中学生捜査

杉下右京

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第16話 秘密結社〜島の征服

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簪鳥の大量死について調査を進めていた今まで数々の難事件を解決してきた久野隆と隆と行動を共にする加納マリアは雷島の料亭旅館で食事をしていた。食事を終えた2人は男を呼んだ。
「お会計にしますか?」
男の顔は晴れやかとなっていた。隆はマリアに目配せした。
「じゃあ支払いますね。」
結局マリアが会計を支払うこととなった。
「普通男が支払うものなんですけどね。」
小声でマリアは隆に文句を言った。
「まあいいじゃありませんか。」
隆はそうごまかした。
「おや?これは?」
マリアが支払いをしているところで隆は襖が少し空いているのに気が付いた。襖の中からは声が聞こえてくる。気になった隆は断りもなく襖を開けた。そこは部屋になっておりホワイトボードの前に机と椅子が置いてあって何人かの男たちが真面目そうな顔をしていた。
「あ、そこは。」
会計をしていた男がそれに気が付いていてそう反応した。
「ああ、これは、簪鳥の大量死の現場に印が打ってありますねぇ。」
部屋に勝手に上がった隆はホワイトボードを一見するとそう言った。会計を済ませたマリアも隆の後に続いて部屋に上がり込んだ。
「な、なんですかあなた方は?」
男たちの一人がそう尋ねた。弱い所を突かれたためマリアが話を逸らす。
「あなた方こそなんですか?こんなところで。」
「どうやら、雷島での簪鳥の大量死調査団、と言った感じの会合場所のようですねぇ。」
「なにそれらしいネーミング言っちゃってるんですか?」
気前が良さそうな男がそう言った。隆がここぞとばかりに
「調度よかった。我々も簪鳥の大量死については興味を持っていたんです。いろいろ教えていただけますか?」
基本的にこの「雷島での簪鳥の大量死調査団」の団員の人々は気前が良いようだ。すんなり2人を受け入れてくれた。

団員は全員で6人いる。団長はこの料亭旅館を経営している田島、そして漁師の栗木、島でたった1つの喫茶店を営む佐藤、島では最大規模のスーパーを経営する遠藤、そして島の神社の神主の安達が集まっていた。いずれも男である。田島がホワイトボードの前に立って隆とマリアに一連の事件について説明を始めた。
「簪鳥が大量死した場所がここに記してあります。」
隆は聞いていた話と異なったため質問を繰り出した。
「おや、大量死したポイントは1つだけではないのですか?」
その問いには栗木が答えた。
「ニュースでやってるのは1ヶ所だけだけど実際は広範囲にわたっていろんな場所で大量死が起きてるんだ。犯人には憎しみしかないね。」
その口調からはどことなく漁師らしさが感じられた。
「なるほど。」
隆はホワイトボードに貼り付けられている島の全体図に印が打ってある地図を眺めながらそう言った。
「それでね。規則を見つけたんです。」
栗木がさらに続ける。
「鳥の大量死は島の中心地から始まりました。それでね。島の西側、北側、南側、東側で起きていてこれを線で結ぶと正方形になるんですよ。」
「正方形、ですか。」
隆は自分の記憶を探った。そして深く頷いた。そして隆は田島に事件の本核のようなことを質問した。
「犯人の目星はついているのでしょうか。」
「佐々木に決まってるでしょう。」
意外にも自分たちと考えが一致していることにマリアは驚いた。隆も顔が少し意外そうな表情となっていた。
「佐々木というのは?」
「この島の出身者ですよ。子供の頃からこの島を愛していました。しかし島を愛するあまり独占欲が出てきてしまったんです。いつか自分はこの島を支配して国を作るんだと言っていました。まあその頃佐々木はまだ子供だったのでそれほど大事には思っていなかったし、研究所も設立していたと聞いていたので大丈夫だと思っていたのですが一回未承認の鳥の薬を販売して逮捕されちゃったんですよ。それからは憔悴しきっちゃって一度島に帰ってきたときに励ましてあげました。この島で1からやり直そうって。しばらくは心の平穏を保っていましたが次第に独占欲が働いてきて島を征服するんだと言っていました。」
田島のその証言は隆たちの捜査を裏付けるとともに新たな情報をくれた。
「なるほど。そうでしたか。」
隆がそう返答すると田島が怒りを表にした。
「しかし、小屋に餌を設置するなんて卑劣な奴らだ。」

