馬鹿につける薬あります

mios

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浅ましい自分  ディオ視点

弟の恋を応援するつもりでいた。彼女を助けるには助けられる能力のある奴の側にいることが一番だから、と。だから、同じ場所には行かないと思っていたのに。なのに、向こうから軽々と、差を詰めて来たのだから、仕方がない。大きく手を広げて、彼女を受け入れた。

何でも持っている彼女は何もかもを捨ててここにいる。そうさせた責任は取らなくてはいけない。

彼女の気が変わらないうちに、彼女を頂いた。

冷静になって考えると、もしかして、俺彼女の保護者達に殺されるんじゃなかろうか。

「貴方を陥落させておいで、みたいなことをシガニ卿に言われたわ。きっとわかってくれるわよ。」

シガニ卿はステラの話を聞きながら、ニヤニヤしていたらしい。

「あれはアレク兄様と賭けでもしていたんじゃないかしら。悪巧みしていたような顔だったもの。」

二人を昔から知っているステラが言うのだから、多分そうなのだろう。

シガニ卿には隠し事などできないのは、ディオだって知っていた。彼の自己犠牲やら我慢は絶対に隠しているはずなのに、彼には知られている事が良くあった。きっと自分のステラへの思いも、彼にしてみれば、バレバレだったに違いない。

「誰かが我慢して成り立つような世界を私は良しとは言えない。」

たくさんの嫌なことを経験したルイスにシガニ卿が言った言葉だ。その言葉は、ルイスだけでなく、俺にも突き刺さった。

自分さえ我慢すれば丸く治まる世界は確かにある。ステラだって、学生時代はそうだったのだし、だけど、そうまでして守った世界でも、崩れるのは早い。

自己犠牲の精神は続かないからだ。どうして、私ばっかり、やらあいつは何もしていないのに、やら。どうしても浅ましい自分は出てしまう。

爵位を貰わないと決めたのは、自分がその爵位に値する人物ではないと思ったからだ。ルイスはそうは思わなかったらしいけれど。弟は俺を過大評価しすぎる傾向がある。

弟が思うほど兄は出来た人間ではない。真っ直ぐな精神の弟には理解できないと思うが、自分は意識的に彼女をこちら側に落としたのだと、今なら言える。

「それにしても、シガニ卿はどこまでご存じだったのかしら。ルイスのことで悩んでいた時、貴方に相談する事を勧められたのよ。その時は藁をも縋るつもりでいたのだけれど、気がつけばこうなっていたわ。」

弟が爵位を取ると聞いた時から多分仕組まれていたのだと、思う。どう言う身分であれ、ステラを飢えさせるわけにはいかないと、ルイスは必死に働くだろう。

「どうせ、怒られるんだから、もう一回する?」

ステラの顔が真っ赤に染まる。さっきから散々イチャイチャしていた癖に慣れないところがまた可愛く見えて、手を伸ばすと恥ずかしい癖にパッと抱きついてくる。

シガニ卿がどう言うつもりでも、もうコレは手放せない。彼女をギュッと抱きしめて、ディオは幸せを噛み締めた。


終わり

読んでいただきありがとうございました。            mios
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