望んだことをしてあげただけなのに、妹が烈火のごとく怒り出したのですが

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ロザリアの無知

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王族の収入源は、与えられた領地から得られる税収が主なものになる。それは他貴族と変わらない。だが、第一王子クリストファーはその税収の中から過去に冤罪を被せた婚約者や、貴族家への賠償を支払っている。また、領内への必要経費も当然その中から支払われるので、お小遣い程度のお金しか手元に残っていない。

第一王子は過去にハニートラップにて失ったお金を回収できるほどには稼いでいたが、軒並み慰謝料に消えていた。

ロザリアに対する貢物も、その中からやりくりしたとっておきではあったのだが、ロザリアはその質の良さではなく、小ぶりな品物に、ガッカリしたのと同時にある勘違いを起こしていた。

仲良くなっていないから、まだこんなに小さなものしかくれないのだと。

その品物一つとっても、平民の月収を遥かに超えるものではあるのだが、ロザリアには残念ながら見極める目がない。

システィーナやルイーズと違い、ロザリアの立派なものへの認識は「大きくて派手なもの」であり、第一王子の美意識ともまた違うものだった。

ある日、ロザリアは姉と姉の友人が婚約者を伴ってドレスを物色する場面に出くわした。

それはシスティーナとルイーズの会話を盗み聞きした成果だが、クリストファーには訳を知らせずに、ドレスを買って貰う為に連れてきたのである。

システィーナとルイーズのものを見る目は確かだ。悔しいけれど、彼女達のセンスでドレスを選べば、褒められることが多いとロザリアは知っている。

第一王子クリストファーは、ドレスを買ってくれなかった。

「君へのドレスはもう用意しているから。」

買う必要はない、と言い切る。それでも姉は婚約者にねだっているのか随分と試着してはたくさん購入していく。姉の友人ルイーズも、第三王子セドリックと楽しそうに見て回り、とても充実した様子を見せつけていた。

「あれは、そう見せかけているだけで、実際にはあまり買っていないんだ。ただ周りに幸せをアピールすることで特別さを醸し出す彼らの手口だから、気にしない方がいい。」

ロザリアはクリストファーにそう言い含められたものの、何故か腑に落ちないでいた。

どうして、あんなに服を作ることを嫌がっていたのか。よっぽど用意しているドレスが値が張っているとか?でも、王子って普通の貴族と違って、毎日贅沢して暮らしているんじゃないの?掃いて捨てるほどのお金を持っているなら、ドレスぐらい買ってくれたら良いのに。

ロザリアの記憶の中には、第三王子セドリックとルイーズの幸せそうな顔。第一王子よりも第三王子の方がお金を持っているなんてそんなことないわよね?何なら公爵家が資金を援助してたりするのかしら。

それならうちも、第一王子様を援助すべき?

ロザリアにとって、新しいドレスやら宝飾品やらを購入するのなら、代金の支払いは誰がやっても構わない。

第一王子様が難しいのなら、お父様に直談判するのが良いわね。当主権限とやらで第一王子を後見?すれば良いのだわ。

そうしたら、ドレスが買えるのよね?私だって、内助の功、って言うのよね。ちゃんと彼を助けることぐらい出来るわ。
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