7 / 45
お誘い
疲れた心を癒してもらうため、ジャンヌの元へ急ぐ。厄介事だと思ってはいたが、これほどとは。隣国の事情など、どうでもいいが、皆馬鹿なのか?
何だ、真実の愛って。そう言いさえすれば諸々の決まり事をすっ飛ばしていいとでも?
浮気男の常套句ではないか。政略結婚の意味を理解できないなら平民になれば良い。それほどの覚悟があるなら、納得できるさ。でも、貴族としては居続けたい。浮気を正当化して、今まで、支えてきてくれた人を傷つけたい、では、納得できない。
お前は神か何かか。
これだけ、荒ぶっていても、本当にそう言いたいのは、裏切られた方の女性達だ。
何も悪くない方が勝手に、偽物にされるのだから。偽りと言われた人の気持ちを考えたことがあるのか。
ジャンヌがいる部屋の前で、深呼吸する。荒ぶっていたままでは、彼女を不安にさせてしまうかもしれない。
ノックをして、部屋を覗くと、嬉しそうな顔をして、出迎えてくれる。
か、可愛い。
「お疲れ様でした。王女様はどんな方でしたか?」
「まあ、個性的な方でしたよ。あれ、今何してたの?邪魔しちゃった?」
机の上に手紙らしきみたいなものが、散乱している。
「いいえ。お茶会のお誘いをいただいたので、返事を書こうとしておりましたの。」
「あ、そうなんだ。」
ちら、と見ると、ジャンヌの仲の良いご友人の名前が見えた。彼女なら、いいか。
ジャンヌは完璧で非の打ち所がない令嬢なのだが、一部の下位貴族から誤解されているところがある。見た目が冷たく見えるから、傲慢だとか、上から目線とか、我儘とか。
上から目線と言うのは、実際に上の立場なのだから、仕方ない。受け取る側に僻みがあるのだと思う。私からすると、我儘なんかはもっと言ってほしいのだが。
と、まあ、印象はあまりよくない。そのせいか、茶会で一時期喧嘩を売ってくるような令嬢がいた。原因は兄上なんだけどさ。兄上が婚約者に偉そうにしてるのを、勘違いした兄上の取り巻きが、ジャンヌに偉そうにしたのだ。
そいつらは私の独断でちゃんと仕置きをしておいた。本来なら兄上がすべきところ、しないから私がやった。それだけだ。
そんなことがあって、茶会はメンバーが誰かをきちんと調べた上で、参加することにしている。
「参加するの?私も行こうか?」
「いいえ、お断りしようと思っておりましたの。」
「そうなの?」
「同じ日に、王女様に誘われてしまって。」
は?
え、早くない?
「いつ?私も一緒に行こう。」
必死で訴えると、ぱあっと、明るい顔で、ジャンヌは頷いた。
「ええ、勿論ですわ。お誘いには、是非、お二人で、とありましたもの。」
いや、待てよ。あの王女は、最初から、私達を巻き込むこと前提だったみたいだ。
これから起こる全てのことに、ジャンヌを巻き込みたくない、と言う私の気持ちを見透かすように、王女に先手を奪われてしまったことについて、今の私は頭を抱えることしか出来なかった。
何だ、真実の愛って。そう言いさえすれば諸々の決まり事をすっ飛ばしていいとでも?
