美少年は男嫌い

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連絡先(光)

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いつの間にそんなに仲良くなったの?
ヤンキーの先輩と南が連絡を取り合う仲だと聞いた。南から話しかけて、すでに名前で呼び合う仲らしい。
ヤンキーの人は隼人さん、と言って近所の料亭で皿洗いのバイトをしているらしい。

あ、僕も早くバイト探さなきゃ。

南はやたらウキウキしてる。

「あ。隼人さんの、バイト先、バイト募集してるって。皿洗い。」
バイト探してるのを知って、教えてくれる。

「連絡しようか?バイトの話聞きたいって。」

正直なところ、そんなにお世話になりっぱなしでいいのか、迷った。ただでさえ、何度も助けて貰ってるのに…

でも、バイトの面接中に襲われたら、とか考えたら面接に行く勇気すら持てなくて、結局探せてないのが現状である。

だから、「うん、お願いします。」
そう答えていた。


僕がバイトしたいと言ったら、思いの外、喜んでもらえた。皿洗いは、たくさんの量はわからないけど、少しなら一人暮らしで経験あるし、大丈夫と思った。

時間あれば、今日話を通したいらしく、
一緒に行った方が話は早いと思う、と言われて一緒に行くことにした。

すごく緊張する。

隼人さんと目が合う。初めてこの人の顔をちゃんと見た気がする。

割と綺麗な顔をしていた。

「大丈夫?そんなに緊張しなくていい。怖い人じゃないから。なんつーか、俺の親みたいな人ばかりだから。」

少し照れながら、説明してくれる。
歴代のバイトが辞めた話もしてくれたが、不思議だ。

自分はこれまでのことが、なくても彼を怖いとは思わない。むしろ、自分と似たような、似ているような感覚に陥る。

これは今まで感じたことのない感覚だった。

南がなついたのは、これかな。

この人の持つ優しい雰囲気に、僕はすっかり囚われていた。

料亭の勝手口を隼人さんが開けると、
「坊、久しぶりやね。」
明るい声が聞こえてきた。
「あ、お久しぶりです。女将さん。」
キャーと、再会の抱擁が行われている。

「支配人、今日いる?」
「今いない。」
「あー、そっか。確認するんだった。バイトの話とか聞いてる?」
女将さんらしき人が、僕を見つけて、
中に入れてくれる。
「中に入り。この子なんやろ。新しいバイト。」
「うん、バイト探してたみたいで。」
全身を舐めるように見て、チェックされる。

隼人さんに助けを求めるが、ごめん、と手で謝るだけ。

少しして「採用!」
女将さんの鶴の一声で、僕は無事働けるようになった。

あとで、履歴書を持ってくることと、未成年だから、親の承諾がいることを告げられる。

母にバイトすることは伝えているから、大丈夫だと思う。

問題は父と兄だ。
母に会うときに会わないようにしないと。





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