大恋愛の後始末

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思わぬ言葉

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「お嬢様。ライアン・スペード様が来られました。」

ベラの声はいつもより上擦っている。緊張しているのは、シェイラも同じ。だってまさか、あの大公子息様が、我が家にくるなんて思わないでしょう?

何でこんな事態になったのか?

それは数日前に遡る。親友のキアラが婚約解消の祝いに訪れたあの日に。






ジュリエットの行方は依然としてわからない。……らしい。こちらとしては、今更もう彼女が見つかろうがどうしようがどうでも良いのだが、元グレイズ家の面々は、どうにか見つけて、大公子息との縁を再構築して、貴族に返り咲く気でいるらしい。

だけど、成果は芳しくないようで。

何より大公家側が彼女を探す気配が全くないと言うのだから。

「大恋愛、と言っていた割にあっさりしているのね。」

いや、もしかしたら気がつかないうちに、既に捜索を始めているのかもしれない。

そのあたりの事情は、友人から聞くことができた。彼女は新たな婚約者候補の釣り書きを持参した同じ伯爵位の令嬢で、学園に入る前の幼い頃から困った時には話を聞いてもらっている。

彼女、キアラは情報通で、グレイズ家の姉弟をとても嫌っていた。

「あの男との婚約が解消になったら絶対に貴女に勧めたい人がいたのよ。少し年上ばかりだけど、貴女に合う人だと思うのよ。考えてみて。」

彼女の持参した釣り書きには、彼女の兄と、大公子息、そしてもう一人。あのマートンのような紛い物ではなく、正当な侯爵家の後継だった人。因みにキアラの兄以外は会ったことはない。

「ねえ、キアラ。正直に言ってちょうだい。この釣り書きは誰の仕業なの?」

「とある高貴な方よ?貴女、あの男との婚約に際して、公爵様に何かお願いをしたでしょう?結局、婚約解消でそれが果たせなくなったから、せめてものお詫びだと仰っていたわ。


大公子息様にしても、公爵の甥御様にしても、貴女と話してみたいと仰っていたみたいだから、諦めて会ってみて?

一応箸休めとして、兄を候補に入れておくから、好きに使って。口実としても、それぐらいの役には立つだろうから。」

キアラの情報によると、大公子息とジュリエットの間には個人的なやりとりは皆無だったようだ。

「それがどうして結婚となったかまでは追えなかったのだけど、おそらくどこかからの圧力があったらしいわ。」


「大公家に圧を掛けられる相手って、あまりないわよね。」


シェイラの頭の中に一つの仮説が浮かび上がる。同じことをキアラも考えていたようで、何だか嫌な気分に包まれる。

「もしかして、これ最初から、仕組まれていたことなんじゃない?」

キアラの疑問は突拍子のないことではない。好き勝手にしていたジュリエットに大公子息なんて、大恋愛が嘘ならばあり得ない事態だもの。

「ジュリエットが逃げるとわかっていて、婚約を?」

「寧ろ、ジュリエットの好みの男を庭師として登場させ、駆け落ちさせた、とか?」



「でも、一体何のために?」


「それを聞いてくれば良いんじゃないの。」

キアラは彼女に話を持ちかけたとある高貴な方に、シェイラを言い含める指令か何かを受けているのか半ば強引にでも大公子息と、渦中の元グレイズ侯爵の後継者でもある彼に会わせようとする。

そして、いくら嫌がってみたところで、身分の高い人に押し切られると、伯爵位の令嬢ぐらいでは太刀打ちできないのが世の定め。


そうしてキアラの尽力により、何故か伯爵家に大公子息が来ると言う、大変な事態になったのである。

シェイラはまず、取り乱した両親を宥めることから取り掛かった。

「大公子息様も、もうお一方も、今回のことの説明に来られるの。釣り書きを持って来られたのは、方便よ。そうでもしないと、不自然だと考えられた結果じゃないかしら。」

そう伝えると、腑に落ちたのか明らかに元気がなくなる両親に、申し訳なくなる。それでも粗相があってはならないと、ピカピカに磨き上げられたところは往生際が悪いと言うか、一縷の望みを掛けたのだろうとわかるだけに、苦笑いを返すしかなかった。

そして、この状況である。緊張すると、本当に手と足が同じ動きをするのね。大公子息様を前に、挙動不審になっていたが、彼は柔らかな笑みを浮かべるだけで咎めたりすることはなかった。

ほっとして、席に着くも、その瞬間彼はとんでもないことを、シェイラに告げたのだった。

「貴女、私と結婚しませんか?」

「は?」←イマココ。(NEW!)







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