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変な男
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ルーナ・ローガン男爵令嬢には、同性の友人がいない。それは、本人が要らないと思っている所為に他ならないが、ルーナは確かに昔から同性には全くと言っていいほど好かれない。
ルーナが男性にチヤホヤされているのを、忌々しい目で睨むくらいなら可愛いが、彼女達はルーナが入り込めないように難しい話をしたり、内輪の話をしたりして、ルーナを仲間外れにするからだ。
友人がいないことにルーナは対して気にしないのだが、最近知り合った男に取っては大したことらしい。
「なら、貴方が友人になってください。」
と伝えたら、赤くなるどころか、憮然とした態度で見当はずれなことを言う。
「異性ではなく、君なら、同性の友人の方が良いのではないか。……私の婚約者を紹介するから彼女に友人になって貰えば良い。」
……何か、ズレてるのよね。育ちのいいお坊ちゃんって皆こうなの?
「貴方の婚約者は、私には冷たいと思いますけど。」
「いや、彼女は、所謂淑女だから、そう言った印象を受けるだけで……」
ん?肝心な最後が聞き取れなかったんだけど?
いやいや、考えても見なさいよ。いくら婚約者だって言ってもある日突然見知らぬ女を連れて来て「この人の友人になれ」だなんて、「何言ってんだ、こいつ」案件でしょうよ。
ましてや、この男の婚約者だと言う令嬢からしたらこの「よく知らない男爵令嬢」なんて「恋敵である」と、誤解してもおかしくないでしょうに。
はっきり言って、ルーナにすればこの男が毎回絡んでくる意図がわからないから邪険にするわけにもいかず、だからといって不名誉な噂も、もう今更どうこうできる訳もなく。だから、せめて自分から関わったりはせずに傍観を決め込みたいだけなのだ。
見ず知らずの男性に話しかけられ、話しただけで「阿婆擦れ」やら「男好き」やら言われて、その婚約者とやらに睨まれたり、陰口を言われたりするのだから。何というか、随分と、幼稚な彼らにこれが貴族という者なのかと、呆れたものである。
とはいえ、自分だって彼女達の基準から考えると貴族らしくないのだろう、と異分子を排除したいと言う彼らの強い意志を感じ、ジタバタするのも悪手として、流されてきた。ルーナ自身、兄がいる身で男爵家に残るつもりも、貴族という身にしがみつく気もないのだから、敢えて彼女達のおもちゃになる気もない。
ルーナは自分ではわからないが、男性の目を惹く見た目をしているらしい。それだけで、同性は寄って来ないのだから仕方ないとしか言いようもない。ルーナはまたもや話の途中で勝手に帰って行った男の背に「余計なことはしてくれるな」と念を飛ばして、後はスッキリと忘れてしまうことにした。
また余計なことに巻き込まれては敵わない。ルーナは経験則からこの手のことに拘ると碌なことにならないと理解していた。
ルーナが男性にチヤホヤされているのを、忌々しい目で睨むくらいなら可愛いが、彼女達はルーナが入り込めないように難しい話をしたり、内輪の話をしたりして、ルーナを仲間外れにするからだ。
友人がいないことにルーナは対して気にしないのだが、最近知り合った男に取っては大したことらしい。
「なら、貴方が友人になってください。」
と伝えたら、赤くなるどころか、憮然とした態度で見当はずれなことを言う。
「異性ではなく、君なら、同性の友人の方が良いのではないか。……私の婚約者を紹介するから彼女に友人になって貰えば良い。」
……何か、ズレてるのよね。育ちのいいお坊ちゃんって皆こうなの?
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「いや、彼女は、所謂淑女だから、そう言った印象を受けるだけで……」
ん?肝心な最後が聞き取れなかったんだけど?
いやいや、考えても見なさいよ。いくら婚約者だって言ってもある日突然見知らぬ女を連れて来て「この人の友人になれ」だなんて、「何言ってんだ、こいつ」案件でしょうよ。
ましてや、この男の婚約者だと言う令嬢からしたらこの「よく知らない男爵令嬢」なんて「恋敵である」と、誤解してもおかしくないでしょうに。
はっきり言って、ルーナにすればこの男が毎回絡んでくる意図がわからないから邪険にするわけにもいかず、だからといって不名誉な噂も、もう今更どうこうできる訳もなく。だから、せめて自分から関わったりはせずに傍観を決め込みたいだけなのだ。
見ず知らずの男性に話しかけられ、話しただけで「阿婆擦れ」やら「男好き」やら言われて、その婚約者とやらに睨まれたり、陰口を言われたりするのだから。何というか、随分と、幼稚な彼らにこれが貴族という者なのかと、呆れたものである。
とはいえ、自分だって彼女達の基準から考えると貴族らしくないのだろう、と異分子を排除したいと言う彼らの強い意志を感じ、ジタバタするのも悪手として、流されてきた。ルーナ自身、兄がいる身で男爵家に残るつもりも、貴族という身にしがみつく気もないのだから、敢えて彼女達のおもちゃになる気もない。
ルーナは自分ではわからないが、男性の目を惹く見た目をしているらしい。それだけで、同性は寄って来ないのだから仕方ないとしか言いようもない。ルーナはまたもや話の途中で勝手に帰って行った男の背に「余計なことはしてくれるな」と念を飛ばして、後はスッキリと忘れてしまうことにした。
また余計なことに巻き込まれては敵わない。ルーナは経験則からこの手のことに拘ると碌なことにならないと理解していた。
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