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最後の願い
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マリア・サベスは国を出る直前にサベス家とは縁を切っていた。サベス家自体に呪いがかかっているのなら、国を出る前に離縁することは前から決まっていたようで、周りも納得済みだったのか、大して揉めることはなかったようだ。
だから、そういう意味で、マリア・サベスなる人物がいない、というのはわかる。だが、アーサーは、亡くなっている、と口にした。ということは、ケイトの友人である彼女は、この世のどこにもいないことになる。
「呪いで死ぬとはどういうことだ。何か証拠でも出たのか。」
「いえ、出国してからの彼女はどこに住んでいたのかさえも追えなかったのですが、手紙がサクリ国経由で、サベス家に届けられまして。持って来たのはマリア・サベスと親交のあった若い平民だったようです。手紙には自分が死んだらこの手紙が届くようにしてある、とあり、家族への最後の願いが書いてあったそうです。」
「最後の願い?」
「最後に届いた箱の中身は見ずにある人物に渡せ、と。」
「最後の箱とは?何の話だ。」
アーサーが説明した内容は、デイビスには手の込んだ嫌がらせのように思えた。話をしたのが、シルバだということも気にかかる。彼がご令嬢達を無闇に怖がらせて、同じことをすることで、得られる物とは何だろう。
シルバの関連はいまは明らかになっていないが、彼の周辺にこの嫌がらせの主犯がいるとみて、間違いないだろう。
シルバの話は女学園中が知っていたわけではなく、極一部の者達の間で話されていただけだ。
彼らの中でその辺りの悪意がある者といえば、どうしてもキンバリー・グリーンが出て来てしまう。ただ彼女の執着はケイトに向いているのだから、と考えると、そこに疑問が生まれてしまう。
何故、マリア・サベスを選んだのか。
サベス家に纏わる呪いが使えると思ったから?それとも他に何かがあるのか?
「シルバにも話を聞いてみた方が良さそうだが、彼には会えそうか?」
アーサーはシルバをあまり良く思っていない。初めて会った時の印象が拭えないからだ。彼はこちらが知らないケイトを知っていた。それも、気に入らなかった原因の一つだろう。
しかし、その感情とは裏腹にいつまで経っても話をしにいかなければならない用事が出来てしまう。
「いえ、彼は今国外へ出ておりまして、二週間ほどで戻るそうです。」
何でもケイトのためにこの国に住んでいただけで、ケイトのいない今この国に留まる理由がない、とのこと。
しかも、彼のパトロンは、国外にいるらしい。
「シルバの足取りを追うのはやり過ぎだろうか。」
「いえ、怪しい動きはありますからね。用心には用心を重ねた方が、此方の気は済みます。」
言い回しは気になるものの、アーサーのいう通りの指示を出した。
だから、そういう意味で、マリア・サベスなる人物がいない、というのはわかる。だが、アーサーは、亡くなっている、と口にした。ということは、ケイトの友人である彼女は、この世のどこにもいないことになる。
「呪いで死ぬとはどういうことだ。何か証拠でも出たのか。」
「いえ、出国してからの彼女はどこに住んでいたのかさえも追えなかったのですが、手紙がサクリ国経由で、サベス家に届けられまして。持って来たのはマリア・サベスと親交のあった若い平民だったようです。手紙には自分が死んだらこの手紙が届くようにしてある、とあり、家族への最後の願いが書いてあったそうです。」
「最後の願い?」
「最後に届いた箱の中身は見ずにある人物に渡せ、と。」
「最後の箱とは?何の話だ。」
アーサーが説明した内容は、デイビスには手の込んだ嫌がらせのように思えた。話をしたのが、シルバだということも気にかかる。彼がご令嬢達を無闇に怖がらせて、同じことをすることで、得られる物とは何だろう。
シルバの関連はいまは明らかになっていないが、彼の周辺にこの嫌がらせの主犯がいるとみて、間違いないだろう。
シルバの話は女学園中が知っていたわけではなく、極一部の者達の間で話されていただけだ。
彼らの中でその辺りの悪意がある者といえば、どうしてもキンバリー・グリーンが出て来てしまう。ただ彼女の執着はケイトに向いているのだから、と考えると、そこに疑問が生まれてしまう。
何故、マリア・サベスを選んだのか。
サベス家に纏わる呪いが使えると思ったから?それとも他に何かがあるのか?
「シルバにも話を聞いてみた方が良さそうだが、彼には会えそうか?」
アーサーはシルバをあまり良く思っていない。初めて会った時の印象が拭えないからだ。彼はこちらが知らないケイトを知っていた。それも、気に入らなかった原因の一つだろう。
しかし、その感情とは裏腹にいつまで経っても話をしにいかなければならない用事が出来てしまう。
「いえ、彼は今国外へ出ておりまして、二週間ほどで戻るそうです。」
何でもケイトのためにこの国に住んでいただけで、ケイトのいない今この国に留まる理由がない、とのこと。
しかも、彼のパトロンは、国外にいるらしい。
「シルバの足取りを追うのはやり過ぎだろうか。」
「いえ、怪しい動きはありますからね。用心には用心を重ねた方が、此方の気は済みます。」
言い回しは気になるものの、アーサーのいう通りの指示を出した。
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