王子は真実の愛に目覚めたそうです

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クロエの価値

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クロエは寮に用意された部屋に戻ると大きくため息をついた。予定通りとは言え、人に嫌われるのは傷つく。馬鹿な喋り方は、苦痛だ。慣れないことをすると、頭が痛くなる。

ルーカス第二王子もとい、現王太子に向かって甘えに甘えた口調だったのは、探りだ。こう言う話し方はお嫌いでしたよね?と確認する。叔母からの情報はたまに嘘が混じるので、都度確認をしなければなならない。

情報通り、彼は私を嫌いだと認めた。彼はこの一件で、私をああいうタイプの人間だと判断しただろう。


はじめから、第二王子は、範囲外だ。クロエは自分の立ち位置をわかっている。自分はいつでも切り捨て可能な捨て駒だと。

そこが、兄のダミアンとは違う。

兄は自分から捨て駒になりに行ったけれど、頭のいい兄を捨てるなんて残念なことをあの叔母がする筈はない。もしも切り捨てるなら私の方だ。

私は昔から叔母の駒として、ハニートラップ要員として存在していた。全く、虐待もいいところだ。小さい子供に、男の誑かし方なんて教えるのだから。

叔母は、私に何度も「貴女は私に似てるから、言う通りにするなら何でも望みを叶えてあげるわ。」と言い聞かせた。

まるで、私の望みを知っているかのような言葉に腹が立った。私の望むものは、叔母には絶対に用意できない、と私は知っていたから。

私に与えられた武器は見た目だけ。叔母は、女は笑って甘えていれば、男が守ってくれる、と言う。それは、あの頭の悪い猿の王様の話でしょ。あんな男ならいない方がマシよ。

私はここに、第一王子を探しにきた。第一王子を誑かし、その上で暗殺する。彼を隣国に入れてはならない。それが国王の側妃である叔母の命令。

今まで何の疑問も抱かずに、言いなりになった叔母の望み。

けれど、私はもうその命令を聞くつもりはない。

第一王子を生きたまま、隣国に連れ帰る。
それが、私を助けてくれた王妃様への恩返しだと思うから。

第一王子に近づくのに、第二王子が邪魔だったけれど、どうやら彼は見抜いていたみたいだ。どんな思惑かわからないが、彼は私の為に、第一王子を、戻してくれた。

情報によると、彼は甘え上手な女の子が好きみたい。寝て起きたらまた頭の痛くなる馬鹿な女のフリをしなくては。

私の願いを叶えるために、今苦しむのは仕方のないことだ。いつか願いが叶ったら、懐かしく思い出して、笑える日が来るはずだ。

だから、今はゆっくり眠る。裏切りを知った叔母に殺されたとしても、あの世で笑って過ごせるように、ゆっくり体を休めなければ。
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