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先輩(光)
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父と兄の不在を確認して、無事母に会う。母は、父と兄と僕は単に仲が悪いだけだと思っていて、多分僕と会ったこともさらっと言ってしまうだろう。
バイト先のことを知りたがったが、そこはオブラートに包んだ。皿洗いのバイトだと言った。それ以外、店の情報は一切黙っていた。
もしかしたら、今日か明日に家に来るかも知れない。ネカフェかホテルにでも泊まるべきかな。必要な書類が揃ったと、隼人さんに連絡する。
電話がかかってきた。
「お前、ご飯食べた?」
「や、まだですけど。」
「一緒に食わない?バイトのこと話したいし。」
「あ、はい。どこに行けばいいですか?」
待ち合わせして、指定の場所へ行く。
落ち着いた様子の洋食店だった。
「ナポリタンが有名だけど、俺オムライス。ハンバーグも美味しい。」
「んー、じゃあハンバーグで。」
注文を済ませて、店内を見回す。
なんかほっこりした雰囲気で、隼人さんみたいだと思う。
「ここ、よく来るんですか?」
「うん。まあ、母親とよく来てて。」
「はい、お待ち。彼女連れてきたこともあったわね。」
思ったより大きなオムライスが、どーんと現れた。お店の人とも顔馴染みらしい。
ハンバーグも大きい。
美味しそう。
タイミングよく、お腹がぐーっと鳴った。
「いただきます。」
「いただきます。」
食べながら話すことも忘れて、
ひたすら食べる。美味しい。
一気に食べて、一息ついたら、
凄く嬉しそうに笑っている隼人さんと目が合った。
「口に合ってよかった。美味いだろ?」
「僕、こんなに集中して食べたの久しぶりです。美味しかった~」
食後のコーヒーを飲みながら、バイトの話やら、学校の話やらをした。
久しぶりに何も考えずに話せた。
隼人さんの持ってる雰囲気のなせる技だ。
「そろそろ帰るか。」
「はい。」
お金を払って店を出る。
送る、と言った隼人さんに家には帰らないことを伝える。
「ん?何かあるのか?」
「いや、念のためです。」
父と兄が来るかもしれない。
それはいいたくない。
「じゃあ、うち来れば。」
隼人さんを見上げると、
「うち、今一人だし。勿論、何もしないよ。どこに泊まるかしらないけど、お金かかるよね。うちなら、明日の朝ごはん、お弁当つきだ。どうする?」
「いいんですか?」
「うん、聞きたいことまだあるし。」
少し躊躇いはしたものの、僕も隼人さんに聞きたいことがある。
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
いつもならありえない選択だった。
けれど、隼人さんは僕に欲情しないだろう、と都合の良い解釈を信じた。
事実、隼人さんは僕に手を出さなかった。
なのに、あとから僕はお家について行ったことを後悔した。
僕が隼人さんに手を出してしまったからだ。
バイト先のことを知りたがったが、そこはオブラートに包んだ。皿洗いのバイトだと言った。それ以外、店の情報は一切黙っていた。
もしかしたら、今日か明日に家に来るかも知れない。ネカフェかホテルにでも泊まるべきかな。必要な書類が揃ったと、隼人さんに連絡する。
電話がかかってきた。
「お前、ご飯食べた?」
「や、まだですけど。」
「一緒に食わない?バイトのこと話したいし。」
「あ、はい。どこに行けばいいですか?」
待ち合わせして、指定の場所へ行く。
落ち着いた様子の洋食店だった。
「ナポリタンが有名だけど、俺オムライス。ハンバーグも美味しい。」
「んー、じゃあハンバーグで。」
注文を済ませて、店内を見回す。
なんかほっこりした雰囲気で、隼人さんみたいだと思う。
「ここ、よく来るんですか?」
「うん。まあ、母親とよく来てて。」
「はい、お待ち。彼女連れてきたこともあったわね。」
思ったより大きなオムライスが、どーんと現れた。お店の人とも顔馴染みらしい。
ハンバーグも大きい。
美味しそう。
タイミングよく、お腹がぐーっと鳴った。
「いただきます。」
「いただきます。」
食べながら話すことも忘れて、
ひたすら食べる。美味しい。
一気に食べて、一息ついたら、
凄く嬉しそうに笑っている隼人さんと目が合った。
「口に合ってよかった。美味いだろ?」
「僕、こんなに集中して食べたの久しぶりです。美味しかった~」
食後のコーヒーを飲みながら、バイトの話やら、学校の話やらをした。
久しぶりに何も考えずに話せた。
隼人さんの持ってる雰囲気のなせる技だ。
「そろそろ帰るか。」
「はい。」
お金を払って店を出る。
送る、と言った隼人さんに家には帰らないことを伝える。
「ん?何かあるのか?」
「いや、念のためです。」
父と兄が来るかもしれない。
それはいいたくない。
「じゃあ、うち来れば。」
隼人さんを見上げると、
「うち、今一人だし。勿論、何もしないよ。どこに泊まるかしらないけど、お金かかるよね。うちなら、明日の朝ごはん、お弁当つきだ。どうする?」
「いいんですか?」
「うん、聞きたいことまだあるし。」
少し躊躇いはしたものの、僕も隼人さんに聞きたいことがある。
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
いつもならありえない選択だった。
けれど、隼人さんは僕に欲情しないだろう、と都合の良い解釈を信じた。
事実、隼人さんは僕に手を出さなかった。
なのに、あとから僕はお家について行ったことを後悔した。
僕が隼人さんに手を出してしまったからだ。
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