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また何か
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学園内で何かが起こっている。ダミアンは、ルーカスに会い、王女の亡命を頼んだ日のことを思い出していた。
ソフィア嬢のことを言い当てたルーカスに聞かれたのだ。
「貴方が守りたいのは、王女ですか?それとも公爵令嬢ですか?」と。
私は昔から婚約者のジュリア王女しか、目に入っていない。義妹であるクロエも、少なからず自分を好いていてくれることは知っていても、どうしたって、妹にしか見られない。
ソフィア嬢など、話したことも少ないから、王女とは比べものにはならない。
「私はジュリアだけが大切です。」
そう伝えると、ルーカス第二王子殿下は、それ以上何も言うことなく頷いた。
学園では、特別授業についていけない、とか簡単すぎるとかはなく、ちょうど良い難易度にホッとしていた。有意義な時間が過ごせると確信したからだ。
私はジュリア王女だけが大切と言ったからには、もし何らかの非常事態が起こった時は、王女だけを連れて逃げる。もしくは、王女だけを逃し、自分は戦う。
第一王子のウィルヘルム殿下は、実際に会うと想像の何倍も親しみやすかった。とんでもない大馬鹿野郎と思い込んでいたのだが、そのことについては、ルーカス殿下は特に否定しなかった。本人も、一連の婚約解消の話を恥だと感じているようだから、禊は一旦成功したのだろう。だからといって、手放しで許せるほどは仲良くはない二人の関係を見るのも、楽しんでいた。
ウィルヘルム殿下の母君とソフィア嬢の父君は、兄妹だから、どこか似てるのは当然だ。
ウィルヘルム殿下は、魔法が使えない、と聞いていたが実際は違うようだった。近づいた際に魔力酔いに近い症状を覚えたからだ。
強い魔力持ち同士が近づき、歪みが生じたような、不思議な感覚に包まれる。
クロエが最近学園内で頻繁に訴えている酔いのような感覚は、これのことなのだろうか。とは言え、ダミアンも、クロエも、魔力持ちではない。魔法が使えた時代はとうの昔に去り、今では限られた一族しか、使えない。
一時期、公爵家に、古い呪いが残っていると言う噂があったものの、証拠もなければ、ご令嬢の不幸を回避できなかったことが原因で、事実無根とされたのだった。
このご令嬢の不幸というのは、言わずもがなウィルヘルム殿下の母君である。
ルーカス殿下は頭が良いが、あまり人に近寄らない。守りたい人のみ守って、あとは切り捨てる。私もどちらかと言うと、彼と同じタイプの人間だ。
意外にも、ウィルヘルム殿下は違うようだった。目の前で倒れたクロエを蔑んではいながら、受け止めて介抱する。
「まさかまたこの呪いに会えるなんてな。」
そう言って不遜に笑った顔は紛れもなく、王子の身分にふさわしいものだった。
ソフィア嬢のことを言い当てたルーカスに聞かれたのだ。
「貴方が守りたいのは、王女ですか?それとも公爵令嬢ですか?」と。
私は昔から婚約者のジュリア王女しか、目に入っていない。義妹であるクロエも、少なからず自分を好いていてくれることは知っていても、どうしたって、妹にしか見られない。
ソフィア嬢など、話したことも少ないから、王女とは比べものにはならない。
「私はジュリアだけが大切です。」
そう伝えると、ルーカス第二王子殿下は、それ以上何も言うことなく頷いた。
学園では、特別授業についていけない、とか簡単すぎるとかはなく、ちょうど良い難易度にホッとしていた。有意義な時間が過ごせると確信したからだ。
私はジュリア王女だけが大切と言ったからには、もし何らかの非常事態が起こった時は、王女だけを連れて逃げる。もしくは、王女だけを逃し、自分は戦う。
第一王子のウィルヘルム殿下は、実際に会うと想像の何倍も親しみやすかった。とんでもない大馬鹿野郎と思い込んでいたのだが、そのことについては、ルーカス殿下は特に否定しなかった。本人も、一連の婚約解消の話を恥だと感じているようだから、禊は一旦成功したのだろう。だからといって、手放しで許せるほどは仲良くはない二人の関係を見るのも、楽しんでいた。
ウィルヘルム殿下の母君とソフィア嬢の父君は、兄妹だから、どこか似てるのは当然だ。
ウィルヘルム殿下は、魔法が使えない、と聞いていたが実際は違うようだった。近づいた際に魔力酔いに近い症状を覚えたからだ。
強い魔力持ち同士が近づき、歪みが生じたような、不思議な感覚に包まれる。
クロエが最近学園内で頻繁に訴えている酔いのような感覚は、これのことなのだろうか。とは言え、ダミアンも、クロエも、魔力持ちではない。魔法が使えた時代はとうの昔に去り、今では限られた一族しか、使えない。
一時期、公爵家に、古い呪いが残っていると言う噂があったものの、証拠もなければ、ご令嬢の不幸を回避できなかったことが原因で、事実無根とされたのだった。
このご令嬢の不幸というのは、言わずもがなウィルヘルム殿下の母君である。
ルーカス殿下は頭が良いが、あまり人に近寄らない。守りたい人のみ守って、あとは切り捨てる。私もどちらかと言うと、彼と同じタイプの人間だ。
意外にも、ウィルヘルム殿下は違うようだった。目の前で倒れたクロエを蔑んではいながら、受け止めて介抱する。
「まさかまたこの呪いに会えるなんてな。」
そう言って不遜に笑った顔は紛れもなく、王子の身分にふさわしいものだった。
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