貴女が落としたのは、浮気した第一王子ですか？それとも国を傾けた第二王子ですか？

一度やったら何度でも

一度やったやつは何度もやる、と言われる代表的なものと言えば、裏切りである。

この国はマジで頭がおかしい。
この国の王子は二人ともモラルと言うものがない。

第一王子は幼い頃から女の子が大好きで、女なら老若問わず口説く下半身ユル男。第二王子は、国への忠誠心がなく、隣国に憧れを抱いている為、すぐ、取り込まれようとする、忠誠心ナシ男。

今、私はこのどちらかと婚約をしないといけないらしい。


なんで？



え。何か重大な弱味でも王家に握られてるわけ？


下半身ユル男が、迫ってくる。

「ローラ、早く婚約して、ベッドで愛し合おう。」

忠誠心ナシ男が、ニヤニヤしている。

「ローラ、君なら隣国の王妃も夢じゃない。」

私は近くの、というより王城の池に二人を落とした。汚れがとれるかと思ったのだ。



池から知らない女が現れた。

「貴女が落としたのは、浮気しない第一王子ですか？それとも国を傾けない第二王子ですか？」

あれ。
どちらも違うが。

第一王子は、浮気さえしなければまともで、第二王子は、国を傾けさえしなければ有能だ。

どちらでも良い。
と言うか王子で、なくとも良い。


でも、まあ王子をそのままにしておくこともできない。

「どちらも違います。私が落としたのは下半身ユル男と忠誠心ナシ男です。」

池の女は、ニッコリ笑って、正直者にはどちらも差し上げましょうと言った。

こうして、下半身ユル男の第一王子は、とても一途で誠実な王子になり、忠誠心ナシ男だった第二王子は、有能な兄のサポートができる王子になったのである。

めでたしめでたし