ヒロインの味方のモブ令嬢は、ヒロインを見捨てる

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モブ令嬢は、第二の転生者を知る

話は少し前に遡る。ユリアーナ様に招待されて、初めてユーグ様にお会いした日に私は衝撃的な告白を聞いた。

まさかまさかの、話だった。ユリアーナ様が私と同じ転生者だった。ユリアーナ様は、ゲームにいない筈の私に関する設定を知っていた。

私は全く覚えていないからただのモブ令嬢だと思い込んでいたのだけれど、どうやら違うらしい。

私はゲーム内では、名前だけ登場する。悪役令嬢ではないのだけれど、エトワール様のルートで、忘れられない初恋の人として、登場する。

忘れられない初恋の人…?

恥ずかしさが込み上げてくる。そういえば、ご本人から言われたことがありました。ええ、はい。

前世時代から、ユーグ様一択だったユリアーナ様は、エトワール様に私の将来に関わる秘密を話したのだそう。

ゲームの中で、私は幼少期に隣国に連れ去られてしまう。生死もわからず、探し続けるエトワールをカトリーヌが慰め、諦めさせ幸せにする。そして、私は生きているのか死んでいるのかわからないままに、終わりを迎える。


何だ、その最後。


幼少期攫われるのを回避できたのは、エトワールを助ける為に池に落ちたサラを王宮内で、看病していた為、手出しが出来なかったから、らしい。

私が知らない間に、初めからずっと、ユリアーナ様や、エトワール様には守ってもらっていた。

知らなかった。


ダニエルのキャラについても、聞いてみる。今思うと、もしかして、ダニエルも攻略対象なんだろうか。

ユリアーナ様は、ダニエルの今を知っているようで、苦笑いを浮かべる。

「彼については、ゲーム補正が入ったのか、ゲームの通りなのよ。彼はゲームの中では、婚約者をみすみす攫われて強くなる為に、騎士見習いになるのよ。それが、今はミゼー子爵家で、騎士になる為に、特訓を受けているのだから。これは、まあ仕方ないのかもしれないわね。」

あれ、いつの間に、騎士見習いになっているのですか?

彼はうちの家宝を盗んだところで、私の認識は止まっているのですが。

彼はうちの家宝が、どこにあるか、カトリーヌに聞こうとして、彼女を連れ去ったのが、ミゼー子爵家と思い込み、訪れた先で騎士になる提案をされた、とのこと。

上手くいったから良いけれど、失礼すぎるわ。ミゼー子爵家については、彼はどうやら大変失礼な思い違いをしていたらしい。

ダニエルを舐め回すように見ていた、なんて、笑えるわ。子爵様が見ていたのは、貴方の体が鍛えたら強くなるのに、勿体ないと思っていたからだし、貴方の性根も知られていたわよ。

今となっては笑い話だけれど。勘違いが酷すぎるわ。







カトリーヌ嬢が隣国へ向かった今、ユリアーナ様は自虐気味に呟く。

「カトリーヌ嬢をこの状況に追い込んだ私はれっきとした悪役令嬢なのでしょうね。」

「でも、私を助けてくださったのでしょう?」

「でも、貴女の為と言うよりは、私の為の方が大きいわ。」

「それでも、私は助かりました。それに、エトワール様の気持ちを知ることもできましたもの。」

ユリアーナ様には笑っていて貰いたい。私だと力不足だろうから、ユーグ様に丸投げになってしまうけれど。


ユリアーナ様が隣国へ向かったのは、乙女ゲームの隠しキャラがどうなっているのか確かめる為だった。

なんと、隣国の王子が、攻略対象の一人で、隠しキャラだったらしい。

けれど、該当の人物は、王子ではなく、既に結婚して家庭を築いているようで、一安心できたらしい。

「隣国の国王は、歳の離れた第三王子が選ばれたらしいわ。ゲームでは、そもそも出てこなくて、国王は、第二王子だったのに。やっぱりゲーム補正は、珍しいのね。第二王子は、王太子を陥れたとして、責任を取らされた形みたいね。」

「何があったのかしら。」

「どうやら、第二王子派の貴族に踊らされたらしいわ。王子達は仲の良い兄弟だったらしいから、心が壊れたのは兄だけじゃなかったみたい。どんな理由でも、隠しキャラがもういないなら、カトリーヌがこの国で、ヒロインに返り咲くなんてことはないのよ。」

ユリアーナ様が嬉しそうに、サラの手を取る。

「もう、ゲームを気にしなくて生きていけるわ、私達。ちゃんと幸せになりましょう?」
私達は手を固く握り合った。
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