王子は真実の愛に目覚めたそうです

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お誘い

疲れた心を癒してもらうため、ジャンヌの元へ急ぐ。厄介事だと思ってはいたが、これほどとは。隣国の事情など、どうでもいいが、皆馬鹿なのか?

何だ、真実の愛って。そう言いさえすれば諸々の決まり事をすっ飛ばしていいとでも?

浮気男の常套句ではないか。政略結婚の意味を理解できないなら平民になれば良い。それほどの覚悟があるなら、納得できるさ。でも、貴族としては居続けたい。浮気を正当化して、今まで、支えてきてくれた人を傷つけたい、では、納得できない。

お前は神か何かか。

これだけ、荒ぶっていても、本当にそう言いたいのは、裏切られた方の女性達だ。

何も悪くない方が勝手に、偽物にされるのだから。偽りと言われた人の気持ちを考えたことがあるのか。

ジャンヌがいる部屋の前で、深呼吸する。荒ぶっていたままでは、彼女を不安にさせてしまうかもしれない。

ノックをして、部屋を覗くと、嬉しそうな顔をして、出迎えてくれる。

か、可愛い。

「お疲れ様でした。王女様はどんな方でしたか?」

「まあ、個性的な方でしたよ。あれ、今何してたの?邪魔しちゃった?」

机の上に手紙らしきみたいなものが、散乱している。

「いいえ。お茶会のお誘いをいただいたので、返事を書こうとしておりましたの。」

「あ、そうなんだ。」

ちら、と見ると、ジャンヌの仲の良いご友人の名前が見えた。彼女なら、いいか。

ジャンヌは完璧で非の打ち所がない令嬢なのだが、一部の下位貴族から誤解されているところがある。見た目が冷たく見えるから、傲慢だとか、上から目線とか、我儘とか。

上から目線と言うのは、実際に上の立場なのだから、仕方ない。受け取る側に僻みがあるのだと思う。私からすると、我儘なんかはもっと言ってほしいのだが。

と、まあ、印象はあまりよくない。そのせいか、茶会で一時期喧嘩を売ってくるような令嬢がいた。原因は兄上なんだけどさ。兄上が婚約者に偉そうにしてるのを、勘違いした兄上の取り巻きが、ジャンヌに偉そうにしたのだ。

そいつらは私の独断でちゃんと仕置きをしておいた。本来なら兄上がすべきところ、しないから私がやった。それだけだ。

そんなことがあって、茶会はメンバーが誰かをきちんと調べた上で、参加することにしている。

「参加するの?私も行こうか?」
「いいえ、お断りしようと思っておりましたの。」
「そうなの?」
「同じ日に、王女様に誘われてしまって。」

は?

え、早くない?

「いつ?私も一緒に行こう。」
必死で訴えると、ぱあっと、明るい顔で、ジャンヌは頷いた。

「ええ、勿論ですわ。お誘いには、是非、お二人で、とありましたもの。」

いや、待てよ。あの王女は、最初から、私達を巻き込むこと前提だったみたいだ。

これから起こる全てのことに、ジャンヌを巻き込みたくない、と言う私の気持ちを見透かすように、王女に先手を奪われてしまったことについて、今の私は頭を抱えることしか出来なかった。

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