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馬鹿にも種類はあるようで
「あいつの何が不満なんだ。」
「ルイスに不満なんてないわ。私に問題があるだけ。」
ルイスの兄、ディオの店にはいつもルイス作の面白い薬やら見たこともない玩具がある。ディオは口が悪いけれど、こちらが悩んでいると話を聞いてくれるし、無視したりしない。接客業なだけあって、他の人には愛想も良いし。何故か私にはあまり、だけど。
「どうせ、今まで受け身で流されてきたから、今度は自分で動いてみたい、とかそう言うやつだろ。」
「え、何でわかるの?」
「馬鹿にも種類があるって本当だな。」
「え?」
「折角馬鹿が治ったのに、また新たな馬鹿になったってこと。」
「馬鹿は馬鹿なんだから、考えたところで馬鹿な思考しか出てこない。ならいっそ開き直れば良いんじゃないか?」
そんな身も蓋もない。
「要はルイスとずっと一緒にいたいかどうかってことだと思うぞ。一番大事なところは。他の人だと、ルイスが護衛として付いてくるのを嫌がるのが普通だろうな。主人より仲の良い男なんて。愛人連れて嫁入りなんて、おかしいだろ。」
「ルイスは愛人じゃなくて、友人よ。」
「そう思って貰える相手なら良いな。」
ルイスは友人。それを分かってくれる人なんて、限られる。なら、ルイス本人にまだ気持ちが伴っていないのに、甘えても良いのかな。
「ルイスの魅力は、どこまでも優しいってところだ。あと、俺と違って忍耐力があるところ。どこまで甘えていいかわからないなら、とことんまで甘えたら良い。やり過ぎると俺みたいなダメ人間が出来上がるが。」
ディオは自分をダメ人間だと、卑下するけど、単にルイスとは才能の方向性が違うだけだ。ルイスは集団の中にいても力を発揮できるが、ディオは一人での方が能力を発揮するタイプ。
彼の心の拠り所がルイスなのは見て取れた。誤解を受けやすく、生きるのが不器用な人。ディオは昔の面影そのままの人だ。
「ねえ、どうして、爵位を受けるのを断ったの?」
「面倒くせえから。爵位を持っていれば、遅かれ早かれ社交にはでないといけない。ルイスとは違って、俺は品行方正になれない。平民のままのがずっと良い。」
平民と貴族は結婚できないわけではない。だけど、あまり好ましくはない。だから、私と結婚するために、ルイスは貴族になった。兄と身分を違えてまで。
ステラに気を遣ったのかはわからないが、ディオはいつもの笑顔で笑っている。
「これは俺の人生。あいつにはあいつの、お前にはお前の人生があるように、俺は後悔なんてしない。後悔するのは、馬鹿のすることだからな。」
気がつけば、店には他の客がパラパラと、入ってきていた。腰を上げ、店を後にする。入り口付近にいたルイスはステラを見ると、嬉しそうに微笑んだ。
「兄と話は出来ました?」
「うん。また馬鹿って言われたわ。」
「兄の馬鹿は、挨拶みたいなものだから。」
「うん。もう慣れた。」
顔合わせが終わってから、またルイスは護衛に戻り、普通に過ごしている。
婚約が決まるまではそばにいてくれるらしい。彼を待たせることは悪いことよね?
横にいるルイスに目を向けると、微笑みを返してくれる。こちらはディオとは異なり、昔の面影より随分大人びた。
「何を悩んでるかは分かりませんが、一緒にいたい方が別にいるなら、振ってくださって構わないのですよ。以前から爵位を貰う話は出ていたので、貴女に私の事情を押し付ける気はありませんから。」
本当にこの兄弟は人の心を容易く読んでしまう。
「貴女の人生です。後悔しないように。」
「後悔するのは、馬鹿のすることですものね?」
ルイスは、少し寂しそうに笑って頷いた。
「ルイスに不満なんてないわ。私に問題があるだけ。」
ルイスの兄、ディオの店にはいつもルイス作の面白い薬やら見たこともない玩具がある。ディオは口が悪いけれど、こちらが悩んでいると話を聞いてくれるし、無視したりしない。接客業なだけあって、他の人には愛想も良いし。何故か私にはあまり、だけど。
「どうせ、今まで受け身で流されてきたから、今度は自分で動いてみたい、とかそう言うやつだろ。」
「え、何でわかるの?」
「馬鹿にも種類があるって本当だな。」
「え?」
「折角馬鹿が治ったのに、また新たな馬鹿になったってこと。」
「馬鹿は馬鹿なんだから、考えたところで馬鹿な思考しか出てこない。ならいっそ開き直れば良いんじゃないか?」
そんな身も蓋もない。
「要はルイスとずっと一緒にいたいかどうかってことだと思うぞ。一番大事なところは。他の人だと、ルイスが護衛として付いてくるのを嫌がるのが普通だろうな。主人より仲の良い男なんて。愛人連れて嫁入りなんて、おかしいだろ。」
「ルイスは愛人じゃなくて、友人よ。」
「そう思って貰える相手なら良いな。」
ルイスは友人。それを分かってくれる人なんて、限られる。なら、ルイス本人にまだ気持ちが伴っていないのに、甘えても良いのかな。
「ルイスの魅力は、どこまでも優しいってところだ。あと、俺と違って忍耐力があるところ。どこまで甘えていいかわからないなら、とことんまで甘えたら良い。やり過ぎると俺みたいなダメ人間が出来上がるが。」
ディオは自分をダメ人間だと、卑下するけど、単にルイスとは才能の方向性が違うだけだ。ルイスは集団の中にいても力を発揮できるが、ディオは一人での方が能力を発揮するタイプ。
彼の心の拠り所がルイスなのは見て取れた。誤解を受けやすく、生きるのが不器用な人。ディオは昔の面影そのままの人だ。
「ねえ、どうして、爵位を受けるのを断ったの?」
「面倒くせえから。爵位を持っていれば、遅かれ早かれ社交にはでないといけない。ルイスとは違って、俺は品行方正になれない。平民のままのがずっと良い。」
平民と貴族は結婚できないわけではない。だけど、あまり好ましくはない。だから、私と結婚するために、ルイスは貴族になった。兄と身分を違えてまで。
ステラに気を遣ったのかはわからないが、ディオはいつもの笑顔で笑っている。
「これは俺の人生。あいつにはあいつの、お前にはお前の人生があるように、俺は後悔なんてしない。後悔するのは、馬鹿のすることだからな。」
気がつけば、店には他の客がパラパラと、入ってきていた。腰を上げ、店を後にする。入り口付近にいたルイスはステラを見ると、嬉しそうに微笑んだ。
「兄と話は出来ました?」
「うん。また馬鹿って言われたわ。」
「兄の馬鹿は、挨拶みたいなものだから。」
「うん。もう慣れた。」
顔合わせが終わってから、またルイスは護衛に戻り、普通に過ごしている。
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横にいるルイスに目を向けると、微笑みを返してくれる。こちらはディオとは異なり、昔の面影より随分大人びた。
「何を悩んでるかは分かりませんが、一緒にいたい方が別にいるなら、振ってくださって構わないのですよ。以前から爵位を貰う話は出ていたので、貴女に私の事情を押し付ける気はありませんから。」
本当にこの兄弟は人の心を容易く読んでしまう。
「貴女の人生です。後悔しないように。」
「後悔するのは、馬鹿のすることですものね?」
ルイスは、少し寂しそうに笑って頷いた。
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