望んだことをしてあげただけなのに、妹が烈火のごとく怒り出したのですが

mios

文字の大きさ
25 / 25

ロザリアのその後

しおりを挟む
ロザリアは修道院に入らざるを得なかった。誰も助けに来ないどころか兄までもが裏切ったのだ。

家族に虐げられた自分を悲劇のヒロインだと思ったが、肝心の助けてくれる人がいない。

修道院にいるのは敬虔な神の僕であって、ロザリアを愛するはずの王子様ではないのだ。年季の入ったお爺さんの司祭様に、厳しい表情のお婆さんがロザリアを出迎える。

どうにかして、同情を誘おうとしても、お婆さんの目も腕も掻い潜れる気がしない。

「さあさあ、それが終わればこちらもまだあるのよ。」

次から次へ労働が待っている。

「私、慣れていなくて時間がかかるから。」

「大丈夫。誰でも最初は初めてなんだから。それに貴女のご実家から言われているのよ。貴女はすぐにサボろうとするから見張ってくださいって。辛くすればするほど力がみなぎる子なんです、って。私なんかは優しく教えて欲しいけどね、貴女とても変わってるわね。」

そんなことを言うのはきっとシスティーナだ、と思うものの、ここには本人がいないし、話を聞いて噂を流してくれる便利な取り巻きもいない。

「ああ、もう意味がないじゃない。」

取り繕う意味すらないのだから、ロザリアはどんどん素の自分に戻っていった。

「貴女、今の方が話しやすくて良いと思うわ。」

若いのにはっきりものを言うロザリアは修道女の中で人気になった。そんなことは全く望んでいなかったけれど、貴族として生き続けるよりは楽に生きられているような気がして、ロザリアは苦笑した。

ロザリアに王子様はやってこない。いるのは老人と神様だけ。

「こんなことなら姉にも媚を売っておけば良かったわ。」

ロザリアの敗因は、システィーナを敵と見做したことだ。アランを奪い、自分が彼女に勝とうとした。その為に必死に足掻いた自分を愚かに思う。

システィーナに勝とうと思わなければ、今でも貴族でいられたとは思うけれど、今こうして、クッキーを焼いて、孤児院の子供と分け合って食べる時間も幸せだ。

子供達を見ていると、我儘がかわいいと思って貰える内に、やめておけばよかったのだと冷静に思うことができる。

「ね。これ読んで。」
何も言わないうちから、子供はロザリアの膝の上に乗って、絵本を広げている。ロザリアの泣きの演技は子供達に好評だ。絵本に出てくる悲劇のヒロインの口調は、以前のロザリアを彷彿とさせる。

「……幸せになりました。めでたしめでたし。」

喜ぶ子供達の顔を見ると、昔の自分も無駄にはならないことを知った。

自分は、幸せのヒロインにはなれなかったけれど、ロザリアは今の状況にもう文句は出なかった。
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

sarumaro
2023.10.24 sarumaro

面白いー続き、待ってます

2023.10.24 mios

お待たせしておりすみません。またぼちぼち再開しようと思います。

解除
Nina
2023.10.18 Nina

一気読みしました。続きが気になります。

2023.10.18 mios

すみません。少し開きましたが続きは頑張って書きます!近いうちに!読んでくださりありがとうございます!

解除

あなたにおすすめの小説

美し過ぎる妹がただ憎かったー姉の報い

青空一夏
恋愛
美しい妹に皇太子妃の座を奪われそうになった姉の陰惨ないじめとその姉の末路。 少し童話的なラブファンタジーです。

【完結】“自称この家の後継者“がうちに来たので、遊んでやりました。

BBやっこ
恋愛
突然乗り込んできた、男。いえ、子供ね。 キンキラキンの服は、舞台に初めて上がったようだ。「初めまして、貴女の弟です。」と言い出した。 まるで舞台の上で、喜劇が始まるかのような笑顔で。 私の家で何をするつもりなのかしら?まあ遊んであげましょうか。私は執事に視線で伝えた。

妹が行く先々で偉そうな態度をとるけど、それ大顰蹙ですよ

今川幸乃
恋愛
「よくこんなんで店なんて開けましたね」 「まるで心構えがなっていませんわ、一体何年働いてますの?」 エインズ公爵家の娘、シェリルは商人やメイドなど目下の相手に対していつもこんな感じだった。 そのため姉のラーナは常にシェリルのなだめ役をさせられることを悩んでいた そんなある日、二人はスパーク公爵家のパーティーに招待される。 スパーク家の跡継ぎは聡明で美貌の持ち主と名高く次代の王国を支えると評判のアーノルドで、親密になれば縁談もあるかもしれない。 そう思って張り切るラーナとシェリルだったが、シェリルはスパーク家の人々にもいつも通り怒りをぶちまけてしまい、ラーナの制止も聞かない。 そこにアーノルドが現れ……

お姉様、本当に悪いのは私ですか?

ぴぴみ
恋愛
仲が良かったローズベルグ姉妹の関係が変わってしまった。 本当に『ざまぁ』すべき相手は私ですか? *11/26*分かりにくかった部分を変更しました。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた

黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」 幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

『候補』だって言ったじゃないですか!

鳥類
恋愛
いつのまにやら『転生』して美幼女になっていましたよ!魔法がある世界とかサイコーか! 頑張って王宮魔導師になるぞ!と意気込んでいたら…いつのまにやら第一王子殿下の『婚約者候補』にされていた…!! 初投稿です。 異世界転生モノをやってみたかった…。 誤字脱字・タグ違いなどございましたらご一報いただければ幸いです。 内容については生温くサラッと読んでいただけたらと…思います。

婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。 将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。 レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。

いつまでも甘くないから

朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。 結婚を前提として紹介であることは明白だった。 しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。 この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。 目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・ 二人は正反対の反応をした。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。