望んだことをしてあげただけなのに、妹が烈火のごとく怒り出したのですが

mios

文字の大きさ
9 / 25

第一王子クリストファーの感じた違和感

しおりを挟む
第一王子クリストファーは、小さな違和感を感じていた。何度かのやらかしによって漸く手に入れた違和感という制御装置。嘗て彼は女性に溺れ、進むべき方向を誤ったことがあった。気づけば潮の満ち引きのように、さぁっと周りから人がいなくなっていた。第二王子は、自ら進んで臣下に降ったが、クリストファーは未だ諦めた訳ではない。第三王子を手懐けて王位には就けなくとも周りから権力を手に入れることはできる筈だ。

幸いにも、弟である第三王子の婚約者ルイーズ・シェアードの弱点を見つけることができた。彼女は親友と共に愛するロザリアを虐めているという。

彼女は歴代の女達とは違って嘘をついているようには思えなかった。彼女を守るために、またルイーズ・シェアードの悪事を暴く為に、そばに居るのだが、一向にその機会は訪れない。

不審に思って、確かめてみると、「やっぱり第一王子様のおかげで彼女達は寄って来れないのですわ。ありがとうございます!」

などと、涙目で感謝されると、違和感を覚えながらも「なら、良かったよ。」と言わずにいられない。

「なぁ、シェアード公爵令嬢は、ロザリアをどんな風に詰るんだ?」

歴代のクリストファーを裏切った女達は揃いも揃って、こう言った。

『クリス様に、私が気にかけて貰っているのが気に食わないみたいです。』

経験上、もしロザリアがそう言ってきたら、多分この違和感は本物だ。きっと手痛い裏切りに遭い、今度こそ自分は再起不能に陥るだろう。

だが。

「わかりません。姉は私と反りが合わないみたいで昔から冷たいのです。シェアード公爵令嬢は、姉の親友なので、私を目の敵にしています。」

クリストファーは歓喜した。やっぱり彼女は今までの嘘つき女とは違うのだ。彼女を抱きしめて、「辛いことを言わせてごめんよ。私が君を守るからね。」そう囁けば、彼女の身体から力が抜けていく。

必死に自力で立とうとしていた彼女はしなだれかかってきた男に合わせて自分を偽るような女とは違うのだ。

あの違和感は、自分にとって、経験からくる恐怖が具現化したものだった。危なかった。あれを信じていたら、真に大切な人を手放していた。

王位継承権も子種もないクリストファーに舞い降りた女神、ロザリアをもう試すような真似はしてはならない。

抱きしめた腕に力を込めて、ロザリアの笑顔を守ろうと決意したのだった。

とはいえ、ルイーズ・シェアード公爵令嬢は、二人を反対する気はないようで。

「ロザリア嬢に苦言を呈したこともありましたが、今はお二人を応援しています。末永くお幸せに。」

なんて、面と向かって言われたりして、ロザリアと一緒に驚くことになる。


クリストファーの制御装置はポンコツだ。あの一度きりで本人が信じるのをやめてしまったから、という理由もあるが、違和感がそれ以上仕事を放棄してしまったのである。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

妹が行く先々で偉そうな態度をとるけど、それ大顰蹙ですよ

今川幸乃
恋愛
「よくこんなんで店なんて開けましたね」 「まるで心構えがなっていませんわ、一体何年働いてますの?」 エインズ公爵家の娘、シェリルは商人やメイドなど目下の相手に対していつもこんな感じだった。 そのため姉のラーナは常にシェリルのなだめ役をさせられることを悩んでいた そんなある日、二人はスパーク公爵家のパーティーに招待される。 スパーク家の跡継ぎは聡明で美貌の持ち主と名高く次代の王国を支えると評判のアーノルドで、親密になれば縁談もあるかもしれない。 そう思って張り切るラーナとシェリルだったが、シェリルはスパーク家の人々にもいつも通り怒りをぶちまけてしまい、ラーナの制止も聞かない。 そこにアーノルドが現れ……

美し過ぎる妹がただ憎かったー姉の報い

青空一夏
恋愛
美しい妹に皇太子妃の座を奪われそうになった姉の陰惨ないじめとその姉の末路。 少し童話的なラブファンタジーです。

【完結】“自称この家の後継者“がうちに来たので、遊んでやりました。

BBやっこ
恋愛
突然乗り込んできた、男。いえ、子供ね。 キンキラキンの服は、舞台に初めて上がったようだ。「初めまして、貴女の弟です。」と言い出した。 まるで舞台の上で、喜劇が始まるかのような笑顔で。 私の家で何をするつもりなのかしら?まあ遊んであげましょうか。私は執事に視線で伝えた。

お姉様、本当に悪いのは私ですか?

ぴぴみ
恋愛
仲が良かったローズベルグ姉妹の関係が変わってしまった。 本当に『ざまぁ』すべき相手は私ですか? *11/26*分かりにくかった部分を変更しました。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた

黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」 幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

『候補』だって言ったじゃないですか!

鳥類
恋愛
いつのまにやら『転生』して美幼女になっていましたよ!魔法がある世界とかサイコーか! 頑張って王宮魔導師になるぞ!と意気込んでいたら…いつのまにやら第一王子殿下の『婚約者候補』にされていた…!! 初投稿です。 異世界転生モノをやってみたかった…。 誤字脱字・タグ違いなどございましたらご一報いただければ幸いです。 内容については生温くサラッと読んでいただけたらと…思います。

婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。 将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。 レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。

いつまでも甘くないから

朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。 結婚を前提として紹介であることは明白だった。 しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。 この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。 目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・ 二人は正反対の反応をした。

処理中です...