その頃、愛知県には激震が走っていた。佐々木が何者かに殺害されたのである。愛知県警捜査一課の北野と沢村は隆から指示を受けて嫌々佐々木を訪ねていた。刈谷にある思いの外質素なマンションの部屋に入るとそこには刃物で刺された佐々木が倒れていたのだ。
「何回も刺されてますな。」
そう言いながら無残な姿の佐々木を見下ろすのは愛知県警鑑識課の沼田であった。
「訪ねてみりゃこれだよ。あ~あ、あの中学生に関わるとろくな事がない。」
北野がそんなことを口にすると沼田が異議を唱えた。
「お言葉ですが遺体が発見されれば当然お二人も出向かれるわけですから結局お二人の負担になるのは変わらないと思いますよ。」
「うるせえ!そういう問題じゃないんだよ!」
北野はそう言って沼田の頭を軽快に叩いた。北野はモードを殺人事件モードに切り替えた。
「で?死亡推定時刻は?」
「死後1日程でしょうか。争った痕跡もありますからここが殺害現場で間違いないと考えて良いでしょう。」
それを聞いた沢村が北野に耳打ちした。
「じゃあマンションの防犯カメラを当たりましょう。」
「うるせえ!そんなことは分かってんだよ!」
北野は機嫌が悪いようだった。
「どうしたんすか?そんなチクチクしちゃって。」
沢村はそう言って先輩北野をいじった。
「離せ!」
捜査一課の2人は仲が良いみたいだ。沼田は笑いをこらえられなかった。

北野と沢村はマンションの一階に行って防犯カメラを調べていた。
「特に怪しい人物は写っていませんね。」
佐々木の死亡推定時刻にマンションに入ってくる不審者は防犯カメラに写っていなかった。ため息を付いた北野はマンション大家に質問した。
「防犯カメラに映らずにマンションに侵入する方法はありますか?」
「裏口がありますから。そこから行けば防犯カメラには映らないかもしれないですね。」
大家はそういった。
「そうですか。ありがとうございました。」
北野はそう言って頷くと再び重い溜息を付いた。

佐々木の死が島にいる隆とマリアに伝わったのはその日の夜だった。せっかくなので2人は田島が経営する料亭旅館に宿泊していた。夕食は絶品で隆とマリアは満足しながら客室へと戻ってきた。客室はごく普通の旅館の客室であった。和室である。
「佐々木が死にましたか。」
隆は部屋の中でポツリと呟いた。
「佐々木の所在、見つけたら話は聞けず。か。」
マリアも言葉に悔しさをにじませた。
その時部屋のドアがノックされた。開けてみると安達が立っていた。
「こんな遅くにどうかなされましたか?」
時刻は午後9時を回っていた。
「佐々木が死んだのってだいたい一日前なんですよね。」
死亡推定時刻についてはニュースで報道されていたのだろう。
「ええ。そのようですねえ。」
隆はそれ以前に沼田から情報を入手していた。
「でも、今日も簪鳥の大量死はありましたよ。神社の掃除をしていたら大量の死骸を見つけました。」
衝撃の事実に隆は少し驚いた。
「はい?」
さすがの隆もこの返答しか口から出てこなかった。すかさずマリアも口を挟む。
「つまり、佐々木は犯人じゃないってことですか?」
「そうなのかもしれません。」
「しかし、簪鳥の大量死の現場を線で結ぶと正方形になるのではなかったのですか?」
隆が状況を冷静に確認すると
「そうなんですが。」
しばらく重苦しい雰囲気が客室に立ち込めた。

その頃愛知県警では佐々木の殺人事件の捜査本部が設置されていた。
「犯人らしき人物は浮上していません。」
北野が口惜しそうにそう言うと愛知県警刑事部長の猪俣が
「では佐々木の身の回りの人物を当たってみましたか?」
といった。それには沢村が答えた。
「残念ながら有力な情報は得られていません。」
「そんなんで大丈夫なんですか?しっかし捜査していきましょう。」
猪俣はそう言ったが捜査員はただうなだれるのみだった。

