お久しぶりです、元旦那様

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侍従 ユアン

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お久しぶりです、元旦那様。まだいらしたんですね。半信半疑ではありましたけど。私のこと覚えてます?え?何をしてるんだって?この格好を見てわかりませんか。侍従をしているんですよ。

似合っているでしょう。何故?

働かざる者食うべからず、って言葉、知っています?

前の職場をクビになってしまったので、此方で雇ってもらえる事になったんです。いやー、旦那様がいらっしゃったら私なんて門前払いでしたでしょうが、外面が良いのだけが取り柄の私ですから、奥様に気に入ってもらえたようでよかったです。

母ですか?さぁ、どこへ行ったのか知りませんよ。貴方のお母君に嫌われて、身一つで放り出された乳母なんて。紹介状がないんですからまともな職にはありつけませんからね。

見た目だけは良い母に懸想したのは貴方のお父君でしたが、お母君からすれば、誘惑したのは、母の方に決まっている、ということらしいですよ。

ああ、母の名前を覚えていらっしゃる。さすが母の、出来のいい方の息子ですね。

いや、昔ね。母が私を叱る時に漏らしたのですよ。嘘か真かは知らないですよ。貴方は母の最初の子だと。ただ、それには少し疑問が残るのですよ。だって実母なら母を乳母として雇うことをお母君が許すと思います?

確かに、妊娠時期は被っていたみたいです。だけど、流産した、と私は聞いているんです。でもね、考えるんです。どちらが流産したのだろう、って。

母なのか、貴方のお母君なのか。

気になりません?


どちらが母であれ、貴方の父君の血を引いてますから、後継ではあったんですよ。

でも、そう考えれば、納得がいきませんか?貴方を可愛がった様子のなかったお母君の様子にも。貴方が何をやらかしても我関せずだった彼の方は、貴方が奥様とご結婚してからすぐに単身領地へ向かいましたよね?

それは奥様が気に入らなかったから?

んー、どうでしょうか。奥様と二人だった時は普通に会話されていましたよ。これは婚姻前の顔合わせの際ですが。

余計なことを言いましたね。まさかご存知ないとは思いませんでした。

私が何故それを知っているかについては、特別に教えて差し上げましょう。

主人の命で、あなた方を監視していたからです。

あ、すごい!ピンポンピンポーン!
大当たりです!!

素晴らしい推理ですね。グレーゼル商会は、ライラ様よりも先にこちらの伯爵家を狙っていたのです。

それならもう一問。それは一体何故でしょうか?

ヒントはジョセフから預かったもの、と言えば?です。

ん?んん?返事がないですねー。ここまできてしらばっくれるとか無しですよー。

またまたー。ホラ、さっさと出してください。ライラも持っていない、奥様の部屋にも置いていない、だとすれば貴方がどこかに隠したのでしょう。

乳兄弟のよしみで、教えてくれても良いじゃないですか。

あれがないと、私が商会から足抜けできないのですよ。そろそろ私も身を固める方向で、ホラ、あの子いたでしょう。花屋のケリー。彼女を迎えに行かなきゃいけないんですから。
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