4 / 45
ダメ人間輩出国
第一王子に群がっていた貴族は全て綺麗に掃除をして、自分達の足元を固める作業は恙無く終わった。
元々の期待度も少なかったしね。
兄上に言い寄る貴族は、どちらかと言うと、国政には携わらずに、地方で悪質な税の取り立てとか、隠れて悪事をしていることが多く、その大部分が今回で粛清された。
兄上みたいな自分に甘いタイプは同じようなタイプを引き寄せるみたいだ。
自分もこれからは気を引き締めていかないと、すぐに足元を掬われてしまう。普段から兄上は長居しなかった執務室には、これまでは自分と王妃教育を終えた青白い顔のジャンヌがいたのが、今は違う。
同じ二人だけど、その間に漂う空気が、随分と居心地良い。理想を言うと、もう少し甘くても良い。
王妃教育と、兄上のやり残した公務の尻拭いで、顔色の悪かったジャンヌは、今ではほんのり色づいた美味しそうなほっぺを上気させ、私の隣に座っている。
「殿下、イチャイチャしないでください。」
「いいだろう。少しぐらい。」
「ダメです。目の毒です。」
「羨ましいんだろ。」
「当たり前です。」
ジャンヌを膝に乗せる、と言う目標は未だに叶えられていないものの、わかりやすく恥ずかしがるジャンヌは可愛すぎて悶えてしまう。こんな彼女がいて、他に目を移す兄上は本当にポンコツだな。
いくら見ても飽きない。
あまりにも、側近がうるさいので、ここまでやったら、思う存分イチャイチャする、と言う制限を決めた。
二人とも、やればできる子なんだ。
ふと、目の端に入り込んだ書類に、恐ろしい内容が書かれている。
「嘘だろ、またかよ。」
隣国からの留学生の案内だ。
正直嫌な予感しかしない。
隣国は元王妃の出身国で、今の国王陛下は、元王妃を裏切って下位貴族のご令嬢を娶った下半身ユルユル男。
多分兄上の本当の父ではないか、と思われる。
留学生の素性は、その国王陛下と、お相手の一人娘。王女様だ。
始めこそ、婚約者の横暴を告発し、真実の愛で結婚した隣国の国王陛下と王妃だったが、下位貴族出身の王妃は、社交界で上手く立ち回れず、浮いてしまい、敬遠されている。また国王陛下は、相次ぐハニートラップに悉く踊らされて、既にハーレムの主みたいになっている。国政には既に二人とも携わっていない。
隣国は、ダメ人間を製造することなら他に追従を許さない。
隣国の王妃は、王女を産んだきり、子宝には恵まれなかった。これは、運のものだし、仕方ないだろう。王女でも国を継げるように、するか否かで、論争が起きているものの、国王陛下の下半身事情により、継承権争いで、揉めに揉めている。
真実の愛って、何だっけ?
ただの女好きだろ?
こうなると、憎たらしかった元王妃が気の毒に思ってしまう。
まあ、あの王妃だったなら、こんな状況にはならなかっただろう。側妃だろうが何だろうが、捻じ伏せていただろう。
人には向き不向きがある。
王女がこのタイミングで留学したいと言う理由は何だ。異母兄である第一王子が、廃嫡された直後、来る理由は何だろう。
どうせ碌なことではない。私の隣国に対する印象は、地に落ちている。
どちらにせよ、今の甘い二人の雰囲気を邪魔しないで欲しい。
元々の期待度も少なかったしね。
兄上に言い寄る貴族は、どちらかと言うと、国政には携わらずに、地方で悪質な税の取り立てとか、隠れて悪事をしていることが多く、その大部分が今回で粛清された。
兄上みたいな自分に甘いタイプは同じようなタイプを引き寄せるみたいだ。
自分もこれからは気を引き締めていかないと、すぐに足元を掬われてしまう。普段から兄上は長居しなかった執務室には、これまでは自分と王妃教育を終えた青白い顔のジャンヌがいたのが、今は違う。
同じ二人だけど、その間に漂う空気が、随分と居心地良い。理想を言うと、もう少し甘くても良い。
王妃教育と、兄上のやり残した公務の尻拭いで、顔色の悪かったジャンヌは、今ではほんのり色づいた美味しそうなほっぺを上気させ、私の隣に座っている。
「殿下、イチャイチャしないでください。」
「いいだろう。少しぐらい。」
「ダメです。目の毒です。」
「羨ましいんだろ。」
「当たり前です。」
