婚約者の頭の中にはおがくずが詰まっている

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まだマシかも?

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グラントから、マルクを紹介されてないとすれば、まあ、こうなるよね。

赤毛は、私に何故か相談してくるようになった。マチルダといい、赤毛といい、私のことを何だと思ってるんだ。

「私はどうしたら幸せになれるの?」
「婚約者のいない男を探せば良いんじゃない?」
「でも、婚約者のいない人って、アクが強いじゃない?」

いや、婚約者がいても、強い奴は強いよ。グラントとか、マルクとか。

「たまにいるけどね、マシな人。紹介して欲しい?」

頷く赤毛に詰め寄ると、彼の好みを教えてあげる。

「今回ご紹介いたしますのは、侯爵家の嫡男でありながら、婚約者に恵まれなかった氷の貴公子、イアン様。

この、イアン様の歴代の婚約者候補は、清楚で大人しいが故に他の女性に嫉妬のあまり、いじめられて儚くなりました。ですから、次の候補は、生命力あふれる方が良いと仰られて。貴女なら、元気だし、あの方の興味を引くこと間違いなしです。」

そう、貴女なら、あの残虐イケメンの嗜虐性をくすぐる筈よ。

玉の輿に乗りたいみたいだし、これぐらいの意地悪は許されるわよね。


「貴女がお望みなら、ご紹介して差し上げます。どうしますか?」

「勿論。お願いするわ。」

「契約成立ですね。」

「ええ、貴女達にも、マルク様にも近づかないと誓うわ。」

念のため、書類にして貰う。うん、これで、彼女に用はないわ。幸せになるのよ。うんうん。なれるならね。


氷の貴公子には裏がある。イケメンで、仕事はできるんだけど、性格が死ぬほど悪く、女性が嫌がることが大好きと言うヤバい奴。

そういえば、あいつに求婚されて嫌がった父が、仕事の繋がりのあったグラントの父にお願いして、彼との婚約を決めてくれたんだった。

氷の貴公子に比べたら、まだマシか。

こう考えると、周りに碌な男が居ねーな。
……辛い。

私は奴に会いたくないので、手紙を出すことにした。貴方に似合う女性を送ります。煮るなり焼くなりお好きにどうぞ。

返事はすぐに来たけれど、燃やした。怖いから。

多分碌なこと書いてないから。

恐怖からグラントに抱きついてしまった。グラントを喜ばせてしまったが、仕方ない。誰だって命は惜しい。

最悪、グラントを盾にしてでも、逃げる覚悟を決める。グラント、私に悪いと思うなら私の為に死んでね。お願いね。

グラントは私からの抱擁に感動している。これぐらいは許してやろう。体だけは強いのだ。最近グラントの良いところに、気がつく。絆されてきているのでは?

嫌な展開だな、このまま結婚とかしちゃうんでは?

うーん。

いや、私は足掻く。最後の最後まで。
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