男爵令息と王子なら、どちらを選ぶ?

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呑気ではいられなくなった人達

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アレクサンドラと、彼女の近くにいた留学生を探してみたものの、時すでに遅し。やはり見つからなかった。

「留学生が偽名だったなんて、彼奴はどこの誰だったんだ。」

クララの化けた相手は実在したのだが、幾ら愚か者といえど、その本人とクララを空目してはくれなかった。似ても似つかない、と判断して、漸く自国の防衛機関が機能していないと思い知ったところだ。

「こんな時に、何故アレクサンドラはいないのだ!」

自分達の態度は棚に上げていない人間を非難するも、留学生から彼女の行方を辿ろうと考えていたことが出来なくなって、すぐに詰んでしまった。

こういう時に解決策を考えられるのはアレクサンドラだった。

マリナも一時期画期的な策を見出していたと思っていたが、今考えると誰かの二番煎じに毛が生えたぐらいのアイデアしか出していない。しかも細部まで考えて、その都度対策できるアレクサンドラに対してマリナは考えがどうにもならなくなったら、そこまでは知らない、と丸投げするのがオチだった。

そういう無邪気なところを可愛いと思っていたのだが、最近は一向に答えを出さない態度と、それによって訪れている不都合に辟易し出した。

アレクサンドラが居なくなってはじめて彼女の価値がわかっても、もう遅い。

そんな中、大国ローゼンウッドから、同盟の破棄と開戦の旨が伝えられる。

意味がわからないが、どうやらアレクサンドラがいなくなり、足元を見られたと言ったところか。向こうの主張の理由を理解することができない。

「こんなこと、言いがかりじゃないか。」

何でもマリナが、ローゼンウッドの王太子妃に対し、無礼を働いたことに対する報復だという。アレクサンドラがその場を宥めてなかったことにしてくれたのに、そのアレクサンドラが罪に問われるならば、と開戦したというのだ。


「まさかあの大国に逃げ込んだというのか?」
確かにあの国はアレクサンドラの能力を買っていた。一度改めて言われたのだ。

「彼女を逃してはダメだ。彼女がいなくなれば一溜りもなく、この国は潰れるぞ。」と。

あの時は婚約者が褒められたことが、腹立たしく、苦笑いを浮かべていただけだったが。

「マリナが何をしたのか、調べろ。多少手荒になっても構わん。吐かせろ。」

婚約者を蹴落としてまで欲しいと思った彼女は答えを出さないばかりか、国を危険に晒している。その事実に気づいて、身勝手な王子は、今度はマリナを悪役にでっち上げる。

こうなったら、自分だけは助かりたいと、アレクサンドラにして来たことを繰り返すだけ。

自分はマリナを愛したのに、受け入れなかった彼女が悪いのだ。今の婚約者諸共処分してやれば良い。

王子はマリナを大国に差し出して許しを請うが、大国の狙いは国そのもの。すれ違いの交渉がうまくいくはずもない。あっという間に、国はローゼンウッドの属国となった。

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