お久しぶりです、元旦那様

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元乳母 ニーナ

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あらあら、元旦那様じゃないの。きったないなりして。お久しぶりだねぇ。何しに来たんだい。

嫌だねぇ、乳母の顔を忘れたのかい?

何してる?ウィリアム坊ちゃんのお世話さ。経験豊富な人が良いってんで。明らかに失敗したってのに、私に挽回のチャンスをくれたんだ。

失敗って何か?アンタだよ。元旦那様を育てたのは私と、もう一人じゃないか。まあ、言い訳をさせてもらえば、私は乳母としてアンタに関わったのは凄く短い時間だけ。もう一人のベスの方が、アンタが実母だと勘違いするほどに、ベッタリだったからねぇ。

アンタがこうなってしまったのは、家庭教師やらあのライラって言う変な女やジョセフに依るところが大きいと、奥様は慰めてくれてね。

なんだい、その顔。ジョセフを知っているのかって?そりゃ、知っているさ。アンタを破滅させた張本人じゃないか。

なんだ、知らなかったのかい?ジョセフはただの優しいお爺さんじゃないよ。イリスという子爵令嬢を覚えているだろう?アンタの初めての恋人さ。

恋人じゃない?そうだね。自分から誘っておいて、襲われたと言って証拠を捏造し、アンタから慰謝料をせしめた悪い女だよ。


彼女にアンタを狙わせたのはジョセフだ。イリスとジョセフは繋がっていたからね。ジョセフはアンタを慰めて、別の女をあてがった。

確か……そう、グレイスだ。彼女のことは覚えてるんだね。それなりに長かったものね。え?ああ、そんな風に思っていたのかい。

彼女と結婚すると、思っていたんだね。

アンタはこの家の嫡男だ。伯爵家の金が随分とジョセフに吸い取られている。安心と言っていいかはわからないが、もう今は代替わりしてジョセフはもう力を持っていない。

今はホレ、あの娘。ライラとか言うごろつきの、関係者しかいないからね。彼女がいなくなれば、アンタに接触してくる人もいなくなるよ。

だけど、いまだにあの女とは切れないのかい?そんなに相性が良いと言うのかい?乳母でしかない私が言うことじゃないのかもしれないけど、考え直して見るのもアリだよ?

……新聞?何の話だい?

ライラが死んだ?良かったじゃないか。良くないって?何故?自分が疑われている?まさか。

アンタに人殺しは無理だよ。ましてや刃物が苦手でいまだにハサミすら持てないアンタには。

覚えているかい?あの教育係を。アンタにねちっこい体罰を繰り返していたあの教育係。彼が元でアンタは先の細い物が苦手になったんだ。

万年筆や、ハサミ。フォークやナイフに身が竦むアンタに悪いことなんかできないよ。精々が後ろでやいのやいの、と吠えてるぐらいだね。

アンタのことは良く知っているだろ?

なんて言ったけど、私が調べたことじゃないんだ。全て奥様が調べたんだよ。

アンタがこうなってしまった原因を知りたいとね。ああ、本当に出来たお人だよ。アンタもライラがいなくなった今、真っ当に生きるチャンスじゃないか。さっさと警察に行って、話をしておいで。

それで一からやり直すのさ。大丈夫。怖くて一人で行けないなら私が一緒に行ってあげるから。
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