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馬鹿な男ヨハン
ステラはある意味とても有名だ。それは本人が、と言うよりは婚約者であるヨハン・ストラウス公爵令息のおかげで。
ストラウス公爵は、公爵であるにはあるが、最近、先先代と先代公爵の悪事が明るみになったせいで公爵家の価値は落ちるとこまで落ちている。
泥舟に乗るのは嫌だと、長男であるヨハンの兄スペンサーは、後継の座を降りた。今の当主であるヨハンの父が、どうにか立て直したものの、次の代では伯爵位に転落することが決まっている。
だから、ヨハンはなれるとしたら、公爵家当主ではなく、伯爵家当主なのだが、本人はそれを知らない。
現当主までは公爵位で居られる理由は、先先代と先代の罪を告発したのが、現当主だからだ。
自分の家の不名誉な罪を、隠すでもなく詳にし、甘んじて罰を受けると言うその姿勢に、王家は情けをかけた。
ヨハンの兄スペンサーは、幼少期に騎士になることに決めていたようで、今回のことがなくても、後継の座を降りていたと思われる。
ヨハンは次男であるが、後継者に収まったことに、わかりやすく自惚れた。そうして、公爵家当主となるはずの自分が格下の伯爵令嬢との婚約を結ばされたことについて、大層不満を持っていた。
格下の、とは言うが、ヨハンの代で伯爵位になった時、ステラのサロサ辺境伯爵家と釣り合うかどうかといわれると些か劣ると言わずにはいられない。
彼は由緒正しい公爵家の自分に並々ならぬ自信を持っていて、その自分が田舎の辺境伯爵令嬢と結婚するなんてと、ステラを理不尽に嫌っていた。
嫌いな婚約者を持つ人はどうするか。一般的には、好きになろうと努力するか、政略結婚だと割り切るかだろう。
彼は違った。誰にかは定かではないが周りにアピールし始めた。
次期公爵家当主の自分に田舎者は不要だと、ステラを蔑ろにし始めた。辺境を守る辺境伯を田舎者と呼ぶ時点で、彼の愚かさは周知のこととなった。
公爵家の醜聞はセンセーショナルなものではあったが、現当主が公爵のままであったことも作用して、ヨハンを信じる者が現れた。
下位貴族のご令嬢は勿論、政治に強くない高位貴族のご令嬢何人かが、ヨハンに侍るようになった。
正直ステラとしては、この婚約がなくなったところで、損にはならない。寧ろ馬鹿の相手をしなくて楽、といったところだが、そうなると、いよいよ本人がいくら嫌がったところでスペンサーが当主になってしまう。
スペンサーには、市井に愛する人がいて、彼女と一緒になる為に身分を捨てたのに、それが台無しになってしまう。
ステラはスペンサーの笑顔を思い出し、彼の笑顔が曇るのは嫌だとこれまで耐えて来たのだった。
「これでダメなら仕方ないわ。」
駄目元で買った割にステラはあの薬が効いてほしいと思っていた。馬鹿が治ったところで仲良くする気はなかったが、伯爵家当主として恥ずかしくない人間になれば、例え好きになれなくても、許せるかもしれない。
馬鹿の周りには馬鹿が集まるものだ。ヨハンの周りの女はすべからく馬鹿であり、今泥舟に乗り込んでいることを知らない。
ストラウス公爵は、公爵であるにはあるが、最近、先先代と先代公爵の悪事が明るみになったせいで公爵家の価値は落ちるとこまで落ちている。
泥舟に乗るのは嫌だと、長男であるヨハンの兄スペンサーは、後継の座を降りた。今の当主であるヨハンの父が、どうにか立て直したものの、次の代では伯爵位に転落することが決まっている。
だから、ヨハンはなれるとしたら、公爵家当主ではなく、伯爵家当主なのだが、本人はそれを知らない。
現当主までは公爵位で居られる理由は、先先代と先代の罪を告発したのが、現当主だからだ。
自分の家の不名誉な罪を、隠すでもなく詳にし、甘んじて罰を受けると言うその姿勢に、王家は情けをかけた。
ヨハンの兄スペンサーは、幼少期に騎士になることに決めていたようで、今回のことがなくても、後継の座を降りていたと思われる。
ヨハンは次男であるが、後継者に収まったことに、わかりやすく自惚れた。そうして、公爵家当主となるはずの自分が格下の伯爵令嬢との婚約を結ばされたことについて、大層不満を持っていた。
格下の、とは言うが、ヨハンの代で伯爵位になった時、ステラのサロサ辺境伯爵家と釣り合うかどうかといわれると些か劣ると言わずにはいられない。
彼は由緒正しい公爵家の自分に並々ならぬ自信を持っていて、その自分が田舎の辺境伯爵令嬢と結婚するなんてと、ステラを理不尽に嫌っていた。
嫌いな婚約者を持つ人はどうするか。一般的には、好きになろうと努力するか、政略結婚だと割り切るかだろう。
彼は違った。誰にかは定かではないが周りにアピールし始めた。
次期公爵家当主の自分に田舎者は不要だと、ステラを蔑ろにし始めた。辺境を守る辺境伯を田舎者と呼ぶ時点で、彼の愚かさは周知のこととなった。
公爵家の醜聞はセンセーショナルなものではあったが、現当主が公爵のままであったことも作用して、ヨハンを信じる者が現れた。
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ステラはスペンサーの笑顔を思い出し、彼の笑顔が曇るのは嫌だとこれまで耐えて来たのだった。
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