捜査会議が終わり、苛々した北野は隆から電話がかかってきたことでさらに機嫌を悪くした。
「あの、なんなんですかねえ?」
電話に出るなり北野はそういった。
「どうも、ビデオ通話にしてもらえますか?」
そんな北野の言葉など気にせぬ口調で隆はそういった。
「なんでそんなこと。」
「佐々木が殺害されたようですねえ。もしよろしければ事件現場の写真を見せていただきたいのですが。」
「それならメールで送ります!」
北野はそう締めくくって電話を切った。
「結局送るんだ。」
小声で沢村がそうつぶやいたので北野は沢村の頭を叩いた。
「うるせえ!藁にもすがる思いなんだよ!」

北野からメールが送られてきたのは電話から5分後だった。
写真には佐々木の遺体やその周りの状況が細かく撮影された写真が送られてきた。
「佐々木は本当に雷島のことを愛していたようですねえ。」
部屋中に雷島のポスターなどが貼られていた。
「愛してるなら鳥殺したりしないでしょ。普通。」
マリアがそう言うと
「そうともわかりませんよ。佐々木は島を愛するあまり島を征服したいと思っていたようですから心理的に愛しているものは手に入れたいというのは我々にもあるかもしれません。しかし、鳥を殺したのは納得がいきません。雷島にとって簪鳥は切っても切り離せない存在です。それを殺すというのは島を殺すも同然。」
「何が言いたいのですか?」
「佐々木は本当は島を愛してなどいなかったのではないでしょうか。」
隆のその言葉にマリアは驚いた。
「さすがにそれはないんじゃないですか?」
「前から気になっていることがあります。田島さんの部屋です。確かめてみましょう。」
隆はそう言って部屋を出ていった。マリアもあとに続いた。

2人は田島の部屋に向かった。隆が部屋をノックして田島を外に誘い出してマリアが目的のものを手に入れるという作戦だった。
「なんですか?こんな夜更けに。」
田島は不審がらずはしなかったものの、何があったのかと心配顔になっているように見えた。
「トイレが詰まってしまっていまして。」
隆がそう言うと田島は隆に続いた。
マリアが部屋に忍び込み物色を始めた。部屋には旅館の経営に関する書類がまとめられたファイルなどがきれいに整理整頓されており、田島が几帳面な性格なのが伺えた。マリアは机の引き出しの中にノートがあるのを見つけた。
ノートの中身を見たマリアは満足したと言わんばかりの顔をして自分の部屋に戻った。
「特に詰まっているものはありませんが。」
マリアが部屋に戻ると隆と田島がトイレの前で話していた。
「そうですか。僕の思い違いだったようです。ご迷惑をおかけして申し訳ない。」
マリアが部屋に戻ってきたのを確認した隆は田島にそういった。
「いや、どうも。」
田島は部屋から出ていった。
「マリアさん、なにか見つかりましたか?」
「はい。このとおりです。」
マリアは自身の活躍によって入手したノートを隆に見せた。どうやらそのノートは佐々木直筆のものらしい。
「雷島制服計画表。ですか。」
ノートには雷島の地図が貼ってあってそこには恐るべき計画が綴られていた。
「簪鳥を大量死させる計画が綴られています。しかもここに書いてある日時は今までの犯行と一致します。」
それは一連の簪鳥の大量死が佐々木の犯行であると裏付けるものであった。更に隆がページを捲っていくと島を爆破したり島へ向かう船を爆破したりと過激なものとなっていた。
「でもちょっと待ってください。安達さんが犯行は佐々木が死んでも進んでると言ってましたよね。」
ここでマリアがそういった。
「それです。しかし、佐々木が死んでも犯行はこの計画通りに進んでいます。つまり、佐々木の後を受け継いで犯行を行っている人物がいるということです。」
「誰なんですかね。やっぱりこのノートを持っていた田島が怪しいと思いますが。」
「では、確かめてみましょう。次は明日、7月14日に島を爆破するようですから。」
幸いにも犯行の手順などが詳しくノートには書かれていた。爆弾を設置する場所や爆破する時刻ももちろん書いてあった。