浮気男の常套句ではないか。政略結婚の意味を理解できないなら平民になれば良い。それほどの覚悟があるなら、納得できるさ。でも、貴族としては居続けたい。浮気を正当化して、今まで、支えてきてくれた人を傷つけたい、では、納得できない。
お前は神か何かか。
これだけ、荒ぶっていても、本当にそう言いたいのは、裏切られた方の女性達だ。
何も悪くない方が勝手に、偽物にされるのだから。偽りと言われた人の気持ちを考えたことがあるのか。
ジャンヌがいる部屋の前で、深呼吸する。荒ぶっていたままでは、彼女を不安にさせてしまうかもしれない。
ノックをして、部屋を覗くと、嬉しそうな顔をして、出迎えてくれる。
か、可愛い。
「お疲れ様でした。王女様はどんな方でしたか?」
「まあ、個性的な方でしたよ。あれ、今何してたの?邪魔しちゃった?」
机の上に手紙らしきみたいなものが、散乱している。
「いいえ。お茶会のお誘いをいただいたので、返事を書こうとしておりましたの。」
「あ、そうなんだ。」
ちら、と見ると、ジャンヌの仲の良いご友人の名前が見えた。彼女なら、いいか。
ジャンヌは完璧で非の打ち所がない令嬢なのだが、一部の下位貴族から誤解されているところがある。見た目が冷たく見えるから、傲慢だとか、上から目線とか、我儘とか。
上から目線と言うのは、実際に上の立場なのだから、仕方ない。受け取る側に僻みがあるのだと思う。私からすると、我儘なんかはもっと言ってほしいのだが。
と、まあ、印象はあまりよくない。そのせいか、茶会で一時期喧嘩を売ってくるような令嬢がいた。原因は兄上なんだけどさ。兄上が婚約者に偉そうにしてるのを、勘違いした兄上の取り巻きが、ジャンヌに偉そうにしたのだ。
そいつらは私の独断でちゃんと仕置きをしておいた。本来なら兄上がすべきところ、しないから私がやった。それだけだ。
そんなことがあって、茶会はメンバーが誰かをきちんと調べた上で、参加することにしている。
「参加するの?私も行こうか?」
「いいえ、お断りしようと思っておりましたの。」
「そうなの?」
「同じ日に、王女様に誘われてしまって。」
は?
え、早くない?
「いつ?私も一緒に行こう。」
必死で訴えると、ぱあっと、明るい顔で、ジャンヌは頷いた。
「ええ、勿論ですわ。お誘いには、是非、お二人で、とありましたもの。」
いや、待てよ。あの王女は、最初から、私達を巻き込むこと前提だったみたいだ。
これから起こる全てのことに、ジャンヌを巻き込みたくない、と言う私の気持ちを見透かすように、王女に先手を奪われてしまったことについて、今の私は頭を抱えることしか出来なかった。
あなたにおすすめの小説
【完結】白い結婚をした悪役令嬢は田舎暮らしと陰謀を満喫する
ツカノ
恋愛
「こんな形での君との婚姻は望んでなかった」と、私は初夜の夜に旦那様になる方に告げられた。
卒業パーティーで婚約者の最愛を虐げた悪役令嬢として予定通り断罪された挙げ句に、その罰としてなぜか元婚約者と目と髪の色以外はそっくりな男と『白い結婚』をさせられてしまった私は思う。
それにしても、旦那様。あなたはいったいどこの誰ですか?
陰謀と事件混みのご都合主義なふんわり設定です。
【完結】婚約破棄を3時間で撤回された足枷令嬢は、恋とお菓子を味わいます。
青波鳩子
恋愛
ヴェルーデ王国の第一王子アルフレッドと婚約していている公爵令嬢のアリシアは、お妃教育の最中にアルフレッドから婚約破棄を告げられた。
その僅か三時間後に失意のアリシアの元を訪れたアルフレッドから、婚約破棄は冗談だったと謝罪を受ける。
あの時のアルフレッドの目は冗談などではなかったと思いながら、アリシアは婚約破棄を撤回したいアルフレッドにとりあえず流されておくことにした。
一方のアルフレッドは、誰にも何にも特に興味がなく王に決められた婚約者という存在を自分の足枷と思っていた。
婚約破棄をして自由を得たと思った直後に父である王からの命を受け、婚約破棄を撤回する必要に迫られる。
婚約破棄の撤回からの公爵令嬢アリシアと第一王子アルフレッドの不器用な恋。
アリシアとアルフレッドのハッピーエンドです。
「小説家になろう」でも連載中です。
修正が入っている箇所もあります。
タグはこの先ふえる場合があります。
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?
鶯埜 餡
恋愛
バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。
今ですか?
めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
なんて、か弱く嘆いてなんていられない、私は幸せになるために嫁いだのだから。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。