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休憩②
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リリアとのお喋り中に乱入して来た者がいる。まあ、中庭で優雅にお茶をしてたから、そう言うこともあるさ。
ただ、乱入して来た者の顔を見たら、さっきまでの癒しの空間とは異なるカオスな空間になることは明らかだった。
「今日も来たのか。暇なのか。」
「お兄様、彼は私の為に大役を引き受けてくださったのですよ。おもてなししないと。」
王妃から、身内以外の男と喋るなと無茶振りされて、考えついた人類皆お兄様計画から、自分より歳上の男を全員お兄様と呼んでいたリリアだが、彼は正真正銘のリリアの兄だ。
長男のエリオットが公爵家を継がないので、実質彼が次期当主になる。
彼には昔からリリアに纏わりつく羽虫と思われていて、当たりが強い。
「ジェイムズ様、ご無沙汰しております。」
「お兄様、ご一緒にいかがですか?」
リリアが可愛い顔で余計な提案をする。
彼は私の顔を見てニヤッと笑うと、意外にもリリアの申し出を断った。
「いや、今はいい。ところで、ライモンド。久しぶりに話したい。お茶を飲み終えたら、部屋に来てくれ。」
「畏まりました。」
恭しく頭を下げると、上機嫌で去っていった。
「よっぽどライに会いたかったのね。一緒にお茶すれば良いのに。」
リリアにはそう見えるらしいが、あれは会いたかったではなく……いや、考えるのはよそう。癒された直後にこの仕打ち。いや、まあわかってはいた。アーレン公爵家には、可愛いリリアと、リリアを愛してやまない兄達がいることは。
本当の兄だけでなく、ダグラス卿や、私のような自称兄までいるのだから、手に負えない。自称兄に、実兄が話があるとすれば、それはただ、躾以外の何ものでもない。
エリオットの躾は、圧倒的力でねじ伏せられるものだが、ジェイムズは、じわじわと嬲るように痛めつける。
どちらにしても、怖い。
大きなため息を飲み込んで、リリアに向き直ると、聞きたかったことの一つ、王弟がやろうとしている杜撰な計画を知っているか、尋ねる。
リリアは目を丸くして驚いていたが、不意に笑った。
「懲りないわね。今度こそ廃嫡ものよ。陛下は女性には弱いけれどあとはまともな方なのに、あの人は能力を兄に全て奪われた出涸らしね。
あの人、自分が王位についていたら、帝国にこれほど差を開けられなかったと嘯いてるのよ。前から国力が違うってのに。
あんな大国と張り合うなんて、無謀を通り越して、無様よ。
大方、貴方の言う通り、飛びついたのでしょうね。生死不明と言う噂に。」
「頭のおかしな侍女の方は、カミラが何とかすると思う。こちらとしては、放置して大恥をかかせてから斬り捨てても面白いけど。」
「カミラって、王妃の侍女ね。あの人、苦手だわ。王妃に取り入るために、必要でも、ライにはあまり近づいてほしくないわね。」
「彼女は、しがない伯爵位の文官なんかに興味はないよ。だから、大丈夫。こちらとしても情報以外に彼女から貰いたいものはないよ。」
リリアは何故か首を横に振って、呆れた顔をする。
「ライってそう言うとこあるわよね。」
「え、どう言うとこ?」
ぷくっと、ほおを膨らませて、リリアが黙る。何それ、可愛い。
ドキドキしながら、ほっぺをつつきたくて、ソワソワしていると、リリアは真剣な顔になった。
「あのね、ライは自分の魅力に気づくべきよ。女は、良い男には例え、身分が低くても、自分が利用されてもいいから近づきたいと思うものよ。(小声)……それに、やらしい目で見てこないイケメンなんて、優良物件でしかないじゃない。」
「声が小さくて、聞こえないよ。なんて言ったの?」
顔を赤くして、黙ってしまった。
首を傾げるも、リリアにカミラとのことを嫉妬されるとは思わなくて、顔がニヤけてしまう。ニヤけるのを抑えるのに、ジェイムズのことを思い出すと、効果はテキメンだった。
「リリア、君は気がつかないだろうけど、そう言う無防備な顔を俺以外の前でしないでね。」
リリアは、私の顔を見るために顔を上げると、なんとも言えない顔で固まった。
彼女の心の声が聞こえる気がする。
「そう言うとこだよ!」
いや、心の声ではなかったわ。
「でもさ、王弟に第六皇女の話を吹き込んだ奴は誰なんだろうな。そんなことして、国を滅ぼしたいのか。」
「そうよねー、それをさっきから考えてるのだけど、一人しか思いつかないの。」
リリアにそう言われて漸く思い出す人物がいる。私の顔を見たリリアは、私が誰を思い浮かべたか分かったらしい。
「多分、私達、同じ人を思い浮かべてるわ。……いよいよ、始まったと言うべきかしら。」
「ああ、そうか。やはり全員処分するつもりなんだな。」
「お兄様に話しておかないといけないわ。アレクセイ殿下とキャロル様の話は。」
「既に知っているだろう。エリオットに、フリードもいるんだ。多分、スカーレット嬢にアレクセイ殿下の分を移譲させるのでは?」
「それなら良いのだけれど。さすがに、クレイグ様と、メラニーは、逃げられないことを祈るわ。」