「今日はなんですか?我々も忙しいのですがねえ。」
隆は北野に電話をしていた。
「雷島に爆弾が設置されている可能性があります。爆発物処理班を呼んでいただけますか?」
隆はそう言い残して電話を切ってしまった。そして新たな電話をかけた。

「今日は泊めていただきありがとうございました。」
翌朝、隆は田島達にそう礼を述べた。そして突然
「佐々木を殺した犯人がわかりました。」
といった。
「あなたです。栗木さん。」
隆がそう言うと田島たちの視線は栗木へと向かった。
「何を言うんだよ。捜査ごっこかな。」
栗木はそう言ってみせたがその目には焦りがあった。
「実はあなたの指紋を採取させてもらいました。」
そう、隆は栗木らの指紋を採取していたのだ。隆がふとしたタイミングで採取した指紋だった。隆は続ける。
「その指紋と犯行に使われた凶器に付着した指紋が一致しました。」
「なんで凶器が、凶器は捨てたはず。」
「その一言が自分の墓穴を掘っていることがわかりませんか?警察の捜査を侮らないでいただきたい。懸命な捜査により現場の近くの側溝から凶器の刃物が見つかりました。側溝に捨てて水が当たれば指紋は消えるとでも思っていたのでしょうかねえ。残念ですが血液のついた指紋は濡れても残るんですよ。」
栗木は敗北を悟った。
「あいつはこの島を滅ぼそうとしたんだぞ?いわば逆賊だ。これからたくさんの人が死ぬんだ。その佐々木を殺すのは当然のことだ。」
栗木は敗北は悟ったが自分の行動に後悔はしていないようだった。
「これから沢山の人が死ぬんだ。ですか。」
「ああ。佐々木の犯行計画ノート見ただろ?これで佐々木のテロは防げた。警察には防げず俺には防げたんだ。」
そこに当の警察がやってきた。
「栗木寛也だな。」
北野と沢村である。
「お前を殺人の罪で逮捕する。」
沢村が栗木の手を掴んで連行しようとしたとき隆が声をかけた。
「1つ聞きたいことがあります。」
栗木は振り返る。
「実は佐々木が死んでからもこのテロは予定通り実行されています。なぜでしょう?」
栗木の顔が「なぜだ」と語っているかのようにポカンとした。
「知りませんか?」
栗木は言葉を発することすらできず首を横に振った。
「そうですか。知りませんか。しかし、先程あなたが言った警察には防げなかったテロが自分には防げたと、しかし完全に防ぐことはできなかったようですねえ。警察に訴えれば佐々木を殺す必要はなかったんです。しっかり罪を償ってください。いいですね?」
栗木は返事をする間もなく連行された。
「佐々木のテロを受け継いでいるのは誰なんでしょうね。」
その後姿を見ながらマリアがそういった。
「もうわかりきっていることではありませんか。いよいよ本核へと挑んでいきましょうか。」
隆は自信満々にそういった。