ジャンヌを膝に乗せる、と言う目標は未だに叶えられていないものの、わかりやすく恥ずかしがるジャンヌは可愛すぎて悶えてしまう。こんな彼女がいて、他に目を移す兄上は本当にポンコツだな。
いくら見ても飽きない。
あまりにも、側近がうるさいので、ここまでやったら、思う存分イチャイチャする、と言う制限を決めた。
二人とも、やればできる子なんだ。
ふと、目の端に入り込んだ書類に、恐ろしい内容が書かれている。
「嘘だろ、またかよ。」
隣国からの留学生の案内だ。
正直嫌な予感しかしない。
隣国は元王妃の出身国で、今の国王陛下は、元王妃を裏切って下位貴族のご令嬢を娶った下半身ユルユル男。
多分兄上の本当の父ではないか、と思われる。
留学生の素性は、その国王陛下と、お相手の一人娘。王女様だ。
始めこそ、婚約者の横暴を告発し、真実の愛で結婚した隣国の国王陛下と王妃だったが、下位貴族出身の王妃は、社交界で上手く立ち回れず、浮いてしまい、敬遠されている。また国王陛下は、相次ぐハニートラップに悉く踊らされて、既にハーレムの主みたいになっている。国政には既に二人とも携わっていない。
隣国は、ダメ人間を製造することなら他に追従を許さない。
隣国の王妃は、王女を産んだきり、子宝には恵まれなかった。これは、運のものだし、仕方ないだろう。王女でも国を継げるように、するか否かで、論争が起きているものの、国王陛下の下半身事情により、継承権争いで、揉めに揉めている。
真実の愛って、何だっけ?
ただの女好きだろ?
こうなると、憎たらしかった元王妃が気の毒に思ってしまう。
まあ、あの王妃だったなら、こんな状況にはならなかっただろう。側妃だろうが何だろうが、捻じ伏せていただろう。
人には向き不向きがある。
王女がこのタイミングで留学したいと言う理由は何だ。異母兄である第一王子が、廃嫡された直後、来る理由は何だろう。
どうせ碌なことではない。私の隣国に対する印象は、地に落ちている。
どちらにせよ、今の甘い二人の雰囲気を邪魔しないで欲しい。
あなたにおすすめの小説
【完結】白い結婚をした悪役令嬢は田舎暮らしと陰謀を満喫する
ツカノ
恋愛
「こんな形での君との婚姻は望んでなかった」と、私は初夜の夜に旦那様になる方に告げられた。
卒業パーティーで婚約者の最愛を虐げた悪役令嬢として予定通り断罪された挙げ句に、その罰としてなぜか元婚約者と目と髪の色以外はそっくりな男と『白い結婚』をさせられてしまった私は思う。
それにしても、旦那様。あなたはいったいどこの誰ですか?
陰謀と事件混みのご都合主義なふんわり設定です。
【完結】婚約破棄を3時間で撤回された足枷令嬢は、恋とお菓子を味わいます。
青波鳩子
恋愛
ヴェルーデ王国の第一王子アルフレッドと婚約していている公爵令嬢のアリシアは、お妃教育の最中にアルフレッドから婚約破棄を告げられた。
その僅か三時間後に失意のアリシアの元を訪れたアルフレッドから、婚約破棄は冗談だったと謝罪を受ける。
あの時のアルフレッドの目は冗談などではなかったと思いながら、アリシアは婚約破棄を撤回したいアルフレッドにとりあえず流されておくことにした。
一方のアルフレッドは、誰にも何にも特に興味がなく王に決められた婚約者という存在を自分の足枷と思っていた。
婚約破棄をして自由を得たと思った直後に父である王からの命を受け、婚約破棄を撤回する必要に迫られる。
婚約破棄の撤回からの公爵令嬢アリシアと第一王子アルフレッドの不器用な恋。
アリシアとアルフレッドのハッピーエンドです。
「小説家になろう」でも連載中です。
修正が入っている箇所もあります。
タグはこの先ふえる場合があります。
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?
鶯埜 餡
恋愛
バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。
今ですか?
めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
なんて、か弱く嘆いてなんていられない、私は幸せになるために嫁いだのだから。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。