男爵令息と王子なら、どちらを選ぶ?

mios

文字の大きさ
13 / 14

マリナの誤算

しおりを挟む
大国ローゼンウッドが攻めてくると言って、その理由がマリナだと言われたけど、よくわからない。

そんな国の王太子妃っていう人に会ったことはないし、アレクサンドラの友人とか言っているけれど、同じようにモテない女なんだろうと思う。

それにしても、あれだけマリナを好きだと言っておきながら、大国からの宣戦布告に簡単に王子が自分を売るなんて、と憤る。こうなったら権力だけある王子のそばにいたら、処刑されかねない、と元の婚約者を選ぶことにしたのだが。

マリナは自分以外のことはよく見ようともしなかった。彼はマリナが色々な男に媚を売って、王子と会ってからは彼にしなだれかかるようにくっついていても、何も言わずに耐えていたから、当然マリナのことが好きなのだと思っていた。

冴えない容姿から脱却したのだって、マリナを引き止める為だと。そんな自分に都合の良い解釈をずっとしていた。

だが、婚約者である男は自分とは違う女性を側におき、寛いでいた。マリナと目が合っても体勢は変わらない。女の方は、マリナを挑発するならまだしも、まるで彼以外何も目に入っていないように目を輝かせている。

マリナはゾッとした。自分も彼の近くにいると、こんな顔になっていた自覚があったからだ。

思い返せば、王子は何度もマリナを求めたのに、彼は決して自分から選んで欲しいとは言わなかった。ただマリナの側にいて、微笑むだけ。あまりの美しい顔にのぼせたマリナが彼を離さなかったから、彼は側にいたのだ。

声をかけるタイミングを逃したマリナに気がついていても、彼と女性は気にせずイチャイチャして、二人の世界を作っている。

多分、今マリナが声をかければ、彼は返事をしてくれるだろう。それで?その後は?

マリナを嫌いになった王子と、マリナを見ない婚約者。どちらもついこの前までは自分のものだったのに。どうしてこうなったの?マリナの疑問に答えてくれる相手はいない。



大国には大した抵抗をせずに、属国となった。そこでマリナは初めてその王太子妃とやらを見たのだが、さっぱり覚えていなかった。

マリナが彼女を見て思ったことといえば、隣の男性には彼女よりも自分が似合いそうだ、ということと、彼女のドレスも彼女よりも自分に似合うだろう、ということだけ。

そうよ。どうしてわすれてたの。王子と男爵令息、どちらを選ぶか、ではなくて、選ばなくても良いんじゃないの。

だって私の運命の人は、ローゼンウッドの王太子様なんだもの。


マリナの勘違いした瞳に既視感のある王太子妃夫妻は、苦笑した。

「とてつもなく、不敬なことをしでかしそうね、あの子。」
「なら、公に罰を下せるから万々歳じゃないか。」

二人が笑っている内容などお構いなしにマリナはどうやって二人に近づくかを考えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

【完結】姉を追い出して当主になった悪女ですが、何か?

堀多 ボルダ
恋愛
「お姉様、このマクレディ伯爵家は私が後を継ぎます。お姉様は邪魔なので今すぐこの家から出ていってください」 両親の急逝後、伯爵家を切り盛りしていた姉を強引に追い出して妹ダリアは当主となった。しかし、それが原因で社交界からは稀代の悪女として嫌われるようになった。 そんな彼女の元を訪ねたのは、婿に来てほしい男ナンバーワンと噂される、社交界で人気の高い幼馴染だった……。 ◆架空の世界にある架空の国が舞台の架空のお話です。 ◆カクヨムにも掲載しています。

リリー・フラレンシア男爵令嬢について

碧井 汐桜香
恋愛
王太子と出会ったピンク髪の男爵令嬢のお話

【完結】さっさと婚約破棄が皆のお望みです

井名可乃子
恋愛
年頃のセレーナに降って湧いた縁談を周囲は歓迎しなかった。引く手あまたの伯爵がなぜ見ず知らずの子爵令嬢に求婚の手紙を書いたのか。幼い頃から番犬のように傍を離れない年上の幼馴染アンドリューがこの結婚を認めるはずもなかった。 「婚約破棄されてこい」 セレーナは未来の夫を試す為に自らフラれにいくという、アンドリューの世にも馬鹿げた作戦を遂行することとなる。子爵家の一人娘なんだからと屁理屈を並べながら伯爵に敵意丸出しの幼馴染に、呆れながらも内心ほっとしたのがセレーナの本音だった。 伯爵家との婚約発表の日を迎えても二人の関係は変わらないはずだった。アンドリューに寄り添う知らない女性を見るまでは……。

早く婚約解消してください!

鳴哉
恋愛
自己評価の低い子爵令嬢 と その婚約者の侯爵令息  の話 短いので、サクッと読んでもらえると思います。 読みやすいように、6話に分けました。 毎日1回、予約投稿します。

悪の王妃

桜木弥生
恋愛
何度もその罪により処刑される王妃。処刑までの日数は三日間。数十回繰り返されたその生に、彼女は何を思い、何を求めるのか。 全21話完結済みで順次公開していきます。 1~4話公開済 5話 12/6 19:00公開 6話~19話 12/7~毎日7時と19時の1日2話公開 20話~最終話 12/14 0時公開

おバカな子供はやっぱりおバカだった

アズやっこ
恋愛
私はリップ、伯爵夫人よ。 夫のケーニスと毎日楽しく仲良く暮らしているわ。 娘と息子、可愛い子供達にも恵まれた。 娘はケーニスにそっくりなの。おバカ具合が…。あのおバカは遺伝するのかしら…。 ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ おバカシリーズ ③

マリアンヌ皇女の策略

宵森みなと
恋愛
異国の地シンホニア国に、帝国から輿入れした若き王妃セリーヌの死。 王妃としての務めを果たし、民との交流に心を尽くしてきた、優しき王妃の裏の顔は誰も知らなかった。セリーヌ王妃の死は、なぜ起こったのか。なぜ、シンホニア国は帝国の手に落ちたのか、そこには一人の少女の静かなる策略があった。

処理中です...