「逃がしてあげる慈悲は持ち合わせていないだろうなあ。」
私達は仲良く、魔王の訪れを予感した。
ただ、乱入して来た者の顔を見たら、さっきまでの癒しの空間とは異なるカオスな空間になることは明らかだった。
「今日も来たのか。暇なのか。」
「お兄様、彼は私の為に大役を引き受けてくださったのですよ。おもてなししないと。」
王妃から、身内以外の男と喋るなと無茶振りされて、考えついた人類皆お兄様計画から、自分より歳上の男を全員お兄様と呼んでいたリリアだが、彼は正真正銘のリリアの兄だ。
長男のエリオットが公爵家を継がないので、実質彼が次期当主になる。
彼には昔からリリアに纏わりつく羽虫と思われていて、当たりが強い。
「ジェイムズ様、ご無沙汰しております。」
「お兄様、ご一緒にいかがですか?」
リリアが可愛い顔で余計な提案をする。
彼は私の顔を見てニヤッと笑うと、意外にもリリアの申し出を断った。
「いや、今はいい。ところで、ライモンド。久しぶりに話したい。お茶を飲み終えたら、部屋に来てくれ。」
「畏まりました。」
恭しく頭を下げると、上機嫌で去っていった。
「よっぽどライに会いたかったのね。一緒にお茶すれば良いのに。」
リリアにはそう見えるらしいが、あれは会いたかったではなく……いや、考えるのはよそう。癒された直後にこの仕打ち。いや、まあわかってはいた。アーレン公爵家には、可愛いリリアと、リリアを愛してやまない兄達がいることは。
本当の兄だけでなく、ダグラス卿や、私のような自称兄までいるのだから、手に負えない。自称兄に、実兄が話があるとすれば、それはただ、躾以外の何ものでもない。
エリオットの躾は、圧倒的力でねじ伏せられるものだが、ジェイムズは、じわじわと嬲るように痛めつける。
どちらにしても、怖い。
大きなため息を飲み込んで、リリアに向き直ると、聞きたかったことの一つ、王弟がやろうとしている杜撰な計画を知っているか、尋ねる。
リリアは目を丸くして驚いていたが、不意に笑った。
「懲りないわね。今度こそ廃嫡ものよ。陛下は女性には弱いけれどあとはまともな方なのに、あの人は能力を兄に全て奪われた出涸らしね。
あの人、自分が王位についていたら、帝国にこれほど差を開けられなかったと嘯いてるのよ。前から国力が違うってのに。
あんな大国と張り合うなんて、無謀を通り越して、無様よ。
大方、貴方の言う通り、飛びついたのでしょうね。生死不明と言う噂に。」
「頭のおかしな侍女の方は、カミラが何とかすると思う。こちらとしては、放置して大恥をかかせてから斬り捨てても面白いけど。」
「カミラって、王妃の侍女ね。あの人、苦手だわ。王妃に取り入るために、必要でも、ライにはあまり近づいてほしくないわね。」
「彼女は、しがない伯爵位の文官なんかに興味はないよ。だから、大丈夫。こちらとしても情報以外に彼女から貰いたいものはないよ。」
リリアは何故か首を横に振って、呆れた顔をする。
「ライってそう言うとこあるわよね。」
「え、どう言うとこ?」
ぷくっと、ほおを膨らませて、リリアが黙る。何それ、可愛い。
ドキドキしながら、ほっぺをつつきたくて、ソワソワしていると、リリアは真剣な顔になった。
「あのね、ライは自分の魅力に気づくべきよ。女は、良い男には例え、身分が低くても、自分が利用されてもいいから近づきたいと思うものよ。(小声)……それに、やらしい目で見てこないイケメンなんて、優良物件でしかないじゃない。」
「声が小さくて、聞こえないよ。なんて言ったの?」
顔を赤くして、黙ってしまった。
首を傾げるも、リリアにカミラとのことを嫉妬されるとは思わなくて、顔がニヤけてしまう。ニヤけるのを抑えるのに、ジェイムズのことを思い出すと、効果はテキメンだった。
「リリア、君は気がつかないだろうけど、そう言う無防備な顔を俺以外の前でしないでね。」
リリアは、私の顔を見るために顔を上げると、なんとも言えない顔で固まった。
彼女の心の声が聞こえる気がする。
「そう言うとこだよ!」
いや、心の声ではなかったわ。
「でもさ、王弟に第六皇女の話を吹き込んだ奴は誰なんだろうな。そんなことして、国を滅ぼしたいのか。」
「そうよねー、それをさっきから考えてるのだけど、一人しか思いつかないの。」
リリアにそう言われて漸く思い出す人物がいる。私の顔を見たリリアは、私が誰を思い浮かべたか分かったらしい。
「多分、私達、同じ人を思い浮かべてるわ。……いよいよ、始まったと言うべきかしら。」
「ああ、そうか。やはり全員処分するつもりなんだな。」
「お兄様に話しておかないといけないわ。アレクセイ殿下とキャロル様の話は。」
「既に知っているだろう。エリオットに、フリードもいるんだ。多分、スカーレット嬢にアレクセイ殿下の分を移譲させるのでは?」
「それなら良いのだけれど。さすがに、クレイグ様と、メラニーは、逃げられないことを祈るわ。」
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私達は仲良く、魔王の訪れを予感した。
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