妻が浮気をしているようなので

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監禁最終日❸ピートの仕事

私は間抜けだ。幼い頃から周りにそう思われていたことも知っている。
権力に弱く、下を見下し、上にへつらう。典型的な雑魚そのものだ。

アールに媚びていたのは、アール自身が私と同じタイプの人間だったから。アールが媚びていた第四王子もそうだ。
アールが第一~第三王子に近づいた時相手にされなくて、仕方なく第四王子に近づいたのも、知っているし、心の中では馬鹿にしていたのだから。

アールは侯爵令息の身分を利用し、色んな女性に色目をつかい誑かしていた。顔だけは整っているからタチが悪い。

イリナは地味だが、上昇志向の強い女性だった。気の強いところも、アールに一途なところも笑うと意外に可愛いところも、アールと一緒にいるだけの私にも、目にすることは出来た。

アールのイリナに対する行動が目に余るようになった頃、多分私はイリナに恋に落ちていたのだろう。段々、アールから心が離れていった。

私自身の心の変化に一番に気づいたのは、私でもなくて、意外な人物だった。
私と妹夫婦は幼馴染なのだが、昔から交流は多い。妹夫婦は二人で楽しそうに遊んでいて、妹の夫の姉のイザベラとは何度か世間話程度はするようになっていた。

彼女は特に僕に優しいわけでも、興味があったわけでもないだろうが、僕がアールに抱いていた苦々しい想いには気がついていた。それに起因するイリナへの想いにも。

彼女は、いつまでそうしているつもり、だと言った。最初なんのことかわからなかったが、第四王子の暗殺が行われて、遅ればせながら気づいた。

アールは殺されると。今しか、チャンスはもうないのだと。イリナを助けてくれ
たのは、ただの気まぐれだったのかもしれないが、僕にとっては僥倖だ。

僕はイリナと婚約し、結婚した。守りたかった。アールが第四王子とつるむようになってから、僕を軽視し、疎遠になっていたことも幸いした。イリナは恨んでいたようだが、第四王子にあてがわれた女性に現を抜かし、イリナとも疎遠になっていたことが、アールの罪を余計に被らなくて良いとされる命綱となった。

イリナは僕と結婚したくなかった、と思う。けれど他にあても無く、仕方なくの結婚だった。イリナの両親は、イリナ自身に興味がなく、誰と結婚しても良い、と思っていたらしく、挨拶に行くと驚かれた。嫁の貰い手があったなんて、と。

イリナの両親は派手で、見目麗しく、イリナとまるで似ていない。兄や姉も両親には似ているのにイリナとは、言われなければ家族とすら思われなかった。家族の仲は一見よいが、実情は違った。

イリナは少しずつ、歪んでいった。

アールに関して、感謝することがあるとすれば、イリナに引き合わせてくれたことぐらいか。

僕は今回イリナがしたことに責任を取らなければ行けない。イリナを回収したのち、身を潜めるつもりだ。

妻と二人話し合わなければいけない。今まで、向き合うのが、怖かった。やっぱり貴方を愛していない、と面と向かって言われることが怖い。あの、アールに似た平民との関係を聞くのが怖い。

子爵との間に何があるのか、聞くのが怖い。彼女を傷つけるのが怖い。

僕は、悪口には慣れている。僕が傷つけられるのはいい。けれど、イリナ自身が傷つくのは我慢ならない。

だから、彼女が傷つくぐらいなら、彼女自身を閉じ込めてしまおう、と思う。

僕の一族も、そう愛が重い一族でね、イリナは知らないだろうけれど。
妹もよく似てるんだよ。








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