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こんな筈じゃなかった
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「こんな筈じゃなかったのになぁ。」
シェイラ・ブラウンと、ライアン・スペードは予定通り、契約結婚をした。そう、あくまで契約の関係だ。養子だって、望めば都合は付けてもらえるし、ライアンを愛せなくても良い。
当初、話を持ちかけられた時と契約内容は一切変わっていない。なのに、シェイラの思惑とは全然違う状況下にいるのは、何故なのだろう。
初夜ではライアンに丁寧に、時には獰猛に愛され、丸二日経つも、ベッドから起き上がるのさえも許されていない。何より動こうとすると、体の力が全て抜けて、ライアンの介助なしでは歩けない。その元凶となる男は、体力おばけなようで、待てを知らない駄犬のように、ギラギラとシェイラの隙を窺っている。
使用人は空気を読んで入ってこない。丸二日、服さえ着せてもらえないので、会えるはずもないのだが。
「お腹空いたろ?」
ライアンが扉の前で待機していた使用人から食事を受け取り、シェイラの口元に自ら運んでくれる。さすがと言うべきか、食べやすいものに限定されていることで、シェイラの今の状況をバッチリ知られていることに恥ずかしさを感じ、みるみる顔が赤くなっていく。
それを見過ごしてくれるライアンではなく、あっという間にベッドに逆戻り。
「何を考えて赤くなったんだ?」返事をしようにも口が塞がれているため、何もいえない。アフアフと、息だけが漏れる。
夜通し啼かされていたために、声がカスカスで、もう息しか出てこない。
次に食事にありつける頃には、シェイラの体力はまたもゼロになっていた。
「こんな筈じゃなかった。」
それにはライアンも同意する。シェイラの寝顔を愛しいと思う気持ちも、制御できないぐらいに溢れた性欲も、ライアンの人生には無用だったものだ。
婚約中には契約の要素が強かったというのに、結婚してからは歯止めが効かなくなった。彼女の赤面を見ていると、ムラムラが抑えられなくなる。飄々としている彼女に己の存在を刻みつけたくなって、白い身体に赤い鬱血痕をつければ、真っ赤な顔と相まって愛おしくて堪らなくなる。
ライアンは今までには感じなかった自分に、ある種のヤバさを感じて、おかしいな、と首を傾げる。
シェイラを赤くさせるのは、自分だけでありたい。いつのまにか、シェイラのことしか考えられなくなった自分は花畑だと蔑んでいたあの令嬢達と同じではないか。
なるほど。恋は人を変える。そのことに気づいただけでも良しとしよう。
食事の間に、シェイラが何を考えたのか耳まで赤くなっている様子に、ライアンの思考は遮られた。
「何を考えて赤くなったんだ?」
アワアワと、弱い力で抵抗しながら喘ぐだけの彼女に、必死にくちづける。
彼女が考えるのは自分のことだけで良いというのは、暴論だろうか。ライアンは愛しい妻の寝顔に口付けを落とすと、自分も幸せの余韻の中、目を閉じた。
シェイラ・ブラウンと、ライアン・スペードは予定通り、契約結婚をした。そう、あくまで契約の関係だ。養子だって、望めば都合は付けてもらえるし、ライアンを愛せなくても良い。
当初、話を持ちかけられた時と契約内容は一切変わっていない。なのに、シェイラの思惑とは全然違う状況下にいるのは、何故なのだろう。
初夜ではライアンに丁寧に、時には獰猛に愛され、丸二日経つも、ベッドから起き上がるのさえも許されていない。何より動こうとすると、体の力が全て抜けて、ライアンの介助なしでは歩けない。その元凶となる男は、体力おばけなようで、待てを知らない駄犬のように、ギラギラとシェイラの隙を窺っている。
使用人は空気を読んで入ってこない。丸二日、服さえ着せてもらえないので、会えるはずもないのだが。
「お腹空いたろ?」
ライアンが扉の前で待機していた使用人から食事を受け取り、シェイラの口元に自ら運んでくれる。さすがと言うべきか、食べやすいものに限定されていることで、シェイラの今の状況をバッチリ知られていることに恥ずかしさを感じ、みるみる顔が赤くなっていく。
それを見過ごしてくれるライアンではなく、あっという間にベッドに逆戻り。
「何を考えて赤くなったんだ?」返事をしようにも口が塞がれているため、何もいえない。アフアフと、息だけが漏れる。
夜通し啼かされていたために、声がカスカスで、もう息しか出てこない。
次に食事にありつける頃には、シェイラの体力はまたもゼロになっていた。
「こんな筈じゃなかった。」
それにはライアンも同意する。シェイラの寝顔を愛しいと思う気持ちも、制御できないぐらいに溢れた性欲も、ライアンの人生には無用だったものだ。
婚約中には契約の要素が強かったというのに、結婚してからは歯止めが効かなくなった。彼女の赤面を見ていると、ムラムラが抑えられなくなる。飄々としている彼女に己の存在を刻みつけたくなって、白い身体に赤い鬱血痕をつければ、真っ赤な顔と相まって愛おしくて堪らなくなる。
ライアンは今までには感じなかった自分に、ある種のヤバさを感じて、おかしいな、と首を傾げる。
シェイラを赤くさせるのは、自分だけでありたい。いつのまにか、シェイラのことしか考えられなくなった自分は花畑だと蔑んでいたあの令嬢達と同じではないか。
なるほど。恋は人を変える。そのことに気づいただけでも良しとしよう。
食事の間に、シェイラが何を考えたのか耳まで赤くなっている様子に、ライアンの思考は遮られた。
「何を考えて赤くなったんだ?」
アワアワと、弱い力で抵抗しながら喘ぐだけの彼女に、必死にくちづける。
彼女が考えるのは自分のことだけで良いというのは、暴論だろうか。ライアンは愛しい妻の寝顔に口付けを落とすと、自分も幸せの余韻の中、目を閉じた。
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