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エミリー
立候補
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その後、生徒会の他の面々と挨拶を交わし、手伝いの内容を聞いた結果、エミリーは、ルーミス公爵令息の手伝いを中心にすることになった。彼は他の人よりも圧倒的に仕事が多く、驚く程のペースで仕事をこなしていく。
エミリーは自分がいる意味がわからないぐらい、テキパキと書類を捌いていく彼に困惑していた。
何度か眺めているうちに、彼の動きを予測して、サポートするようにしたら、一瞬驚いた表情をした後に、凄く感謝された。
(こんな些細なことで喜ぶなんて、いつもどれだけ大変なんだろう。)
一旦仕事が落ち着いた頃に、お茶を入れた時も、大袈裟ではなく、感謝され、エミリーはふとこれまでの彼の労働環境に思いを馳せた。
お茶を飲んでいる間は、気を利かせて、こちらに話しかけてくれる。ルーミス公爵令息は、妹さんがいるようなので、エミリーにも優しく接してくれる。良いお兄ちゃんなんだろう。
彼は公爵令息だが、ちっとも偉ぶることはない。誰かとは大違いだ。
「ルーミス公爵令息は、高位貴族なのに、下の者にも親切にしてくださるのですね。」
「ルーミス公爵令息は、何人かいるから、できれば名前で呼んでほしいな。私が誰にでも丁寧に接するのは、その方が自分が楽だからだよ。あまりに失礼なことをされない限りは、円滑に事を進めるのに誰かの協力は必要だから。まあ、それだけではない事もあるけれど。」
ジョージア様なんて、呼べば周りの令嬢達から睨みつけられ、いじめられそうだ。
「名前が難しければ、ジョージア先輩でも良いよ。物事を成し遂げるのに、公爵家の権力を使って命令しても良いんだけど、それなら借りを作ることになるだろう?私はそれを望まないんだ。できれば本人の意思で動いて欲しいからね。」
確かに、命令されて動く人間は簡単に裏切りそう。それに無駄に敵を作るのはリスクが大きい。
「では、ジョージア先輩と呼ばせていただきます。」
「ありがとう。まあ、何事にも例外はあるんだけどね。」
「例外?」
「そ、例外。損得なしに私が心から付き合いたい、と思った相手にはそんな小細工は通用しないから。」
エミリーが想像するに、彼ならその綺麗な顔と身分でどんな女性でもただ微笑むだけで、虜になりそうだけど。
「ところで、相談なんだけど。エミリー嬢の婚約者候補に私を加えて貰えないだろうか。」
「何の冗談ですか?」
「この上なく、本気だよ。身分とか関係なく、前から君のことを、気に入っているんだ。出来たら私のことをもっと知って好きになってもらいたいけれど、それは無理矢理どうにかすることではないから。」
エミリーは悪い冗談だとは思いながら、どうして断れば良いか、頭を抱えた。
「君の婚約者候補になりたいのは本気だよ。私にはこれまで婚約者はいなかった。それには色々と理由があったけれど、今以上にそのことを感謝したことはないよ。」
「どうして、私なんですか?」
「わからないなら、それを少しずつこれから教えてあげるよ。覚悟しておいて。」
彼の瞳の奥がキラリと光ったような気がして、エミリーは少し不安になった。
「それでももし私が好きなタイプでないなら、生理的に無理、とかなら、残念だけど諦めるよ、どうかな?」
綺麗な瞳に見つめられて、エミリーはうまく断ることもできずに、いつのまにか彼を候補に入れることになってしまっていた。
エミリーは自分がいる意味がわからないぐらい、テキパキと書類を捌いていく彼に困惑していた。
何度か眺めているうちに、彼の動きを予測して、サポートするようにしたら、一瞬驚いた表情をした後に、凄く感謝された。
(こんな些細なことで喜ぶなんて、いつもどれだけ大変なんだろう。)
一旦仕事が落ち着いた頃に、お茶を入れた時も、大袈裟ではなく、感謝され、エミリーはふとこれまでの彼の労働環境に思いを馳せた。
お茶を飲んでいる間は、気を利かせて、こちらに話しかけてくれる。ルーミス公爵令息は、妹さんがいるようなので、エミリーにも優しく接してくれる。良いお兄ちゃんなんだろう。
彼は公爵令息だが、ちっとも偉ぶることはない。誰かとは大違いだ。
「ルーミス公爵令息は、高位貴族なのに、下の者にも親切にしてくださるのですね。」
「ルーミス公爵令息は、何人かいるから、できれば名前で呼んでほしいな。私が誰にでも丁寧に接するのは、その方が自分が楽だからだよ。あまりに失礼なことをされない限りは、円滑に事を進めるのに誰かの協力は必要だから。まあ、それだけではない事もあるけれど。」
ジョージア様なんて、呼べば周りの令嬢達から睨みつけられ、いじめられそうだ。
「名前が難しければ、ジョージア先輩でも良いよ。物事を成し遂げるのに、公爵家の権力を使って命令しても良いんだけど、それなら借りを作ることになるだろう?私はそれを望まないんだ。できれば本人の意思で動いて欲しいからね。」
確かに、命令されて動く人間は簡単に裏切りそう。それに無駄に敵を作るのはリスクが大きい。
「では、ジョージア先輩と呼ばせていただきます。」
「ありがとう。まあ、何事にも例外はあるんだけどね。」
「例外?」
「そ、例外。損得なしに私が心から付き合いたい、と思った相手にはそんな小細工は通用しないから。」
エミリーが想像するに、彼ならその綺麗な顔と身分でどんな女性でもただ微笑むだけで、虜になりそうだけど。
「ところで、相談なんだけど。エミリー嬢の婚約者候補に私を加えて貰えないだろうか。」
「何の冗談ですか?」
「この上なく、本気だよ。身分とか関係なく、前から君のことを、気に入っているんだ。出来たら私のことをもっと知って好きになってもらいたいけれど、それは無理矢理どうにかすることではないから。」
エミリーは悪い冗談だとは思いながら、どうして断れば良いか、頭を抱えた。
「君の婚約者候補になりたいのは本気だよ。私にはこれまで婚約者はいなかった。それには色々と理由があったけれど、今以上にそのことを感謝したことはないよ。」
「どうして、私なんですか?」
「わからないなら、それを少しずつこれから教えてあげるよ。覚悟しておいて。」
彼の瞳の奥がキラリと光ったような気がして、エミリーは少し不安になった。
「それでももし私が好きなタイプでないなら、生理的に無理、とかなら、残念だけど諦めるよ、どうかな?」
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