その晩、爆発物処理班が島にやってきて爆弾を処理した。爆破は免れたのである。
その爆発物を処理している様子をどこかで聞きつけた多くの島民が見守る中隆の声が響いた。
「北村荘さん。」
聞いたこともない名前を隆が言うと振り返る男がいた。田島だった。
「ああ、まだ島にいたんですか。」
田島が低い声でそう言うと隆が
「残念ですねえ。計画が失敗してしまって。」
といった。
「どういうことですか?」
「あなたですよね。佐々木の跡を引き継いで犯行を行っているのは。」
田島は呆れた顔をしてみせた。まだ余裕があるということだろうか。
「は?ふざけるのもいい加減にしてください。私がなんでそんなことしなきゃならないんですか?」
そう来ると思っていた隆は
「簡単な話です。田島さん、いえ、北村荘さん。あなたは元佐々木研究所の幹部ですよね?」
「なんでそれを。」
「優秀な刑事に調べてもらいました。」
そして闇から当の優秀な刑事が出てきた。北野と沢村である。
「警察舐めんなよ。あんたら調査隊のメンバーについてはみんなしっかり調べた。その中で佐々木研究所の幹部だったあんたが犯人として浮上した。」
北野が開口一番にそう言って北村を睨んだ。隆の冷静な声がその場に響いた。
「佐々木とあなたが協力して島の征服の計画を立てたり実行したりしていたのでしょう。その目的は島を征服して自分たちだけの独立国を作るというものでした。島民は国民になる予定だったそうですねえ。しかし佐々木が犯人だということがバレて栗木が佐々木を殺害してしまいました。あなたにとってはかなりの誤算だったでしょうねえ。佐々木を失ったあなたはその後も佐々木の遺志を引き継いで犯行を続けました。しかし、1つだけ気になることがあります。なぜあなたはそうまでして佐々木に尽くすのですか?佐々木には立場上逆らえませんでしたか?あなたも島民として島を愛していたのではないのですか?」
隆が長い間語って最後を質問で語り終えると北村は笑い始めた。
「島を愛してた?笑わせるんじゃないよ。」
ついに北村が本性を見せた。
「こんな島なんて滅びてしまえと思ってたよ。研究所を立ち上げて違法な鳥の薬物を販売して逮捕されたときに思ったんだ。いつかこの国に復讐してやろうとな。俺たちは鳥の病気を治すために真面目に薬を作った確かに未承認だったかもしれないがあれを使えば多くの鳥を病気から救えるんだ。」
「なるほど。島を征服することは国への復讐でもあったんですねぇ。しかし、鳥を殺すというのは先程あなたのおっしゃった、多くの鳥を病気から救うというのに矛盾すると思いますが。」
すると北村が意味深なことを言った。
「それも国に対する復讐ってことだよ。みんな俺たちを社会のゴミとして目を向けてくるあんなに国に尽くしたのに。そんな国など滅びてしまえばいいんだ。少なくとも俺たちはこの国にいるのが嫌だった。」
「そうですか。では今までの一連の流れを整理してみましょう。まず事の発端となったのは廃墟となった佐々木研究所で宮坂の遺体が見つかったことです。宮坂は廃墟の動画を撮影して動画投稿サイトに投稿していました。そして佐々木が頼んで鳥の薬物が隠されているエレベータ―室に真田が向かったところで宮坂と鉢合わせになり慌てた真田は咄嗟に宮坂を階段から突き落として殺害してしまった。」
隆が語っているところで北村が口を挟んだ。
「そう、それだよ。真田のへまさえなければうまくいっていた。」
「この期に及んでまだそんなことを言っているんですか!」
マリアが怒声を挙げた。北村とマリアとでにらみ合いになっているところで隆が話を続ける。
「話を続けます。結果として真田は逮捕されました。しかし、真田は頼まれただけで知らないといった。そんな中浮上したのが佐々木恒久、佐々木が真田に頼んで鳥を殺すための薬を運ばせていたのです。そしてあなたと佐々木は島の征服のためにいろいろな問題を起こしていきました。しかし、そんな中佐々木が犯人だと島民の栗木に勘づかれて佐々木は殺されてしまいました。しかしあなたは佐々木の跡を継いで犯行を続けているというわけですよ。」
「その通りだ。」
北村はそう言った。
「だが俺は後悔はしていない。こんな島もこんな国も滅びてしまえばいいんだ。」
「いい加減にしなさい!あなたはそんなくだらない理由のために何よりの愛していたはずの鳥を殺戮したんですよ!」
隆が怒声を浴びせた。心より愛していた鳥を殺戮した、と言う言葉が心に刺さったのか北村は崩れ落ちた。
「行くぞ。」
北野が北村の手をつかんで連行していった。この島を巻き込んだ事件はこうして解決を迎えたのだった。

「事件解決おめでとう。」
その日の夜、名古屋へ帰ってきた隆は猪俣と回転寿司を食べていた。
「どうも。」
隆は油断を許さずそう答えた。さらに
「猪俣部長が僕を呼んだということは何かご用件でしょうか?」
と言った。
「要件なんてものはないよ。長旅の疲れを癒してもらいたい一心でね。いや、しかし佐々木が死んでしまったのは残念だね。」
心にもないことを口にした猪俣は話をそらした。だが隆はその言葉で悟った。
「なるほど。そういうことでしたか。」
「何がだい?」
「もしかしたら猪俣部長は佐々木と親密な関係にあったのではありませんか?」
隆の指摘は大方当たっていたらしい。猪俣は
「なるほどねぇ。」
と笑って見せた。
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