった。どうしてそれを忘れていたのだろう。
彼女はもう死んだ人間なのだから、また殺せば良いじゃない。今度はもう二度と生き返ることのないように入念に始末してしまえば。
「あれが本物でも偽物でも関係ない。殺して仕舞えば良いのだわ。」
プリシラは一度目の時も、彼女に対する後悔などはなかった。それどころか、彼女に再会するまで、そのことすらも忘れていたのだ。きっと心が綺麗な女性なら、生きていたことに感謝し、過去の自分の行いを後悔するに違いない。だが、プリシラにはその気持ちが全くない。故に、こんなに簡単な思考にたどり着いてしまった。
「殺し損ねたのなら、仕方がないわ。さっさと始末してしまいましょう。」
鼻歌でも口ずさむように軽やかに屋敷を出ると、殺害の準備をする為に家に帰っていく。
ローガンは楽しそうなプリシラの様子に目を瞠る。帰ってしまうのは寂しいが、また後で教えてくれるだろう、と彼女を見逃した。
それでも、同じ屋敷に自分の愛する人と、大嫌いな女が一緒にいる、ということに耐えられなくて、婚約者の家を頻繁に訪ねることになった。
カリーナは、侍女ではあるが、入りたてと言うことで、下働きに近く、屋敷内にはあまりいない。以前の彼女からは想像もできないぐらい、その仕事っぷりは良く、不満も言わずに過ごしている。前ならきっとあれこれ理由をつけては、気に食わない女性に丸投げしていただろうに。
「やっぱり偽物だと言うのが、しっくりくるのよね。」
偽物が彼女に成り変わるなら、その理由は?結局はその疑問に落ち着いて、思考が止まってしまう。
彼女がカリーナらしいところと言えば、ローガンの周りを常に彷徨いているところぐらいで、プリシラが近づくとタイミングよく居なくなることが多い為に、プリシラとしては、二人きりで何を話しているか気になってしまう。
以前なら見せつけるように態々、プリシラの前でローガンに話しかけたりしていたのに、今はまるでプリシラに会わないようにタイミングを見計らっているようだ。
「それか、記憶が戻って、私に会うのを恐れているのかもしれない。」
それならそれでやっぱりおかしいと思うのは、以前のカリーナはそれを利用してプリシラを貶めようと画策してきただろうと言う、ある意味確かな信用があるから。
「わからない。彼女が何を考えているのか。」
彼女に会った後のローガンは、いつもより更に優しいような気がして、プリシラにはそれも、何だか嫌な感じになる。
「浮気をした人間は、後ろめたさから、恋人により優しくなる」と言う話を聞いたことがあるからだ。単なる世間話として、聞いていたその話が今頃になって、この状況に刺さるとは思っても見なかった。
「全く、こんなことでまた悩むようになるなんて思わなかった……あの時始末したと思っていたのに。」
プリシラは自身の言葉で、気がついた。そうだった。どうしてそれを忘れていたのだろう。
彼女はもう死んだ人間なのだから、また殺せば良いじゃない。今度はもう二度と生き返ることのないように入念に始末してしまえば。
「あれが本物でも偽物でも関係ない。殺して仕舞えば良いのだわ。」
プリシラは一度目の時も、彼女に対する後悔などはなかった。それどころか、彼女に再会するまで、そのことすらも忘れていたのだ。きっと心が綺麗な女性なら、生きていたことに感謝し、過去の自分の行いを後悔するに違いない。だが、プリシラにはその気持ちが全くない。故に、こんなに簡単な思考にたどり着いてしまった。
「殺し損ねたのなら、仕方がないわ。さっさと始末してしまいましょう。」
鼻歌でも口ずさむように軽やかに屋敷を出ると、殺害の準備をする為に家に帰っていく。
ローガンは楽しそうなプリシラの様子に目を瞠る。帰ってしまうのは寂しいが、また後で教えてくれるだろう、と彼女を見逃した。
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