王子は真実の愛に目覚めたそうです

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番外編 ダミアン

平民

平民になってからの方が周りが騒がしいなんて、皮肉なものだな、とダミアンは思う。侯爵家に引き取られて、王配として育てられた時は全く見向きもされなかった我が身を思うと居た堪れなくなるが。

だからなのか、昔あれほど欲しかった賛美の声の正体がわかって、拍子抜けしている所だ。何ら昔から変わっていない自分と、急に掌を返したように見える周りの人々。

欲しいと思っていたものに、魅力を感じなくなったのは、自分が前より進んだからか、もしくは後退したからか。

王宮内では、平民に対しての不躾な視線は隠されもしない。さすがに、ルーカス殿下の前では、ジロジロ見たりはしないが、平民ならば、簡単に取り込めると、思っている。

王宮で働いている使用人は、事前にしっかり身元を調べられ、相応の教育を受けるのだが、稀に異物が紛れ込んでしまうことがある。

そう言う場合、貴族のやんごとない相手にはボロを出さないのだけれど、例えば相手がただの平民だったならば、違うらしい。猫を被ったりはしない。

私も、それを見てしまったところで、咎めたりはしない。理解を示して、片棒を担ぐぐらいの演技力は必要だ。

隣国とは言え、王宮に出入りしていた身としては、王宮内で鼠がどんな風に生活しているか知っているつもりだ。

平民の地位を用意して貰った時に、ルーカス殿下から提案されたのは、文官として王宮で働いてくれ、と言う話だったが、多分何も言われないばかりか、執務室で報告するたびに、嬉しそうな悪い笑みを浮かべて聞いているのだから、方向性は合っている、と思っている。

王宮内で幅を利かせていた、ルーカス殿下の意向に沿わない者達は、私に寄り添って来た者、来なかった者、全て把握済みだ。

やはり、地位は無い方が情報を収集するのに、支障が少ない。私は隣国で培った存在感のなさを武器にこの王宮内で生きていく。

王配になれなかった男は、隣国で鼠として生きていく。私にはこちらの方が性に合っているみたいだ。鼠なら結婚しろ、とも言われまい。

妹はただの平民であることを望んだ。私もその方が安心だ。隣国と違って、この国の王太子は、無理強いをしない。私達を駒として扱うのではなく、人間として扱ってくれる。

「ダミアン、お疲れ様。」
報告をする間の穏やかな時間を過ごしながら、この国に骨を埋められたらいいな、と思う。

きっと彼ならば、言えば用意してくれるだろう。嬉々として。

私は新しい飼い主に嫌われないように気合いを入れる。彼はまだ私を所望してくれるらしい。
感想 4

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