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まずは初めの第一歩
「たのもー!」
ガチャッと、扉を開けて、中に入る。
「は?」
目玉が飛び出るぐらい驚いた様子の男。
「平民になっちゃった。雇って。」
「……何馬鹿言ってんだ。貴族の令嬢が平民になれる訳ないだろ。」
「……貴方のこと好きになってしまったのだから、仕方がないでしょう。責任とって貰って頂戴。」
「いやいや、ルイスはどうしたんだ。卿だって、お前の兄弟だって、許す訳ないだろう、平民なんて。」
「だって、後悔したくなかったんだもの。貴方を失うのが怖かったの。それに、お嫁さんにしてくれるって言ったわ。」
「いつの話だ。あれはシガニ卿に振られたら、の話だったろう。」
「何よ。私じゃ不満なの?」
ステラが近寄ると、ディオは離れる。幾度か繰り返し、無事に壁に追い詰めたところで、ディオを盛大なため息をついて床に座り込んでしまった。
「そんなに、嫌だった?」
顔を手で覆って、ディオを微動だにしない。
「お前は、何でそんなに馬鹿なんだ……」
「馬鹿は馬鹿なりに開き直れって貴方が言ったのよ。」
憤慨して、答えると、ディオは真っ赤な顔をしていた。
「俺はルイスみたいに甘やかさねえぞ。」
「分かってるわ。」
「ルイスみたいに優しくしてやれないし。」
「うん。」
「口は悪いし、態度もひどい。」
「うん。」
「才能もねえし、お前を守ってやれないかも知れねえ。」
「うん。」
「お前は俺のどこが好きなんだ。俺にはわからん。」
「私にもわからない。」
「何だ、それ。」
「でも、一生会えなくなったら、辛い人って誰だろうって考えたら、貴方ばかりが出てくるの。もう会えないかもしれないって感じた時に、ルイスなら一人でも何とかなりそうだけど、貴方なら?って。貴方が他の女性といるところを想像したら、すごく悲しくなって……何が好きかなんて、わからないわ。だけど好きになってしまったのだから、しょうがないでしょ。貴方が私を愛していないなら、諦めるけれど、多分それはない。でしょう?」
「……人の気持ちを勝手に読むな。馬鹿のくせに。」
「貴方の馬鹿は、愛してると同義語で良いの?」
「お前、前向き過ぎるだろ!」
ステラは壁に追い詰めたディオに、抱きつくと、ディオは観念したのか抵抗をやめた。
「結婚して、とは言わないわ。私を好きになってほしいけれど、貴方に選ばれるように頑張るから、選択肢には入れて貰えないかしら。」
「お前の気の迷いに付き合っている時間はない。」
冷たい言葉に顔を上げると、ディオの唇がステラの唇に被さる。
「平民同士ならすぐに結婚できるだろ。お前の気が変わらないうちに俺のものにする。」
店を閉めてすぐに、軽々とステラを抱き上げると、奥の部屋にそのまま移動する。ステラはあまりの勢いに口を挟む隙がない。
「もう逃げられないからな。覚悟しろよ、馬鹿女。」
二度目の口づけで完璧に脳が溶けたステラは、生まれて初めての感情に陥る。
好きな人に愛を与えられる幸せをやっと体験出来たことを感謝した。
ガチャッと、扉を開けて、中に入る。
「は?」
目玉が飛び出るぐらい驚いた様子の男。
「平民になっちゃった。雇って。」
「……何馬鹿言ってんだ。貴族の令嬢が平民になれる訳ないだろ。」
「……貴方のこと好きになってしまったのだから、仕方がないでしょう。責任とって貰って頂戴。」
「いやいや、ルイスはどうしたんだ。卿だって、お前の兄弟だって、許す訳ないだろう、平民なんて。」
「だって、後悔したくなかったんだもの。貴方を失うのが怖かったの。それに、お嫁さんにしてくれるって言ったわ。」
「いつの話だ。あれはシガニ卿に振られたら、の話だったろう。」
「何よ。私じゃ不満なの?」
ステラが近寄ると、ディオは離れる。幾度か繰り返し、無事に壁に追い詰めたところで、ディオを盛大なため息をついて床に座り込んでしまった。
「そんなに、嫌だった?」
顔を手で覆って、ディオを微動だにしない。
「お前は、何でそんなに馬鹿なんだ……」
「馬鹿は馬鹿なりに開き直れって貴方が言ったのよ。」
憤慨して、答えると、ディオは真っ赤な顔をしていた。
「俺はルイスみたいに甘やかさねえぞ。」
「分かってるわ。」
「ルイスみたいに優しくしてやれないし。」
「うん。」
「口は悪いし、態度もひどい。」
「うん。」
「才能もねえし、お前を守ってやれないかも知れねえ。」
「うん。」
「お前は俺のどこが好きなんだ。俺にはわからん。」
「私にもわからない。」
「何だ、それ。」
「でも、一生会えなくなったら、辛い人って誰だろうって考えたら、貴方ばかりが出てくるの。もう会えないかもしれないって感じた時に、ルイスなら一人でも何とかなりそうだけど、貴方なら?って。貴方が他の女性といるところを想像したら、すごく悲しくなって……何が好きかなんて、わからないわ。だけど好きになってしまったのだから、しょうがないでしょ。貴方が私を愛していないなら、諦めるけれど、多分それはない。でしょう?」
「……人の気持ちを勝手に読むな。馬鹿のくせに。」
「貴方の馬鹿は、愛してると同義語で良いの?」
「お前、前向き過ぎるだろ!」
ステラは壁に追い詰めたディオに、抱きつくと、ディオは観念したのか抵抗をやめた。
「結婚して、とは言わないわ。私を好きになってほしいけれど、貴方に選ばれるように頑張るから、選択肢には入れて貰えないかしら。」
「お前の気の迷いに付き合っている時間はない。」
冷たい言葉に顔を上げると、ディオの唇がステラの唇に被さる。
「平民同士ならすぐに結婚できるだろ。お前の気が変わらないうちに俺のものにする。」
店を閉めてすぐに、軽々とステラを抱き上げると、奥の部屋にそのまま移動する。ステラはあまりの勢いに口を挟む隙がない。
「もう逃げられないからな。覚悟しろよ、馬鹿女。」
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好きな人に愛を与えられる幸せをやっと体験出来たことを感謝した。
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