巻き戻りの人生は幸せになれるはずだったのに

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子爵家の没落 マリア視点

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第二王子カートが、子爵家の子息を始末した原因は、口封じの為だ。彼のお気に入りを誰にも取られないように策を練り、協力者に口封じをしたのだった。

子爵家の子息は、ギャンブルで膨れ上がった借金の完済を餌に、ある伯爵令嬢を傷物にするという役目を与えられた。実際には傷物にする前にカートが助けに入る、という筋書きだったのだが、そうとも知らない伯爵令嬢は、カートを恩人として、崇めるようになった。

彼女は結果、カート王子以外の男性を怖がり、王子に依存していくようになる。そこまでしないと一人の女も籠絡できないなんて可哀想だと思うけれど、余計なことを言って殺されるなんて嫌だから黙っている。いつのまにかいた男爵令嬢はああいう子だから放っておいて構わない。彼女は過去の自分よりも愚かで、愛らしい。一つ前の人生では見かけなかったからか、最初は少し警戒したけれど、彼女に何かできるとは思わない。だってあんなにわかりやすいのだもの。

子爵家の没落は特に意識していたわけじゃない。ベアトリスの時には簡単に出来て許されていたことが、ただの子爵令嬢には許されなかったってことだけ。そう思えば、やっぱり公爵家の権力って侮れないのね。

それに集まってくる男達の質も下がった。子爵令嬢じゃ、中々上の身分の男達は寄ってこない。しかも中には無理矢理関係を迫ってくるような輩もいて、身分って大事なのだと思い知った。

「子爵家が没落するなら、私が囲ってやろうか。」

カート王子の申し入れは素直に受けた。彼は単に目の届く範囲に監視対象を置きたかっただけで、恋愛感情なんてものは一切なかったけれど、周りはそうは思わない。

子爵家を没落まで追いやった毒婦が第二王子を籠絡したと面白おかしく騒ぎ立てる。ここに来て第二王子の側近達は騒がしくなった。

隣国の王女と婚約している第一王子アーノルドに対抗する為に、公爵家の後ろ盾を求める。

ベアトリスだった頃に散々虐めた本物が今ではちゃんと公爵令嬢になっていた。彼女は今となっては雲の上の存在。彼女は大切にしてくれる人に囲まれて幸せに暮らしている。

よせば良いのに、カートを取り囲む者達は、公爵家に関わりたくて仕方がない見たい。

前の人生で懲りたの。あの公爵令嬢には関わりたくないわ。それでもカートの側にいるとどうしても関わりになってしまうのが公爵家。

こうして思い返してみると、今までの人生の鍵となる人物って、第二王子カートのような気がする。彼が主人公という線は低い。だってあんなに悪さばかりしているのだもの。

だから、きっと彼はラスボスで、彼をどうにか倒すために、勇者か何かが彼を倒そうとしているんだわ。差し詰め、私は悪の手下で、すぐ死ぬキャラね。

私だって一度ぐらいは正義の方になりたいけど、無理ね。性根が悪寄りなのは、今更変えようがないのよ。
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